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●第十九回酒折連歌賞「問いの片歌」記者発表
~「答えの片歌」の募集要項等を発表~
~4月1日より募集開始、9月30日まで~

酒折連歌賞実行委員会は3月30日、山梨学院広報スタジオで「第十九回酒折連歌賞『問いの片歌』」記者発表を行い『答えの片歌』の募集要項などを説明した。酒折連歌賞は、多くの人に連歌に興味・関心を持ち、連歌を蘇らせ文化の振興、文化の創造に資することを目的に1998年(平成10年)、山梨学院大学が母体になり創設された。文学形態上からも珍しく特色があるといわれ、伝統を現代に活かそうという試みは、今回で第十九回を数える。「古事記」によると倭建命(日本武尊)が大和への帰途に酒折宮に立ち寄った際、詠んだ片歌に御火焼(かがり火役)の老人が片歌で返した逸話が連歌の起源とされたことから、酒折宮が連歌発祥の地といわれるようになった。「酒折連歌」と名づけているものは、5・7・7の問いの片歌に対して5・7・7の答えの片歌の問答形式になっている。記者発表では第十九回の問いの片歌『百年を考えている夏目漱石』『ニホニウム113をはじまりとして』など5句が発表された。他に「酒折連歌賞」の概要、前回の応募状況、今回の応募要項についての詳しい説明があり、実行委員会事務局は前回の「答えの片歌」33,634句を上回る応募に期待を寄せている。答えの片歌の募集期間は4月1日より9月30日までとなっている。

問いの片歌記者発表は、まず、廣瀬孝嘉酒折連歌賞実行委員長が「『古事記』によると倭建命(日本武尊)が大和への帰途に酒折宮に立ち寄った際、『新治 筑波を過ぎて 幾夜か寝つる(新治・筑波の地を過ぎて、ここまで幾晩寝たのか)』と問いかけたところ、御火焼(かがり火役)の老人が『かがなべて 夜には九夜 日には十日を(日数を重ねて、夜では九夜、昼では十日~九泊十日~ですよ)』と答え、この問答が酒折連歌の起源とされたことから、酒折が連歌発祥の地といわれるようになった」と由来を説明。次に酒折連歌賞の経緯、応募数の推移、また33,634句の応募があった前回の年代別・性別・都道府県別などの応募状況をパワーポイントを使い詳しく紹介した。次に今回の「問いの片歌」5句を発表と選考委員の紹介をした。

◆第十九回酒折連歌賞「問いの片歌」

1. 百年を考えている夏目漱石
2. 森へ入る儀式のように小声でうたう
3. 手を洗う水に季節の移ろいを知る
4. 十字路で迷子になったちいさな羊
5. ニホニウム113をはじまりとして


問いの片歌は5句。幅広い年齢層が応募できることを考慮し、各選考委員がそれぞれ持ち寄った数句を熟考を重ね選出した。選考委員は昨年同様、俳人・現代俳句協会特別顧問、日本芸術院会員の宇多喜代子さん、歌人・歌誌「りとむ」発行人、宮中歌会始選者の三枝昂之さん、同じく宮中歌会始選者の歌人・今野寿美さん、俳人で俳誌「郭公」主宰・井上康明さん、歌人・もりまりこさん、第147回直木賞受賞作家・辻村深月さんの6人。

続いて事務局から応募要項の説明があり、応募は上記の問いの片歌5句すべてに何句でも可能であることや4月1日より9月30日までの応募期間。また、表彰は、一般部門に大賞・文部科学大臣賞1句、山梨県知事賞1句、山梨県教育委員会教育長賞1句、甲府市長賞1句、入選10句、優秀賞12句、優良賞54句、将来楽しみな才能を見出すことを目的に、小・中・高校生の作品を対象に設置したアルテア部門の大賞・文部科学大臣賞1句、佳作19句が選出されることなどが紹介された。さらに、前回の酒折連歌賞から一般及びアルテア部門の大賞には、受賞者の名前を刻して、栄誉を長く称える大賞杯(カップ)を授与したことなどが報告された。結果発表は、平成30年2月1日に酒折連歌賞ホームページで公表すると説明した。

最後に廣瀬孝嘉実行委員長は「酒折連歌は、問いがあって答えがある。二人が向かい合って問答するところに酒折連歌の原点があります。さまざまな年齢層がひとつの問いに対して答えを競い合うところに楽しさがあります。相手を受け止めた上での言葉選びにこの文芸の特色があります。鑑賞や創作を通して心のふれあいが生まれ、独吟では得られない生きたコミュニケーションが形成されていくのが大きな特長です。本県発祥の貴重な文化として、酒折連歌の裾野がさらに広がっていくことを願っています」と話した。発表後に報道各社との質疑応答が行われた。

文(K.F) カメラ(平川大雪) 2017.3.30