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●第十八回酒折連歌賞 答えの片歌入賞者発表
~大賞・文部科学大臣賞に千葉県の佐藤さん~
~受賞作「四年目の最後の学費振り込みしのち」~

酒折連歌賞実行委員会(廣瀬孝嘉実行委員長)は2月1日、第十八回酒折連歌賞一般部門の大賞(文部科学大臣賞)・山梨県知事賞・山梨県教育委員会教育賞・甲府市長賞の4句と小・中・高校生の作品を対象にしたアルテア部門の大賞(文部科学大臣賞)1句など、受賞作100選を発表した。1998年(平成10年)の創設以来、多くの応募者に支えられてきた酒折連歌賞に、今年度の大会応募句数は33,634句と、たくさんの『答えの片歌』が寄せられた。一般部門大賞・文部科学大臣賞は、千葉県柏市の佐藤せつさん(68歳)の句に贈られた。問いの片歌「ありがとうたったひとことメールの返信」の問いかけに、佐藤さんは「四年目の最後の学費振り込みしのち」と答えの片歌を返した。選考委員の井上康明さんは「最後の学費を送ったのち、母に返ってきた『ありがとう』のメールのひと言。それが携帯電話のメールによって送られたところに現代の生活のひとこまが切なく描かれています。『ありがとう』のひと言には母親に対する深い感謝の思いが込められ、かけがいのない親子の絆を思わせます」と選評した。他の山梨県知事賞など上位5句の表彰式は2月26日(日)、山梨学院広報スタジオで行われる。

一般の部門4句・アルテア部門1句、上位5句受賞作品
[一般部門](全応募作品を対象)
大賞・文部科学大臣賞    佐藤 せつ(68歳 女性 千葉県柏市)
<問いの片歌4>
ありがとうたったひとことメールの返信
<答えの片歌>
四年目の最後の学費振り込みしのち
山梨県知事賞        小林 美成子(80歳 女性 静岡県静岡市)
<問いの片歌1>
猫がきておいてけぼりの時をうずめる
<答えの片歌>
小春日の縁側という細長宇宙
山梨県教育委員会教育長賞  小金 奈緒美(53歳 女性 埼玉県越谷市)
<問いの片歌2>
聴いてみよう姿勢正して三月の雨
<答えの片歌>
アドリブがきかぬ素数の私のままで
甲府市長賞         高幣 美佐子(69歳 女性 東京都練馬区)
<問いの片歌5>
駅に立つ心の声を確かめながら
<答えの片歌>
この位置で同じ車両に乗るきみを待つ
 
[アルテア部門](小・中・高校生の作品を対象)
大賞・文部科学大臣賞 池田 彩乃(15歳 女性 上海日本人学校浦東校中学3年)
<問いの片歌4>
ありがとうたったひとことメールの返信
<答えの片歌>
舞い上がるささいなことで人って不思議ね


以上の上位5句に加えて、入選10句、優秀賞12句、優良賞54句、アルテア部門佳作に19句、合わせて100選が選出された。

◆連歌発祥の地「酒折」にちなんだ酒折連歌賞とは。

わが国の連歌発祥の地とされている『酒折宮』にちなんでつくられた酒折連歌賞は、1998年(平成10年)、多くの人に連歌に興味・関心と創作意欲を持ってもらい、連歌を蘇えらせ普及させ、文学の振興、文化の創造を推進しようと、山梨学院大が母体になり創設された。「古事記」に登場する倭建命(日本武尊)と御火焼(かがり火役)の老人との問答が起源となった五・七・七の『問いの片歌』に対して『答えの片歌』五・七・七で返す問答形式の歌遊び。文学形態上からも珍しく特色があるといえる。伝統を現代に活かそうという試みは、今回で第十八回を数え、一般部門では大賞の文部科学大臣賞を初め、山梨県知事賞、山梨県教育委員会教育長賞、甲府市長賞を設け、また、小・中・高校生を対象に、斬新で若々しく将来楽しみな才能を見出すことを目的としたアルテア部門にも大賞・文部科学大臣賞が設けられている。

◆今年度も国内外、老若男女から昨年を超える多数の応募が寄せられた。

今年度の応募句数は33,634句(男性16,897句、女性16,712句、不明25句)、昨年を2,300句余りも超える応募があった。最年少応募者は7歳(福岡県・女性、東京都・女性)の2人、最高齢応募者は99歳(山梨県・男性)の1人だった。全国の中学・高校で授業の一環として活用され、学校ごとの団体応募が他の文学賞と比べると圧倒的に多く、今年度も応募句の実に71%(昨年72%)が10代で占められた。都道府県別では山梨県が最も多く、17,076句、続いて東京都の2,408句、埼玉県1,735句、愛知県1,237句、千葉県、兵庫県、大阪府、神奈川県、広島県と続き、応募句数のベスト10となった。また、海外からも中華人民共和国360句、インドネシア117句、アメリカ合衆国50句、マレーシア21句など、8カ国から昨年より約450句多い、合計557句が寄せられた。第1回の6,721句の応募総句数から今回の第18回は33,634句で5倍となり、酒折連歌への興味・関心の広がりが窺える。

受賞者の表彰式は2月26日(日)、山梨学院広報スタジオで行われる。

文(K.F) 2017.2.1
100選の詳細及び選評は酒折連歌賞HP