●やまなし学研究2017 開講
~一つのテーマを深く掘り下げる7回講座~
~前期コース「中世から近世にかけての甲州」~
山梨学院生涯学習センターは4月26日、「やまなし学研究2017」第1回講座を開講した。やまなし学研究は、前期コースと9月開講の後期コースがあり、テーマに関心があり、積極的に参加できることを条件に受講者を募っている。この講座は毎回好評で講義室が満席になる盛況ぶりを呈している。今回の講座も一昨年から試みられた講義方式で、全講座を一人の講師がテーマについて解説するスタイルで行われ、深くテーマを掘り下げた講座を展開する。今年度の前期コースは、戦国時代の武田家の隆盛から滅亡までの中世から、近世の江戸時代に浅野長政が築造した甲府城について学ぶ「中世と近世にかけての甲州」。歴史考古学が専門の帝京大学大学院文学研究科教授で山梨県立考古学博物館館長の萩原三雄氏が講師を務める。後期コースは、「山梨の風土と政治」が9月から予定されている。前期コース第1回目は「武田信虎と甲府開府」と題したテーマで講義が行われた。会場の山梨学院クリスタルタワー生涯学習センター講義室は今回も満席になる盛況ぶりで一般91人、本学学生8人、合計99人が参加。熱心に話しに聞き入った。講義後半コーディネーターを務めた椎名慎太郎山梨学院大学名誉教授が参加者に意見を求め、質疑応答が行われた。
山梨学院生涯学習センターは、本学が持つさまざまな『教育・学習資源』を地域に開放し、地域の人々との柔軟な協働を通して、現代社会の要請に応えうる多様な生涯学習事業を年間を通じて展開している。「やまなし学研究」は、山梨の文化・社会・風土・歴史など多様な観点から課題や今後の可能性を検討する講座。講座は、本学学生が総合基礎教育科目として履修することが可能で、一般社会人と同じ講義室でともに学ぶユニークな地域学研究。4月からの前期コースと9月からの後期コースに分け、ともに受講生を募集する形で行われる。今年度の前期コースは「中世から近世にかけての甲州」が研究テーマ。4月26日より7月19日まで隔週水曜日に開講される7回講座。山梨学院クリスタルタワー6階生涯学習センター講義室で行われる。
開講にあたって永井健夫生涯学習センター長は「やまなし学は今年度で14回目の開催となります。講師が一人で7回全て講義し、一つのテーマを深く掘り下げるスタイルは、一昨年度から始め大変好評だったこともあり、今年も同じ形で詳しく学べる機会を作りました」と挨拶した。前期コースの講師は、歴史考古学が専門で帝京大学大学院文学研究科教授・山梨県立考古学博物館館長の萩原三雄氏があたり、7回にわたり講義する。今回の講座は、文献資料が乏しい時代を読み解くために、人間の過去の発展をその遺物を通して研究する考古学見地から検証する。第1回目は「武田信虎と甲府開府」のテーマで行われた。平成31年、武田信虎がつつじが崎に館を構えて開府してから500年になる。武田家というと信玄のイメージが強く、父親の信虎は『暴君』で子によって追放されたという負のイメージが勝ち、あまり知られることがなかった。講座では、歴史考古学の切り口で、信虎が乱れた甲斐国を統一し、甲府の城下町を開府するなど画期的な政策を推し進め、武田家の基盤を築いた足跡を解説した。萩原三雄氏は「武田家の守護所は現在の石和、八代、塩山、山梨市など峡東地域に置いていたが、信虎は戦が絶えなかった甲斐国を統一し、大いなる決意を持って、甲府つつじが崎に館を移し開府。鎌倉の地理的側面や京都の町並みに倣った城下町を整備し国衆ら家臣を集住させた。信虎は悪いイメージが根付いているが、そのようなことを示す資料はなく追放を正当化する目的に流布された可能性がある。実際は武田家の礎を築いた苦労人。信虎は歴史の記憶を伝承するべき人物」と解説した。萩原氏の巧みな話に講義室を埋めた91人の一般参加者と8人の本学学生が熱心に耳を傾けメモを取っていた。講義後半では椎名慎太郎山梨学院大学名誉教授がコーディネーターとなり、参加者との質疑応答がなされた。
◆前期コース:「中世から近世にかけての甲州」
講師:萩原三雄(帝京大学大学院文学科教授・帝京大学文化財研究所所長・山梨県立考古学博物館館長)
日程(毎水曜日) | テーマ | |
第1回 | 4月26日 | 武田信虎と甲府開府 |
第2回 | 5月10日 | 武田信玄の偉業 |
第3回 | 5月24日 | 甲斐金山と鉱山技術 |
第4回 | 6月 7日 | 中世在地土豪の世界 |
第5回 | 6月21日 | 新府落城と武田勝頼 |
第6回 | 7月 5日 | 甲府城築造と織豊城郭 |
第7回 | 7月19日 | 甲府城天守の謎 |
後期コースは、椎名慎太郎山梨学院大学名誉教授が講師となり「山梨の風土と政治」のテーマで9月20日から12月13日まで7回の講座を予定している。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2017.4.27