●2017春季関東地区高校野球大会 2回戦
~山学高、3年ぶりの優勝に挑むも初戦敗退~
~夏の甲子園に向け、明日より次の挑戦が始まる~
「第69回春季関東地区高校野球大会」が5月20日、茨城・水戸市民球場、ひたちなか市民球場で開幕した。大会は24日までの5日間の日程で行われる。関東8県各2校の16校と開催県の茨城県から2校が加わり18校が出場。東京都代表の早稲田実業、日大三高、神奈川県代表の横浜高、東海大付属相模原高、埼玉県代表の浦和学院高など強豪校の好試合が予想され、初日から盛り上がりを見せた。山梨学院の春季大会出場は、67回大会で優勝して以来3季ぶりの出場となり21日、ひたちなか市民球場で行われた2回戦3試合目に登場。今年の全国高校野球選抜大会に出場した群馬県代表の高崎健康福祉大学高崎高校(健大高崎高)と対戦した。健大高崎高は20日の1回戦で茨城県代表の石岡第一高を8回コールドで破って2回戦に進出。先攻の山梨学院は2回、3回と走者を出すも、得点に結びつけることができない。山梨学院先発の左腕宮内大河(3年)と相手投手の好投で4回まで無得点。試合が動いたのは5回裏、健大高崎の先頭打者が一塁線を破る二塁打を足がかりに好機を広げると、宮内は二死を取ったものの、守備の間に落ちる不運な安打で1点先制を許した。好投した宮内に代わった石井友樹(3年)も1点適時打を許しこの回2点を先行された。7回裏にも石井は二死後から4連打を浴び2点を加点された。山梨学院は8回まで相手投手の緩急を織り交ぜた巧みな投球で散発4安打と打線を封じ込められ、9回表も山梨学院の攻撃は二死を取られ後がなくなった。3番栗尾勇摩(3年)が変化球に逆らわず放った右前打を足がかりに四球、内野安打、死球と繋いで1点を返した。なおも満塁に、途中からマスクを被った五十嵐寛人(3年)が初球を2点左前適時打として1点差に詰める。ここで一気に逆転を狙うも、続く代打の関口俊哉(3年)が打った4球目は中前に抜けようかとする鋭い当たり。同点と思われた瞬間、相手遊撃手の好守に阻まれ万事休す。山梨学院は初戦で敗退した。明日からは2年連続夏の甲子園に向けて次の挑戦が始まる。
山梨学院は、昨年の甲子園出場を決めた夏の山梨県大会、秋の山梨県大会優勝で秋季関東大会。そして春の山梨県大会を制し、3季連続山梨県大会優勝の栄誉を携え、春季関東大会に3年ぶり10度目となる出場権を獲得した。打撃の弱さを徐々に克服し、磐石の投手陣と打撃が噛み合い、山梨県大会では準決勝まで4試合連続のコールド勝ちを収めた。この強さを持って、関東の強豪とどれだけ渡り合えるのか。また、夏への試金石となる大会と位置づけ茨城県に乗り込んだ。
山梨学院の初戦は、14時30分、夏の日差しが照りつける茨城・ひたちなか市民球場で予定より30分遅れで始まった。先攻の山梨学院は2回、3回と走者を出すも、打者・走者の連係の悪さや牽制で射されるなどミスが重なり好機を広げることができない。両校の攻防は山梨学院先発の左腕宮内大河(3年)と相手投手の好投で4回まで一進一退の無得点。試合が動いたのは5回裏、健大高崎高の先頭打者が一塁線を破る二塁打。次打者の犠打で三塁に進塁。続く打者にはスクイズを警戒し四球を出し、一死三塁一塁。続く打者を難なく打ち取り二死になるも、次の打者の時、投じた2球目、力なく遊撃手の背後に上がった球は不運にも中堅との間に落ち、先制点となってしまった。悪い流れを断ち切るために次打者に県大会で好投した右腕石井友樹(3年)を投入した。しかし、石井が投げた130キロ台後半の直球は、右前に運ばれ2点目を奪われた。7回裏には続投する石井は簡単に二死を取るも、4連続安打を浴び2点を追加された。山梨学院打線は、相手投手の緩急が冴える投球にタイミングが合わず8回まで単発4安打。9回最後の攻撃も二死。3番栗尾勇摩(3年)は逆らわずに右前安打、小林侃汰(3年)の四球、5番丹沢海輝(3年)の三塁内野安打で満塁にすると、続く村田海斗(3年)が四球を受け1点を返した。続く途中からマスクを被った五十嵐寛人(3年)は、動揺した相手投手の初球、甘く入った変化球を三遊間にきれいに破る2点左前適時打で1点差に詰め寄った。なおも走者二塁一塁の同点の好機に、代打の関口俊哉(3年)の中前に抜けようとする鋭い当たりを相手遊撃手が横っ飛びで捕らえる好守に阻まれ、追加点はならなかった。山梨学院は初戦で敗退した。
◆山梨学院高VS高崎健康福祉大高崎高 5/21(日) 茨城・ひたちなか市民球場
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 | |
山梨学院高 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 3 |
健大高崎高 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 | 0 | X | 4 |
山梨学院高 安打7 四死球4 三振2 失策1
健大高崎高 安打9 四死球2 三振2 失策0
◆山梨学院高バッテリー:宮内→石井→栗尾 ー 山本→五十嵐
[投手]○宮内4回2/3 投球数48 安打3 三振0 四死球2
○石井2回1/3 投球数40 安打5 三振1 四死球0
○栗尾1回 投球数 7 安打1 三振1 四死球0
[交代] ○栗尾(一)→佐藤颯(一) 清水玄(三)→(H)五十嵐(捕)→藤本(三)→(H)関口
松尾→(H)村田
試合後、吉田洸二監督は「前半の牽制アウトなどのミスをなくさないと駄目ですね。いつも出ているメンバーですので直さなければいけません。宮内は上等だったです。うちは投手が揃っているので代えたのは、負担を考えてのことでした。負けはしましたけど夏には繋がる試合でした」と話した。5回途中まで好投した宮内大河投手は「健大さんは振ってくるのでフライアウトを狙って低目をしっかり投げることができたので良かったです」。不運な得点のされ方については、「真っ直ぐに圧すことができたんですけど、相手が一枚上手でした」と謙虚に応えた。「今日のピッチングで結構自信をつけることができたので、投手陣のレベルを上げて、自分のスタイルを確立して全国に行きたいです」と次を見据えた。最終回に山梨学院の意地を見せた五十嵐寛人選手は「自分たちがミスしたことが大きいので悔しいです。相手投手は適当に荒れていて球速も結構あったので少し打ちづらかったですが、どうにかできると思っていたんですけど、ヒットも余りでずにやられました。この関東大会でいくつか勝って、いろいろ試したいこともあったのですが、健大さんとやらせてもらい、最後は何とか食らいつくことができたことで課題を修正して夏に挑みたいです」と話した。夏の全国高校野球選手権山梨県大会は7月8日から始まる。
文(K.F)カメラ(平川大雪)2017.5.21