●平成28年度全国高等学校駅伝競走大会
~女子1区小笠原・男子1区飯島好走も入賞ならず~
~次の世代に膨らむ期待、新力の台頭で上位入賞~
「男子67回・女子28回全国高等学校駅伝競走大会」が12月25日、京都市の西京極陸上競技場を発着点とする、男子7区間42.195km、女子5区間21.095kmで行われた。都道府県の予選会に優勝した男女47校が出場。よく晴れ渡った師走の冬空の中、女子は10時20分にスタート、5区間でレースが行われた。山梨学院は1年生主体のチーム。3区間で1年生、3年生が2区間を受け持つ布陣で臨んだ。昨年14位と入賞を逃し、今年は入賞ラインを目標に定めた。1区小笠原朱里(1年)が終始先頭集団を引っ張る走りで3位と健闘、後ろに繋ぎ、流れに乗るかに見えたが、2区、3区で順位を落とし、その後も挽回できずに12位でテープを切った。男子は午後12時半にスタート。1区は3年連続出場の山梨学院のエース、飯島圭吾主将(3年)が担った。飯島は10kmの最長区間を終盤まで先頭集団に喰らいつき、1位と28秒差の9位で2区に繋いだ。男子は、3年生主体のチームの中で、2区の飯澤千翔(1年)が区間12位、5区の矢島洸一(2年)が区間5位と好走したもののチーム目標の入賞には届かなかったが、昨年の29位から大幅に順位を上げる13位でゴールした。優勝は女子、大阪薫英女学院が2年ぶり、男子は岡山倉敷高が初優勝した。
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◆1区、小笠原朱里積極的な走りでチームに流れを呼び込むか。
■女子 21.0975km 5区間
第1区 6km (西京極陸上競技場~平野神社前)
第2区 4.0975km (平野神社前~烏丸鞍馬口)
第3区 3km (烏丸鞍馬口~室町小学校前折り返し~北大路船岡山)
第4区 3km (北大路船岡山~西大路下立売)
第5区 5km (西大路下立売~西京極陸上競技場)
午前10時、気温10度。青空が広がり例年になく暖かい朝を迎えた京都・西京極陸上競技場。20分後に女子のスタートの号砲が鳴った。全国都道府県47校の選手たちの5区間の戦いが始まった。山梨学院高の1区は県大会、関東大会と同様、小笠原朱里(1年)が任された。小笠原は、1年生ながら高校生の大会では常に上位に顔を出す実力者。スタート直後から積極的に前に出て、先頭集団を引っ張る。小笠原朱里選手は「ラストの2キロで前に出て、最後どの位持つか、1年生でチャレンジャーして行けるところまで行こうと頑張りました」と振り返った。しかし、後半粘れなかったこととマークしていた選手に気を取られ、後ろから来た選手にかわされたことを悔やんだ。結局、マークしていた選手とともに後続の2校に抜かれ3位で襷を繋いだ。2区には関東大会に出場できなかった山下京香主将が起用された。2区にもエース級が揃う難しい区間だが山下は我慢した走りで粘った。順位は落としたものの6位で繋いだ。山下京香主将は「3位で襷を受け取った時に少し動揺してしまったのですが、1年生に1区という大役を任していてしまっていたので、襷をもらった時は順位を上げよう」との思いでスタートした。途中、強豪校の2校にかわされたとき、対処できなかったことを後悔した。「8位入賞が目標だったので悔しいですが精一杯の走りはできました」と涙した。3区の正田渚(3年)は、元々下りが得意な選手だが、チーム内の調整のため、上りの3区に抜擢された。3kmのスピード区間で苦しみ順位を12位に落とした。正田渚選手は「3年生二人で襷を繋げたのでうれしい気持ちで一杯です。京香が良い順位で繋いでくれ、自分も波に乗せたいなと思って走り出しました」と二人三脚でチームを牽引してきた。「この3年間は思うように行かないことばかりで苦しかったですが、監督も仲間も最後まで支えてくれて、こうやって出場できたことがうれしい」と涙ながらに話した。「自分が差を縮めてチームのためになるような走りをしよう」と、4区で襷を受け取った眞田ひまり選手(1年)は「色々な人たちの応援が聞こえて、そのたびに力になりました」と、最終区でシード権を獲得すべく必死に前を追った。しかし、順位は変わらず最終区の黄川田優香(1年)に全てを託した。「今回に調子のピークを合わせることができたので体調は良かったです。前に入賞校が見えていたので、そこに追いつこうと、それだけを思って走りました」。山梨学院高駅伝部の思いを背負いひたすら追った。「去年より順位を上げることができたのは良かったですけど、目標にはまだまだでした。これがだめだと決めつけるのではなく、1年生主体で学んだこともたくさんあるので、それを生かしていきたいです」。12位で走り終えたが、アンカーとしての役目を十分に果たした顔には来年に向けての強い意志が宿っていた。
今年の春卒業し、大学駅伝の名門、立命館大学に進学した三浦佑美香さんは「自分たちが走っていたときのことを思い出し、頑張っている姿が、改めていいなあと思いました。自分も頑張らねば」と後輩の姿に目を細めた。
◆山梨学院高校女子成績◆ 1:09:38 12位 | ||||||
区間 | ランナー | 距離 | 区間タイム | 区間 | 合計時間 | 総合順位 |
1区 | 小笠原朱里(1年) | 6km | 19:29 | 3位 | 19:29 | 3位 |
2区 | 山下京香(3年) | 約4km | 13:37 | 16位 | 33:06 | 6位 |
3区 | 正田 渚(3年) | 3km | 10:21 | 30位 | 43:27 | 12位 |
4区 | 眞田ひまり(1年) | 3km | 9:43 | 15位 | 53:10 | 12位 |
5区 | 黄川田優香(1年) | 5km | 16:28 | 12位 | 1:09:38 | 12位 |
レース後、萩倉史郎監督は「予定通りです。だいだい良い感じで走ってくれました。合格点です。まだ、入賞するには、1区で小笠原が1位と10秒ちょっと差をつけられたのを、次にひっくり返すぐらいの選手が育ってこないとだめですが1年生から大舞台を経験できたのは大きかったです。来年、再来年が勝負ですので」と手応えを口にした。女子の結果は、優勝・大阪薫英女学院、2位・西脇工(兵庫)、3位・上村学園(鹿児島)、4位・筑紫女学園(福岡)、5位・成田(千葉)となった。
◆男子、関東大会初優勝で勢いに乗り、8位入賞を狙い挑んだ。
■男子 42.195km 7区間
第1区 10km (西京極陸上競技場~烏丸鞍馬口)
第2区 3km (烏丸鞍馬口~丸太町河原町)
第3区 8.1075km (丸太町河原町~国際会館前)
第4区 8.0875km (国際会館前~丸太町寺町)
第5区 3km (丸太町寺町~烏丸紫明)
第6区 5km (烏丸紫明~西大路下立売)
第7区 5km (西大路下立売~西京極陸上競技場)
12時30分、気温13度に上がった。冬晴れの日差しが眩しい中、男子がスタートした。山梨学院高の1区は飯島圭吾(3年)が3年連続抜擢された。熟知したコースを先頭集団でじっと我慢する走りを見せた飯島圭吾主将は「区間賞は当然狙っていましたし、その中で勝負していこうという気持ちはあったのですけど、後半ラスト2キロで思うような走りができず悔しいです」と最後に引き離されたが、9位と流れを作る走りを見せた。しかし、飯島は主将としての気持ちから「最低限の走りはできましたがチームが13位という結果になってしまい、1秒でも速く繋いでいれば」と責任を感じていた。2区で襷を受け取った飯澤千翔(1年)は、関東大会でも2区で区間4位と好走し、その走りに期待された。「中間点を過ぎたあたりから落ちてしまい、順位を上げられたけど、自分で納得できないのはすごく離れていたチームに追いつかれてしまったことなので、前半の走りが後半もできていれば区間賞にも近づけたのに」と反省した。飯澤は順位を1つ上げ、8位で3区の八重畑龍和(2年)に襷を繋いだ。八重畑は先日の関東大会では区間2位と初優勝に貢献。昨年のこの大会でも堂々の8位に入り、今回も入賞の原動力になるものと思われた。しかし区間記録は22位と失速、11位と順位を下げてしまった。八重畑龍和選手は「想像よりあまり走れなかったというのが印象です。今回は、コースの読み方を誤ったことと自分の力を過信していたのか分からないですけど、思っていたより登りがきつくタイムも伸びずに終わってしまいました」と肩を落とした。4区で襷を受けた深澤亮哉選手(3年)は「前半は良かったんですけど、後半は予定通り行けなく、順位を落としてしまいました。5区に渡すときに『まだ諦めるな』としっかり声を掛けられたのが良かったです。後半はあっという間に過ぎ、襷を渡すとき、自分はこれで終わってしまうのだ」と競技生活最後のレースをしみじみ振り返った。5区の矢島洸一(2年)は昨年の全国大会同様、スピード区間でしっかり自分の役割を果たした。13位で襷を受け、猛然と前を追い、二人を抜き、区間記録も5位と後半の巻き返しを図る快走を見せた。矢島洸一選手は「昨年この全国大会で山梨県記録を出したのですが、タイム的にはその記録を超そうと、そして山梨学院は後半にも強いチームなので前に見えた選手を一人でも多く抜こうと臨みました。6区の先輩に襷を渡す残り1キロ付近からの3校のラストスパート合戦で、ここで勝てれば先輩に強くスタートできるかなと頑張ったのですが」と最後は振り切られたことを反省した。11位で襷を受けた6区志村仁夢選手(3年)は、「最初、3人の集団でついて行き、3キロ手前で1校が抜け出し、苦しくついていけなかった。全国は決して手が届かないレベルではなかったと思うので流れがよければ入賞はできたと思う」と話した。志村は12位でアンカー吉田巧(3年)に最後の襷を渡した。とにかく自分の力で一人でも多くのチームを追い抜こうと前を追った。「前半速く入り、前のチームに追いついてそこで少し休憩していたら段々体力がなくなり、前半のハイペースが響いてしまいペースが落ち、粘ることができなくなり離されてしまいました」と吉田巧選手。最後に「自分たちを支えてくれた人たちがいたからこそここまでできた。感謝を伝える思いで精一杯走った」と選手それぞれが話した。
◆山梨学院高校男子成績◆ 2:06:50 13位 | ||||||
区間 | ランナー | 距離 | 区間タイム | 区間 | 合計時間 | 総合順位 |
1区 | 飯島圭吾(3年) | 10km | 29:50 | 9位 | 29:50 | 9位 |
2区 | 飯澤千翔(1年) | 3km | 08:24 | 12位 | 38:14 | 8位 |
3区 | 八重畑龍和(2年) | 約8km | 24:53 | 22位 | 1:03:07 | 11位 |
4区 | 深澤 亮哉(3年) | 約8km | 24.37 | 26位 | 1:27:44 | 13位 |
5区 | 矢島 洸一(2年) | 3km | 08.54 | 5位 | 1:36:38 | 11位 |
6区 | 志村 仁夢(3年) | 5km | 15.08 | 13位 | 1:51:46 | 12位 |
7区 | 吉田 巧(3年) | 5km | 15.04 | 24位 | 2:06:50 | 13位 |
箱崎孝久監督は「難しいですね。3・4区で入賞ラインに乗れなかったことが痛かったです。入賞ラインのタイムもずば抜けては良くなく目標にしていたタイムよりも悪かった。関東大会と同じペースで行けば問題なかったのに、もったいないレースでした」と残念がった。
男子の大会結果は、優勝・倉敷(岡山)、2位・佐久長聖(長野)、3位・九州学院(熊本)、4位・大分東明(大分)、5位・伊賀白鳳(三重)、となった。
文(K.F)カメラ(平川大雪・藤原稔・今村佳正・小池裕太)
2016.12.25
| アルバム女子1 | アルバム男子1 | アルバム男子2 |
全国高校駅伝・山梨学院高校応援団 ~都大路で躍動する選手たちを熱い応援で後押し~ |
全国高校駅伝のスタート・ゴール地点となった京都市・西京極陸上競技場のバックスタンドでは、山梨学院高校の生徒や教職員、PTA役員およそ120人が選手たちに熱い声援を送った。生徒会、吹奏楽部、チアリーダー部、応援団、PTA役員などおよそ150人が山梨からバスで大会前日に京都入りし、この日の応援に備えた。今年度の全国大会の応援は、全国高校野球選手権での甲子園のアルプススタンドに次いで2大会目。京都市内は、時折比叡おろしが吹き荒れ、厳しい寒さを感じる時間帯があったものの、朝から日差しが降り注ぎ、例年にない暖かさで穏やかな日和となった。応援団は競技場から各区間へ向かう選手たちや競技場からスタートし、京都市街へ出る選手たちを熱のこもった応援で送り出した。沿道では、生徒会役員やPTA役員などが西大路通や堀川通、烏丸通などに分散し、都大路を疾走する選手たちに声援を送った。バックスタンドでも市内を走っている選手たちに思いが届くように応援を続けた。男女のアンカー選手が競技場内に入ると応援の熱はヒートアップ。さらに力のこもった応援を行い、最後の選手がゴールするまで応援を続けた。ゴール後は全選手をたたえ、惜しみない拍手を送った。応援団の先頭に立ち、襷掛けの袴姿で応援した田中ともか団長(2年)は「山梨学院は今年創立70周年で、野球やサッカーも全国大会に出ていて、駅伝部の選手たちも今持っている力を出し切って欲しいと思い応援しました。私自身、応援の型が崩れないように、相手に応援が届くように意識しました。最初は全体的に声が小さかったけど、段々声も出てきて楽しみながら応援ができたので良かったです。生徒会役員も市内で応援していて、離れているけどLINEで逐一連絡がきて、学校として一つになって応援ができました。年末のサッカーの応援は、今年3回目の全国大会の舞台なので、サッカー部の選手が輝けるように応援したいです」と語った。深澤菜月副団長(2年)は「選手が頑張っている所とスタンドは離れているけど、応援が選手に届くように、伝わるように心掛けて応援しました。吹奏楽部やチアリーダー部のお陰で、応援も盛り上がり、山梨学院の一員として応援できることに喜びを感じました。今年は多くの部が全国大会で活躍しているので、選手権でもこの流れに乗って選手を後押しできるように応援したいです」と話した。また、音楽で応援を盛り立てた吹奏楽部の志村和奏部長(2年)は「選手の力に少しでもなるように全力で精一杯応援しようと部員同士で話はしました。いつもと違う環境で他校の応援に圧倒されて萎縮してテンポがずれてしまう所もあったけど、みんなで音を合わせていつも通りの演奏ができるように心掛けました。必死に走る選手の姿を見て感動しました。サッカーも同じようにみんなが一丸となって、気持ちを一つにして、選手一人一人に思いが届くように応援したいです」と述べた。一方、応援に活力を与えたチアリーダー部の志村桃華部長(2年)は「去年に比べてコールなどで山学らしく楽しい雰囲気を出そうと部員同士で話をしました。前半は寒さもあり、なかなか笑顔が出なかったですが、後半になって吹奏楽部との連携も出てきて笑顔で演技ができました。最後まで諦めないで走る選手の姿を見て勇気を貰いました。他校の応援も同じ曲でも演技が違うので勉強になりました。年末のサッカーの応援は、3年生と一緒に踊るのは最後になるので、自分も一緒にプレーしている気持ちで応援して、得られるものは全て得たいです」と話した。
山梨学院高校応援団(生徒会・応援団・吹奏楽部・チアリーダー部)には、今年もう一つ大きな舞台(大会)が残っている。12月30日に開幕する全国高校サッカー選手権での応援だ。2年ぶり5回目の選手権出場を決めた山学高サッカー部は31日に岡山代表の岡山学芸館と初戦を対戦する。山学高応援団は初戦突破を願い、この日の経験を糧に年末大晦日、駒沢陸上競技場に出陣する。
文・カメラ(Y.Y)2016.12.25
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