山梨学院パブリシティセンター

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●第89回日本学生氷上競技選手権大会 最終日
~団体競技2種目、万全な体制で臨めず結果残せず~
~4年生、後輩にチームを託し全員でラストラン~

北海道・苫小牧市で4日間にわたり繰り広げられた「第89回日本学生氷上競技選手権大会(インカレ)」の最終日1月9日を迎えた。今大会は、初日から3日目までは空気が冷たく、気温は低いものの日差しが眩しいコンディションの中で競技は進み選手たちは、今自分が持っている力の限りを尽くして母校のため、チームの、自分のために滑った。最終日はインカレ対抗戦の花形、4人で滑る男女2000mリレーと3人一組で滑るチームパシュート(団体追い抜き)が行われた。最初の種目は女子2000mリレー、第1組単独走の不利な条件ながらバトンの受け渡しもスムーズ行われ、4位に入った。続く、男子も4人の力走で5位となった。男子・女子チームパシュートは、目指した順位には届かず、男子10位、女子6位だった。山梨学院の大学対抗戦総合成績順位は男子7位、女子6位と昨年の順位を落とした。すべての競技終了後、山学大は全員でラストラン、花束を手にした4人の4年生は、一人ひとり4年間のスケートへの思いを保護者、コーチ、後輩の前で述べ、溢れ出る涙を拭い、最後に感謝の気持ちを伝えた。

■《最終日 1/9 午前9時 晴れ 気温4℃ 苫小牧市ハイランドスポーツセンター》

◆女子2000mリレー 4位 原茉畝・高山菜摘・持田あかり・虫狩光桜
最終日9日、最初の種目女子2000mリレーは、1人が500mを滑り4人がバトンリレーで繋いでいく競技。スピードの速いスケートはバトンの受け渡しが非常に難しい種目。僅かのミスが致命的になる。

最終日の天気は、3日間の晴れの穏やかなコンディションと打って変わり、気温4℃と高い割に風が4m前後と強く体感温度は非常に寒く感じた。悪コンディションでもチームが一つになる団体戦はインカレの華。各大学の滑走者は母校の名誉と誇りを懸けて滑り、控えの選手、保護者など応援するものは滑走者に思いを託して熱い声援を贈った。第1走者の原茉畝(2年 北海道・帯広三条)「山梨学院行くぞ!」の大きな掛け声でスタート。同走のない単独走は競い合う相手がいない不利な条件。2走の高山菜摘(3年 北海道・駒大苫小牧)、3走持田かおり(1年 北海道・白樺学園)、4走虫狩光桜(2年 北海道・池田)の4人はバトンの受け渡しもスムーズに4位になったが今大会初の表彰台はならなかった。第1走者の原茉畝選手は(写真は左から原茉畝・高山菜摘・持田あかり・虫狩光桜)「体調はあまり良くなかったですが、準備はしっかりして今の力はすべて出し切りました」。2走の高山菜摘選手は「1000、1500mで結構悔いが残っていたのですけど、このレースでは少しでも順位を上げようと、力を出すことができました」と納得した。3走の持田かおり選手は「もっと滑れたかなと思うのですけど、風と今の自分のコンディションを考えたら全力でした。初めてのインカレは思った以上の緊張感と一体感が素晴らしかった」と話した。アンカーの虫狩光桜選手は「リレーは昨日まで不安があったのですが、今日滑った感じは、今回のレースの中では一番リラックスしてフォームも気にしながら、応援も一人ひとりの声が聞こえて楽しめました。悔いはないです」と安堵の表情を浮かべた。

◆男子2000mリレー 5位 岡田崚・青木雅弥・山中敏愛・渡邉晟
男子リレーメンバー(左からは岡田崚・青木雅弥・山中敏愛・渡邉晟)は3組の滑走。1走、2走に1年生を起用して勢いづけたところ。第1走者の岡田崚(1年 北海道・釧路江南)はダイナミックな滑りで2走青木雅弥(1年 北海道・池田)に繋いだ。バトンの受け渡しが少しずれ、同走に少しリードを許した。1走の岡田崚選手は「緊張しいてベストレースとはいかなかったですけど、最後4年生と滑れて楽しかったです」。2走青木雅弥選手は「スタート前に先輩が『思い切り滑ってこい』と肩叩いてくれたので緊張もほぐれて滑れたのが良かったです」と初々しく応えた。3走山中敏愛(4年 長野・小海)は4年間の思いを滑りに込めて力走した。「チームのためにという気持ちが大きかったので、最高の滑りができました。悔いはないです」清々しく話した。4走渡邉晟(3年 福島・郡山商)は表彰台を目指し懸命な滑走をみせたものの、最終的に山梨学院は5位となった。「同走の明治大に勝てて良かったです。無我夢中で滑りました」とチームのために頑張った。

続いて行われたのは、今大会最後の種目「チームパシュート」。チームパシュート(団体追い抜きとも呼ばれる)は、3人一組で滑り、男子はリンクを8周(3200m)、女子は6周(2400m)でのタイムを競う。2チームがメインストレートとバックストレートの中央から同時にスタートし、3人目の選手のブレードがゴールしたタイムで勝敗を決める。スピードスケート競技や自転車競技などで採用されている。2006年のトリノオリンピックからオリンピック種目に採用された。個人選手と違い、強い選手が弱い選手を引っ張り全員が一団となって滑ることが大事。先頭は空気抵抗が掛かり、体力を消耗するために、3人がコーナーで先頭を入れ替わりながら滑走するといったチームプレーの戦略が鍵になる。

◆女子チームパシュート 6位 原田梨央・川上琴子・蓑田結衣
◆男子チームパシュート 10位 山本大平・山本大生・渡邉晟
男女チームパシュートは上記のメンバーで臨んだが、体調不良によるメンバー変更が響き、ともに目指していた順位ではなかった。代わった選手も回復した直後の調整不足など、負の連鎖に見舞われ万全な状態ではなく、遠征での体調管理の難しさが浮き彫りになった。

大会を終えて、伊藤潤二コーチは「最初から厳しい大会になるとは予想していましたが、その中で体調不良の選手が多く出てしまったのでインカレという大会の難しさを改めて痛感しました。来年は大林がいなくなり得点は下がってしまいますが、でも今回出た選手がほとんど残るので、この悔しさをしっかりバネにして頑張ってもらえれば来年はいい勝負が出来ると思います」と次世代の飛躍に懸ける。

大会の結果、スピード部門男子の総合優勝は専修大、2位日大、3位法政大、4位東洋大、5位高崎健大、6位信州大、7位山学大、8位明冶大となった。
女子のスピード部門総合優勝は高崎健大、2位信州大、3位日体大、4位大東文化大、5位八戸学院大、6位山学大、7位東京女子体育大・岩手県立大となった。

◆4年間の思いを胸に、後輩に山学の伝統の躍進を託しインカレのリンクに別れを告げる

全ての競技を終えた各大学チームは、部員全員で4年生を送るラストランを行った。山学大チームも一列に隊列を組みリンクを周回、別れを惜しんだ。集まった選手に対して、不在の川上隆史監督は録音による音声で4人の4年生それぞれにメッセージを伝え、「これからの人生において、たとえ結果が出ない時、失敗した時にどういう自分でいられるか、決して諦めない姿勢が何かを生み出し、負けたからといって、モチベーションを失ってはいけない事です。人生において、あくまで競争相手は自分なのです。もうやめたいと思ったこともあるでしょうが、常に自分にチャレンジすることが出来た学生時代のスピードスケートは、最高の経験です。それらの山梨学院大学での経験を、誇りと自信として大切にしていただきたい」と励ましの言葉を贈った。4人の4年生はじっと耳を澄まし、涙を浮かべ聞き入っていた。伊藤潤二コーチは「来年は、今年と同じように厳しい戦いになります。今年以上に頑張っていかないと今回の二の舞になってしまうので、もっと意識を高く練習やレベルの高い気持ちを持って欲しい」と明日からの奮起を促した。

卒業する4人に思いを聞いた。大林昌仁主将は「1年生の時から監督には迷惑ばかりかけていましたが、ワールドカップや次のユニバーシアードに出場できたのも監督のおかげだと思っています。そういう部分では少しずつではあるのですが恩返しができたかなと自分では思います。後輩には自分が伝えるべきことは伝えてきたつもりです。来年は自分たちでチームを作り上げる部分で、自分たちがやりたいようにやればいいし、次の4年生が中心になって、今年の結果を超えるように頑張ってもらいたい」と話した。4月から2018年の平昌冬季五輪に向け始動する。何事にも一生懸命チャレンジし、監督の信望も厚い山中敏愛選手は「見本になれるような先輩を自分の中では目指してきたのですが、続く後輩たちが上に上がっていく中で、下の後輩に負けないように、山学を代表できる選手でいて欲しい」とエールを贈った。前回チームパシュートで2位になる活躍をし、今回は選手のサポートに回った上田奈津希選手(4年 岐阜・中津商業)は「自分は4年間チームの力になることは出来なかったですが、自分の力が無くやめたいと痛感したこともあったですが、それなりにタイムが伸び、そのたびにもっと速くなりたいという気持ちや同期に支えられここまでやってこられ、やめなくてよかったです」と話した。選手からこの1年マネージャーとしてみんなの世話を甲斐甲斐しくこなし、選手の精神的支柱として頑張った朝倉由佳選手は「辛いこともたくさんありましたけど、それ以上に楽しいこともたくさんあり、同期や後輩に支えられ、今こうやって気持ちよく終えられたのかなと思っています。4年間で感じたことは、4年生になった時に3年間の積み重ねがすごく大事だったのだと感じることができて、一日一日を大切に過ごしてほしい」と4年間の思いと後輩への言葉を語った。

今大会の結果は決して喜ばしいことではないが、順位に関係なく全ての選手は懸命に前を追い、タイムを求めた。そのひたむきさは、見るものに感動と希望を与えてくれた。選手たちに『ありがとう』と言いたい。辛い時楽しい時、いつも傍らにはチームメイトがいる。固い絆で結ばれた山学スケート部は新しいチームによって必ず復活する。

文(K.F)カメラ(平川大雪)2017.1.9