●全国高校選抜ホッケー大会 決勝戦
~山学高、大健闘するも優勝に後一歩及ばず~
~2連覇した天理高と最後まで好ゲームを展開~
平成28年度「第48回全国高等学校選抜ホッケー大会」男女決勝戦が3月29日、岐阜県各務原市・川崎重工ホッケースタジアムで行われた。山梨学院高校は、26日の男子1回戦、福井県立丹生高校に3-0、2回戦準々決勝で鳥取県立八頭高校に4-1で快勝して、28日に行われた準決勝では開催地の県立岐阜総合学園高校に3-2で勝利し、2012年以来の決勝に進み、29日最終日、前回大会優勝の奈良・天理高校と対戦した。試合は、天理高校が立ち上がり1分、鮮やかなシュートを決め先制点を奪った。山梨学院もPC(ペナルティコーナー)を獲得して3番・井上晃希が確実にシュートを決め同点とするも天理は立て続けにゴールに迫り1-3とリードした。反撃する山梨学院もPCで井上と6番・伊藤裕哉がともにフリックシュートを決め同点として前半を終了した。後半は、天理ペースで試合が進み、山梨学院もカウンターから相手陣内に切り込むが得点に繋がらない。中盤に相手にPCを奪われ、フリックシュートも決められ1点を先行された。初優勝を手中にしたい山梨学院は最後の力を奮い立たせ攻めるも叶わず、そのまま3-4で試合終了。健闘したものの後一歩及ばず準優勝となった。天理高校は前回に続き2年連続、10度目の優勝を果たした。3位は埼玉・飯能南高校と岐阜総合学園高校で分けあった。女子の優勝は福井・丹生高校、準優勝栃木・今市高校、3位は天理高校と福岡玄界高校となった。
昨日の準決勝終了後、飯田裕一郎監督は「やってきたことが出せれば」と静かな闘志を見せていた。決勝戦は、思わぬ展開を見せた。試合開始1分で天理高校が素早いパスでの左からの折り返しで簡単にシュートを決め、山梨学院は先制点を奪われた。早い時点で点を奪いたい山梨学院は、9分にPC(ペナルティコーナー)を得ると3番・井上晃希がゴール右上にフリックシュートを決め同点とした。その後、天理高は果敢にゴールを狙うセンタリングやパス回しで山梨学院陣内に攻め込み、11分、17分にシュートを決め1-3と優位に立った。追いつきたい山梨学院も相手センター内に迫り、相手のミスを誘うPCで22分に再び井上が、26分には伊藤裕哉がフリックシュートを決め、同点とした。後半は、天理が攻撃を仕掛ける展開で進む。13分には山梨学院もPCを得ると、この日当たっている3番・井上がフリックシュートを放すもゴールの枠をはずし、逆転のシュートとはならなかった。この時、山梨学院の応援席で大きな声で声援を送っていた山梨学院大ホッケー部男子約50人の大きなため息が漏れた。その後は、一進一退の激しい攻防が続く中、19分天理にPCを奪われると、それを確実に決められ、均衡が破られた。残り時間が少なくなり、追いつきたい山梨学院は一丸となり速い展開を仕掛けるも天理の堅守を打ち破れず、無情にも試合終了のホーンが鳴り響いた。
第48回全国高等学校選抜ホッケー大会 決勝戦 山梨学院高校VS天理高校 3/29 川崎重工ホッケースタジアム |
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● 山梨学院高校 3 | 前半 3-3 後半 0-1 |
4 奈良・天理高校 ○ |
得点:井上2・伊藤(山梨学院) |
試合終了後に表彰式が行われ、山梨学院は準優勝の表彰状と記念の盾、登録メンバー全員にメダルが贈られた。今大会の結果は、男子優勝奈良・天理高校、準優勝・山梨学院高校、3位は埼玉・飯能南高校と岐阜総合学園高校。女子優勝は福井・丹生高校、準優勝・栃木・今市高校、3位天理高校と福岡玄界高校となった。
飯田裕一郎監督は「率直に悔しいです。最初の出足の選択を間違えて、相手に最初やられてペースが狂いました。相手の守備に対して逃げてしまった部分があったので、そこが普段通り積極的に攻めることが必要だった」と敗戦の弁を語った。「トップスピードにおけるボールの精度、一対一の守備、判断力が課題です。次は、インターハイの優勝を目指します」と次に目標を定めた。故障を抱えながら4試合フィールドで奮闘した高橋洋介主将は「怪我人が多くて、出場できるか分からなかった状況でしたので、準優勝はうれしいです」と素直に喜んだが、「相手の最初の迫力に押され、今までにない早い時間に失点してしまったことが負けた要因です。攻められたときにマークが外れたり、一対一で抜かれたところで我々はまだまだだなと思いました。次は天理を倒せるように練習をします」と反省を口にした。2得点を上げ、チームに勢いづける活躍を見せた井上晃希選手は「悔しい気持ちが一番です。後半に逆転できるPCを自分から打たせてもらったのに決められなかったことが自分の甘さだと思います」と悔やんだ。前半同点のPCでシュートを決めた伊藤祐哉選手は「勝てる場面もあったのに、そのことを考えると余計に悔しさが増します」と残念がった。昨日の試合後に毎試合得点すると話し、「その1点で勝負が決められることが多いので、今日は負けましたが強いチームから大事な1点が入れられたことは良かったです。今度は天理に負けないように頑張ります」と雪辱を誓っていた。
昨年暮れの「全国高校ホッケーチャンピオンズカップ」で初の全国大会優勝を経験。今大会で2012年に続き2度目の準優勝に終わった山梨学院高ホッケー部だが、このチームは大きく飛躍した。高橋主将を軸に声を掛け合い一丸となり大健闘した。ボールに喰らいつき、相手の陣地に果敢に攻め込み、相手の攻撃に身体を張って阻止する、決して諦めない確実に強くなった姿を見せてくれた。今大会の決勝戦敗退を糧に、さらに堅守速攻に磨きを懸けその先にある全国制覇に、選手たちの笑顔に思いを馳せる。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2017.3.29