●第89回日本学生氷上競技選手権大会 3日目
~大林昌仁主将、死力を尽くし意地の2位表彰台~
~男女とも大学対抗戦順位は前日と変わらず~
北海道・苫小牧市で開催されている「第89回日本学生氷上競技選手権大会(インカレ)」は1月8日、3日目の競技が行われた。インカレは各種目3人ずつが出場して大学対抗得点を競い、大学日本一を争う。苫小牧市ハイランドスポーツセンターの屋外リンクは、6日の初日からこの日まで晴天に恵まれ、空気は冷たいものの観戦日和になった。競技は、男女1500m、男子10000mが行われ、山学大は、1日目、2日目の2日間で入賞者が2人と大学対抗得点が伸ばせず、この日の長距離種目で挽回を期した。最初に行われた女子1500mでは、前大会で8位入賞した高山瑞穂(2年)や姉の高山菜摘(3年)、原田梨央(3年)が出場、高山菜摘の12位が最高だった。男子1500mでは渡邊晟(3年)が11位と得点獲得に貢献した。男子10000mは前日の5000mで4位と本来の滑りが戻らない大林昌仁主将(3年)が体調不良の中で出場、死力を尽くして2位に入り、今大会初の表彰台に上がった。3日目が終わり、総合成績順位は男子が7位、女子も6位と2日目と変わりがなかった。明日、最終日は大学対抗戦の華、団体で戦う男女2000mリレーとチームパシュートが行われる。山学大勢は来年度に繋げられる滑りを見せられるか正念場だ。
■《3日目 1/8 午前10時 晴れ 1℃ 苫小牧市ハイランドスポーツセンター》
◆女子1500m 高山菜摘12位・原田梨央13位・高山瑞穂16位
3日目の最初のレースは、女子1500m。スピードと持久力が求められ、ペース配分が難しい種目。山梨学院勢で最初に登場したのは、高山菜摘(3年 北海道・駒大苫小牧)。昨日の3000mでは15位と出遅れたが、ラップの落ち幅を少なくするといって臨み12位に入り得点を獲得した。2番手滑走の原田梨央(3年 北海道・白樺学園)は、昨日行われた3000m10位から入賞を狙い1500mに挑んだが順位を落とし、13位でゴールした。原田梨央選手は「最初から積極的に行こうと思っていたのですが、動きもばらばらで思うように滑れませんでした。良いところがなかったです。明日の最後の種目チームパシュートで頑張ります」と気持ちを入れ直した。山学3番手は、高山瑞穂(2年 北海道・駒大苫小牧)。この種目を得意にしており、先のジャパンカップ3戦で2位の実績を持って臨んだものの、切れのない重い滑りで16位と思いがけない順位に沈んだ。優勝は日体大の高木美帆が異次元の滑りを披露。大会新記録、リンク記録を出し圧倒的強さで勝利した。
続いて行われた男子1500メートでは、渡邉晟(3年 福島・郡山商)の、低い姿勢で攻める滑りを後半まで維持し、11位と得点獲得に貢献した。渡邉晟選手は「今日は昨日の1000mの反省を生かし、落ち着いて入れました。タイムは天気とかリンクからすると良いほうです」と納得した。明日は2000mのリレーに出場する。山中敏愛選手(4年 長野・小海)は24位。「タイムは良くないですけど、いつもよりは冷静にレース展開を考えて滑れました」と話した。体調不良の赤神諒(1年 北海道・釧路北陽)に代わり出場した生野幸太選手(3年 長野・長野高)は32位となった。「できる限りの滑りはしたのですが、不甲斐ない滑りになってしまいました」と言葉少なに話した。
◆男子10000mで大林昌仁2位。死力を尽くして獲得した今大会初の表彰台
10000mは、2組が200m差で同時に滑走するカルテットスタートで行われる。1周400mのリンクを25周する過酷な鉄人レース。まず、第1カルテットで登場した山本兄弟の兄、山本大平(3年 青森・八戸西)は、大会会場の苫小牧市に入ってあまり調子が上がらない。「チームのためを思い滑ったのですけど、結果がついてこなく残念です」と、ベストタイムに50秒ほど遅いタイムに首を傾げた。21位と結果は残せなかった。続いて第8カルテット滑走の弟、山本大生(2年 青森・八戸西)は、昨年、1年生ながら10位と健闘し、今年は順位を上回ると期待された。スムーズで安定した滑りを心掛け、タイムも納得いくものだった。しかし、ゴール後のアナウンスで『レーン交換不成立』と判定され、失格になった。最終的なタイムは8位入賞相当でもったいない結果となった。第6カルテットの最終組で登場した大林昌仁(4年 長野・佐久長聖)は、今や長距離界のホープの一人として注目をされている逸材。ワールドカップ派遣選手にも選ばれている。前半34秒台で抑えて入り、後半一気にラップを32秒台まで上げ、豹が獲物を徐々に追い詰め仕留めるように、疲れた相手を捉えるレース運びが持ち味。この日は違った。序盤から34秒台を終盤まで正確なラップを刻む。大林昌仁選手は「ラップよりも自分のペースを守り、後半勝負というレース展開に持っていけたので良かったです」とレースを振り返った。ゴール後にリンクに倒れこむほど体調の悪い中、死力を尽くしたレースに、「今日は疲れました。優勝ではないですけど、キャプテンとしてしっかり仕事はできたかなと思います」と疲れきった表情で語った。
3日目を終わって、大学対抗総合成績順位は男子7位。女子は6位と前日と変わらなかった。明日9日、最終日は男女2000mリレーとチームパシュートが行われる。
文(K.F)カメラ(平川大雪)2017.1.8