●山学短大独自の「スイーツマイスター」実技試験
~スイーツ製作の技を学内外の審査委員が評価~
~33人の力作を審査員が高評価。全員合格~
山梨学院短期大学で1月26日、「スイーツマイスター」実技試験が行われた。スイーツマイスターは、6年前の食物栄養科フードクリエイトコース開設時に設けられた山梨学院短大独自の認定資格。スイーツと食品に関する知識と洋菓子・和菓子・製パン3分野の製菓技術を身につけ、必要専門教育科目の単位を修得した上で、実技試験に合格したものに認定資格が与えられる。「スイーツマイスター」資格は、スイーツの世界をもっと楽しみ、身近なものにしようと設けられた。試験の内容は、山梨県産の農畜産物や加工品を活用してオリジナルスイーツを製作するというもの。食物栄養科フードクリエイトコースの6期生31人と食物栄養科栄養士コース2年生2人が実技試験に挑んだ。本年度は、山梨学院短大は昨年7月に文科省の「大学教育再生加速プログラム」に申請した事業計画「卒業時における質保証の取り組みの強化」が認定され、その内、学修成果を学内・学外の両輪で評価し、社会に目に見える形で提示していく仕組みとして、審査委員を本学から3人の「スイーツマイスター」実技試験の内部審査以外に、今回初めて「専門的実践外部試験」として学外の専門家から評価を受ける審査を行った。審査の結果、「スイーツマイスター」実技試験には、受験者33人の作品が評価基準点を上回り、全員が合格となった。「専門的実践外部試験」の結果通知は後日行う。合格認定書は3月の卒業式でそれぞれに授与される。
山梨学院短大は、文部科学省に申請した「大学教育再生戦略推進費・大学教育再生加速プログラム」事業計画が昨年7月に選定され、後期授業から学修成果を学内・学外の両輪で評価し、社会に目に見える形で提示していく仕組みを開発・整備。「卒業時における質保証」の取り組み強化の一つとして「学外助言評価委員会の設置」を図り、今回、内部審査で行う「スイーツマイスター」実技試験と兼ねた「専門的実践力外部試験」を学外専門家を招いて審査を行った。
山梨学院短大独自の認定資格「スイーツマイスター」は、『スイーツを知る』『スイーツを食する』『スイーツを探求する』『スイーツをつくる』の4つの要素の知識を深め、スイーツの世界をより広く知り、楽しむための資格。安全で美しく美味しい洋菓子・和菓子・製パン技術と専門教育科目を修得した学生に、実技試験の受験資格が与えられる。フードクリエイトコースが開設される時に、素材の探求やデザインの創造などスイーツの世界をより身近なものとするために設けられた。実技試験は、①地域素材の活用、②独創性、③製菓技術(レシピ通りの製作 コストパフォーマンス)、④視覚性(美しさ・センス・好感度)、⑤味覚性(おいしさ)の5つの視点から評価され(100点満点)、それぞれA評価(良い)20点、B評価(普通)10点、C評価(劣る)5点で採点。実技試験は、総合点50点以上で合格となる。学生は、試験時に「製作したスイーツの名前」「材料・分量」「原材料費」「作り方」「作品の菓子の意図や食材に関する事項」をレポート用紙に記入提出して実技試験に臨んだ。調理時間が2時間と限られているため、焼く・蒸す・デコレーションなどの作業は設定時間内に行われなければならない。そのため、事前準備は許されているが、出来上がったものの持参は許されない。
「専門的実践力外部試験」の評価は、3人の学外審査員の平均点とする。
午前9時よりスイーツスタジオで色とりどりの洋菓子、和菓子、製パンの33作品が学生たちの手で製作が始まった。フルーツ王国山梨の桃、ぶどう、イチゴ、キウイ、ブルーベリー、柚子などの果実。豊かな大地が育んだ、あけの金時、八幡芋、天空かぼちゃ、大塚人参、南部茶など県産特産品をふんだんに使った、オリジナルスイーツが学生たちのアイデアと技術によって午前11時には全作品が素敵に仕上がった。完成した作品は、カフェテリア(レストランサービス実習室)の審査会場に並べられ、羽畑祐吾食物栄養科科長、三神敬子学事顧問、山本侯充非常勤講師、学外から小川義美山梨県洋菓子協会会長、小野曜山梨県製パン協同組合理事長、山梨学院短大食物栄養科卒業生でオーナパティシエの広瀬和代氏の6人が審査を行った。見た目の美しさや味の美味しさ(試食)、安全性、独創性などについて、2時間に及ぶ厳正な審査が行われた。審査結果は、いずれも50点以上の評価を獲得し33人全員が合格と認定された。前回の作品は洋菓子と製パンだけで、和菓子に挑戦したものはいなかったが今回は和菓子の作品も多く目立った。
審査後、初めに羽畑祐吾山梨学院短大食物栄養科科長・審査委員長はまず、スイーツマイスター実技試験に全員が合格したことを報告。「今日は33人分のそれぞれの思いがこもったスイーツを美味しくいただきました。皆さんのいろいろな工夫あり、驚き感心しました。今回たくさんの失敗を繰り返し仕上げたと思います。失敗してもそれを乗り越えていく経験を、これから社会に出て、社会貢献という形で発揮していただきたい」と挨拶した。続いて、食物栄養科・山本候充非常勤講師、三神敬子学事顧問がそれぞれ講評。次に本年度から始まった外部評価として「専門的実践外部試験」でフードクリエイトコースの学生に対して「卒業後の質の保証」という2年間の学びがどのように成果となって表れているかを専門的分野の審査員が講評。審査委員長の小川義美山梨県洋菓子協会長が「今日いただいたお菓子すべていただきました。そのなかで、明日からお店へ出しても良い作品がいくつもありました。私たちは毎日お菓子を作っているわけで、お菓子を作ることは簡単なのですがお客様に買っていただくお菓子を作るためにはもっともっと精進しなければなりません」と卒業後のさらなる飛躍を促した。こちらも小野曜山梨県製パン協同組合理事長、山梨学院短大食物栄養科卒業生でオーナパティシエの広瀬和代氏がそれぞれ講評した。評価は3人の学外審査員の平均点とし、結果は後日発表する。司会を担当した塚原順子准教授は審査風景を「本当に和やかに、笑顔が絶えない会話を持ちながら皆さんの素敵なスイーツをいただきました。本当に幸せな空間でした」と学生たちに紹介。「皆さんも達成感、満足感を持って今日を迎えたと思います。合格という言葉、これから、それぞれ評価をいただいて新戦力となる専門家として頑張っていただきたい」と激励の言葉を述べた。
試験後、食物栄養科栄養士コースから受験した2人(左から相沢明日香さん、東条沙也加さん)。相沢明日香さんは「和菓子や洋菓子など、普段触れてないものも作れるようになったらいいなと思って取りました。餡を練ったり、包んだりやったことのないことが体験できたことが良かったです」。東条沙也加さんは「普段調理ばかりでお菓子を作らないこともあり、自分がやってないことをしてみたいと思ったのと、友人がフードクリエイトコースにいて、いつも隣で作っているのを見ていたので、同じように作って見たいなと思い、挑戦しました。調理と違って、細かい分量まできちんと量らないと完成度が変わってしまうのでそこが難しかったですけど、挑戦してみてやりがいがあり良かったです」と話した。洋菓子のマルベリー(桑の実とイチゴ)トライフルを製作した岩崎瑠璃華さんは「グラスで中を見えるようにしたので、見た目にこだわりイチゴもスライスして外側に向け、それだけでも視覚的に色鮮やかで美味しく見えるかなと思い出来には満足しています。将来はカフェでスイーツを作りたい」と話した。上が寒天、下が羊かんの2層になった和菓子「寒ようかん」を作った小松秀仁さんは「作っているときは食べてくれる人が喜んでもらえるように、また、山梨の魅力を食べて感じてもらえるように作りました」と話した。製パンでは練乳とホワイトチョコを絡めた抹茶クリームとバターロール生地で「抹茶くるくる」を作った村田朋実さんは「おばあちゃんが南部に住んでいて南部茶を使いたくて作りました。昨日は抹茶クリームも生地も失敗しました。今日ちゃんとできるか心配でしたが、しっかりできて良かった」と笑顔で話した。
33人の心がこもった作品は、どれも食べた者を笑顔にする輝きを放っていた。スイーツマイスターの資格認定書は3月の卒業式でそれぞれに授与される。
文(K.F)カメラ(平川大雪)2017.1.26