山梨学院パブリシティセンター

HOME

山梨学院パブリシティセンターニュースファイルイメージ画像

●山梨学院中「パーソナルプロジェクト2016」
~各分野にわたる興味・関心を研究論文に~
~全校生徒から選ばれた9人が研究成果を発表~

山梨学院中学校は「パーソナルプロジェクト」全校発表会を2月17日、山梨学院ルネサンスホールで行った。山梨学院中学校が2014年度から進める新しい学校づくりの一環で改革の中心になるのが、教科の学習と並行して、学びの大きな柱となる「プロジェクト」という自主学習の積極的な取り組み。数人から十数人のグループに分かれて課題を探求するのが「チームプロジェクト」。「パーソナルプロジェクト」は、国際バカロレア(IB)教育プログラムのひとつで中学生(MYP)を中心とした生徒の個人的なプロジェクトを指す。山梨学院中の「パーソナルプロジェクト」は今回で3回目。1年から2年、3年間を通じて個人の興味・関心に従ってテーマを決め調査・研究をし、その成果を論文にまとめていく。3年生が5000字、2年生が4000字、1年生が3000字以上の研究論文を提出、発表する。この日は、クラス発表と学年発表で優秀と認められ、最終選考で選ばれた各学年3人、9人の生徒が研究テーマを全校生徒244人の前で発表した。プロジェクト担当者は初年度、多かった調べ学習的なものから自身でテーマを設定、独自の視点で研究を進める探求の広がりや学びの深さを感じると、手応えを話した。

山梨学院中学校が、グローバル社会を生きるために取り組む新たな教育プロジェクトに国際バカロレア(IB)がある。国際バカロレア(IB)は、世界共通の大学入試資格とそれに繋がる小・中・高校の教育プログラムで「パーソナルプロジェクト」は中学生(MYP)を中心とした生徒の個人的なプロジェクトを指す。「パーソナルプロジェクト」に求められるのは、テーマを設定し、十分な調べ学習において知識を理解・応用し、実験、開発的な活動を通して、自分なりの考えを論文にまとめる力を養うこととしている。

山梨学院中の「パーソナルプロジェクト」は、4月に科学系、自然系、文化系、医療系、国語系、社会系、英語系など7系列の中から個人の興味・関心に沿ってテーマを自身で決め、計画書を基に調査・研究を進め、最終的な成果として論文の形にする。1年間で研究結果をまとめることも、同じテーマに2年、3年間を費やし取り組むも自由。自ら研究資料を収集したり、調査対象の現地に足を運び、聞き取りを行ったり、観察・実験をしてその結果をまとめ、様々な方法で修正を加えながら、完成させていく。今年度は2月4日に全校生徒244人全員が研究を進めてきたテーマをクラス内発表、2月8日に各クラス3人ずつの代表が各自の研究成果を学年全体の前で発表するなど準備を進めてきた。集大成となる2月17日、今年度の「パーソナルプロジェクト」の発表は、特に優秀だった各学年代表の3人、9人がそれぞれパワーポイントやアイパッドで作った資料をスクリーンに映し出し、約3分の制限時間の中で全校生徒244人の前で研究成果を披露した。

宇宙やロケットに興味を持っていることから、日本のロケットの先駆けになった機種のモデルロケットを製作し、打ち上げに成功した事例を発表した生徒やシェークスピアの「夏の夜の夢」の翻訳本の違いを検証、その一つに英語本と日本語訳が同じように韻を踏んでいることに着目、分析、自分なりの訳を試みる発表をした生徒。宮崎駿のデビュー作、1978年に発表され、2028年の未来を描いた「未来少年コナン」に秘めた地球の未来に向けてメッセージを紐解いた研究を行った3年生の論文は、規定5000字以上を遥かに超える43000字に及ぶ労作など、9人それぞれが挑んだ力作が並んだ。

◆パーソナルプロジェクト最終選考9つのテーマ(発表順)
学年 氏名 系列 プロジェクトテーマ
1年 丹澤 公誠 科学系 糸川英夫と日本のロケット開発について
1年 岩瀬 香凛 科学系 雑草を異なるPH液につけるとどうなるか
1年 比企 佑介 科学系 風に飛ばされにくい紙コップを作る
2年 小林 ほの香 科学系 繊維について (野菜紙を作る)
2年 本間 慈了 国語系 シェークスピア「夏の夜の夢」を自分なりに読む
2年 小槙 創 科学系 アマチュア無線でどれだけ遠くの局と交信できるか
3年 倉谷 香帆 文化系 エレクトーンによるアレンジ
3年 内藤 英理香 科学系 身近な生き物の撥水性
3年 山内 悠真 社会系 「未来少年コナン」に込められた宮崎駿の未来へのメッセージについて考える


『風に飛ばされにくい紙コップを作る』をテーマに研究を行った発表者の一人。比企佑介さん(1年)は、家族でバーベキューに行ったときに風で紙コップが散乱している様子を見て、そこに問題点を感じ思い立った。比企佑介さんは「紙コップをいろいろ研究したのですけど、研究して割り出したデータから実際の球体の形を紙で作ることが大変でしたがやってみて楽しかったです。3か月間費やしました」と話した。発表が全て終わり、講評に立った山内紀幸校長は「私たちの時代はインターネットなどで簡単に情報を得ることができますが、どの研究も自分で労力と時間を割いて手間暇を掛けています。特に問題設定の仕方が全ての人が良かったです。研究で一番難しいのは、問題を作ることです。試行錯誤しながらやっていくと本当に自分の核心になることが一瞬のうちに見えてくることがあります。そこが研究の楽しいところです。今日の皆さんのプレゼン力は大変に素晴らしいものでした」と9人の研究発表者を称えた。プロジェクト担当の責任者野崎順教諭は、3回目になるプロジェクトについて、「かなりの進歩は感じます。初年度は調べ学習的なものが多かったですけど、ここに出ている子たちだけではなく、生徒全員が年々自分で自分の視点で研究を進めています。実際にある研究や実験の追実験であったり、調査であったり、創作活動であったり、それぞれのジャンルで自ら動くことを生徒は大事にしています」と成果を話した。
後日、今日の発表の中から各学年1人ずつ表彰され、その1人に最優秀賞が贈られる。

3回目となる「パーソナルプロジェクト」が終了した。研究に取り組んだ全校生徒244人は、多くの紆余曲折を体験し、形のないものから形あるものへと創り上げていく過程からついに成し遂げた時、それは生徒にとってかけがいのない大きな自信となったことだろう。

文(K.F) カメラ(平川大雪)2017.2.18