●カレッジスポーツ振興40周年記念公演会
~参議院議員橋本聖子氏を招いて基調講演~
~山梨学院オリンピアン6氏によるシンポジウム~
山梨学院カレッジスポーツセンターは「カレッジスポーツ振興40周年記念講演会」を2月28日、山梨学院メモリアルホールで開催した。講演会は、山梨学院が創立70周年を迎え、カレッジスポーツセンターを創設して40年が経過したことを記念して行われた。当日は、自由民主党参議院議員会長で日本オリンピック委員会常務理事・選手強化本部長などさまざまな要職につく橋本聖子氏を招いて「2020東京オリンピック・パラリンピック東京大会がもたらすもの」をテーマに基調講演、過去のオリンピックに出場した山梨学院関係者6人による「カレッジスポーツ振興40年飽くなき挑戦~山学オリンピアンが語る~」と題するシンポジウムが行われた。会場には15競技の山梨学院カレッジスポーツ強化育成クラブ員、スポーツ科学部学生、教職員約600人が集まり、興味深い話に耳を傾けた。
山梨学院大学は、「学園を活性化」させるために「カレッジスポーツの振興」を学園運営の方策に設定し、昭和52年(1977年)にカレッジスポーツセンターを設立させ、40年が経過した。現在15あるいずれの強化育成クラブも“大学日本一を目標に掲げ活動してきた。この方策を推進する過程でバルセロナオリンピックにおいて、初めてオリンピック選手を輩出し、昨夏のリオデジャネイロオリンピックまでに52人のオリンピアンを輩出するまでに至った。3年後には東京で2回目となる「2020東京オリンピック・パラリンピック大会」が開催され、山梨学院の現役アスリートや卒業生が本大会での活躍を夢見て凌ぎを削っている。また、時同じくしてスポーツ科学部第一期生が卒業する。学部学生と共に多くの山梨学院関係者が、オリンピック・パラリンピックにありとあらゆる場所で、さまざまな形でオリンピックに参加し活躍することが期待される。今年度、山梨学院創立70周年を迎え、今後のカレッジスポーツ振興50周年の門出にあたり、これまでカレッジスポーツ振興を牽引してきた多くの卒業生に経緯と感謝の意を表し、記念公演会を開催した。
記念講演会は、初めに下田正二郎カレッジスポーツセンター長が開会の挨拶で「カレッジスポーツは40年前にゼロからのスタートを切り、前に何も見えない中にも、いつかは明るい光が射すと信じてやってきました。その中で指導者の飽くなき探究心と情熱を持って進んできました」と経緯を話し、続けて講師として迎えた橋本聖子参議院議員・日本オリンピック委員会常務理事・選手強化部長が夏冬出場した7回のオリンピックの活躍を紹介し、会場に集まった強化クラブ育成クラブの学生たちに「アスリートが目指すものは、普通の努力ではオリンピック、メダルには届きません。2020年を目の前にしてこの中から、目指す選手が生まれるだろうし、大会を目の当たりに見るとてつもないチャンスです。国会議員の橋本先生ですが、アスリートであった過去の姿からここにいる選手たちが自分たちの今後のアスリートとしての心のあり方、目指すものを学べたらありがたいです。自分にとっての何かを感じて欲しい」と挨拶した。
紹介された橋本聖子氏は「2020東京オリンピック・パラリンピック大会がもたらすもの~これからのカレッジスポーツの役割とは~」のテーマで基調講演を行った。講演の中で橋本氏は「人を育てることはスポーツ界にとって大事な仕事になってきています。選手を強化することは、次世代に繋げていかねばならないという使命を与えられるわけで、単にスポーツの頂点を極めるだけで良しという時代ではなく、次世代を育てることができる人材を同時に育成しなければスポーツ界の将来はないということを、教育のひとつと言えるようになったことでコーチや監督などスタッフの質が上がりました・・・・。スポーツの力なくして人を育てることはできないと思っています。それがまさに国家百年の計と言われる教育に繋がる根幹であるのでこの学びを共にすることのできる山梨学院を誇りに思ってください」とカレッジスポーツの役割の意義を会場に呼び掛けた。
続いて行われたシンポジウムは、フリーアナウンサーの平賀正友氏の司会進行で「カレッジスポーツ振興40年飽くなき挑戦~山学オリンピアンが語る~」と題して、山梨学院関係者6人のオリンピアンによるシンポジウムが行われた。リオ五輪の日本代表選手団総監督・山梨学院大レスリング部高田裕司監督、バルセロナ五輪レスリング出場・大橋正教氏(ALSOKレスリング部監督)、シドニー五輪競泳出場・萩原智子氏(スポーツバックス)、北京五輪マラソン代表・大崎悟史山梨学院陸上競技部コーチ、リオ五輪競泳出場・江原騎士氏(自衛隊体育学校)、リオ五輪女子ホッケー出場・河村元美氏(山梨学院大法学部3年・ホッケー部)の6氏が壇上に上った。シンポジウムは平賀氏が出席者に質問するという形で進められ、高田氏はモスクワ五輪をボイコットし全盛期に出られなかった悔しさ。萩原氏は、出場したシドニー五輪にタッチの差でメダルを逸した時、周りの励ましがうれしかったことや体調管理の大切さ。大崎氏は2008年の北京五輪マラソン代表になりながら直前の故障に欠場した原因、アスリートからオリンピアンへの意識の変化。江原氏は個人種目で予選落ちをした原因を浮ついた自分がいたことや、リレーでは仲間に助けられチームワークの力で自分の力が発揮できたこと。河村氏は、オリンピックを意識したきっかけを、大学に入り日本代表合宿に参加するようになった時と話し、指導者の大橋氏は所属先のオリンピアンのエピソードや良い選手を獲得するスカウトの大変さなどを語った。また、出席はそれぞれがこの会場にいる後輩たちにオリンピックを目指す心構えやアドバイスを自身の経験、指導者の立場からメッセージを送った。
2020年の東京五輪に話が及ぶと高田裕司監督は「金メダルを30個前後、リオでは12個で国別5位だった順位を3位に目標を置いています。過去のメダル数を見てもチームスポーツが頑張らないとメダルが増えないが、東京五輪では野球や空手など日本に有利な種目が入ってくるので」とメダル獲得への課題と期待を語った。さらに、「選手に言いたいのは、今指導している先生たちは皆さんたちのことを常に考えて、それがアスリートを大事に考えるアスリートファーストではないかと思います。山梨学院のスタッフは選手のことを一番に思って指導しています。これからもこの考え方で行けば、この会場にいる皆さんから次の世代のオリンピック選手が必ず出てくると思っています。前にいる先輩方に負けずに、山梨学院が続く限りオリンピックに出てください。それが我々の願いです」とシンポジウムを締めた。会場には15競技の山梨学院カレッジスポーツ強化育成クラブ員、スポーツ科学部学生、教職員約600人が集まり、興味深い話に耳を傾けていた。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2017.3.2