●2017全国高校野球選手権山梨大会 3回戦
~圧巻!石井。7回をパーフェクトの好投~
~打線も効率よく得点。日大明誠に3-1の勝利~
「第99回全国高校野球選手権山梨大会」、大会6日目3回戦が7月15日、甲府市・山日YBS球場で3試合が行われた。2年連続7度目の甲子園出場を目指す山梨学院高校は、第1試合で日大明誠高と対戦した。連日真夏日が続く中、この日も朝から日差しが容赦なく照りつけ気温が上昇。午前9時、山梨学院の先攻で始まった。試合は四回表に先頭打者中尾勇介(2年)の安打を栗尾勇摩(3年)の犠打と4番五十嵐寛人(3年)の安打で一死三塁一塁。二死後、一塁走者の五十嵐がディレートスチール(盗塁)を仕掛けると、その間に三塁走者の中尾が本塁に還り、1点を先制。続く五回には一死後、7番松尾孝太(3年)の三塁打を次打者の8番広瀬巧真(3年)が犠牲フライで追加点を上げた。さらに八回には先頭の丹沢海輝(3年)の二塁打を続く中尾の犠打と栗尾の犠牲フライで手堅く得点を加えた。山梨学院の先発石井友樹(3年)は初回の立ち上がりから七回まで一人の走者を出さない圧巻の投球を見せ、完全試合も期待させたが、八回に死球と安打で無死の走者を出すと、吉松塁(3年)にマウンドを託した。吉松は後続を3人で抑えたが1点を許した。試合は最終回、両校とも無得点に終わり、山梨学院が3-1で勝利しベスト8に駒を進めた。
すでに大会も6日目に入り、熱い戦いも中盤を折り返し後半に入った。各校も夏に標準を合わせレベルアップを図ってきており、シード校も敗れる波乱が起きる中、夏は何があるか分からない。山梨学院は昨年甲子園を経験した3年生を中心に昨秋、今春の県大会と3季連続優勝を果たしている。投打のバランスで勝れ総合力で一歩リードし、優勝争いの軸になっているものの、春の関東大会に山梨学院とともに出場した駿台甲府高や13回の夏の甲子園出場を経験し2年ぶりの出場を目指す東海大甲府高、日本航空高らの強豪校が後に続き予断は許されない。
山梨学院の2戦目の対戦相手は日大明誠高。午前9時から始まる試合に詰め掛けた熱心な高校野球ファンや保護者、両校応援団で内野席はほぼ満員。外野の芝生席の木陰にも観客が集まり選手たちの熱い躍動を見守った。この日の最高気温は37度と予想され、朝からジリジリと気温が上昇。日差しが容赦なく照りつける中、試合は山梨学院の先攻で始まった。一回表、先頭打者の丹沢海輝(3年)が四球を選ぶと、2番中尾勇介(2年)は投手ゴロWプレーで二死。3番栗尾勇摩(3年)が中前打と盗塁で二塁に進み一打先制のチャンス。4番五十嵐寛人(3年)の左前打で栗尾は猛然と本塁に突っ込むもタッチアウト。先制点はならなかった。山梨学院の先発は初戦同様、サイドスローの右腕石井友樹(3年)に託された。初戦は四回5安打2失点と、不満の残る投球だったが、この日は違った。日大明誠打線を相手にストライクが先行し、コーナーを丁寧に突く投球で三回を僅か24球で3者凡退に仕留めた。四回表、山梨学院は先頭の2番中尾が左前打で出塁。すかさず3番栗尾が犠打で二塁に勧めると、4番五十嵐が三遊間を抜く左前打で一死走者三塁一塁。二死後、6番清水玄司(3年)の2球目。一塁走者の五十嵐が二塁にディレードスチールを仕掛け、二塁一塁間に挟まれている間に三塁走者中尾が本塁を突き1点を先制した。五回表には、一死後、7番松尾孝太(3年)が左翼越えの初戦に続く三塁打で出塁。8番広瀬巧真(3年)の犠牲フライで1点を追加した。八回には先頭1番丹沢が初球の直球を左中間に運ぶ二塁打で出塁すると、2番中尾は初球をきっちり犠打で送り、一死三塁に3番栗尾は犠牲フライで3点目を挙げた。投げる石井は、四回以降も好投を続け七回まで走者を一人も出さないパーフェクト投球を続けた。八回裏、疲れが見えたか、石井は先頭打者にストレートの四球を出すと、続く打者に中前に初安打を打たれた。ここで山梨学院ベンチは、左腕の吉松塁(3年)をマウンドに送った。吉松は130キロ後半の直球を中心に後続をきっちり3人で抑えるも、1点を返された。吉松は九回も3人で抑え、山梨学院は3-1で勝利。ベスト8に駒を進めた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 | |
山梨学院高 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 3 |
日大明誠高 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 |
山梨学院高
[投手]石井→吉松 [捕手]五十嵐
石井7回0/3 投球数79 安打1 四死球1 三振7
吉松2回 投球数25 安打0 四死球0 三振2
[打撃] 安打9《三塁打:松尾1 二塁打:丹沢1 安打:栗尾2・五十嵐2・中尾1・
小林1・清水1》四球3 三振3
試合後、吉田洸二監督は「今シーズン一番の試合。ベストゲームでした。負けるとしたらこのパターンで最後やられる。粘ってくれました。きつかったと思いますよ。今日の試合が一番」と満面の笑みで応えた。好投した石井投手には「ナイスピッチングでした。今日は石井につきます。相手の打者に力任せにいかないでよく見て投げていました。」と称えた。次の試合に向けては、「次からいよいよ夏本番です」と気を引き締めた。石井友樹投手は「初戦の甲府南戦は先発として試合を作れたと自己採点していないので、今日はしっかり試合を作ることを意識してマウンドに立ちました。相手は強振してくるチームなので甘くならなければ打たれないと話していたので、力で押すというよりはコースを攻め、打ち気をそらすことを心掛けました。初めての夏なので8回まで行ったので自分の成長を感じます」と最後は胸を張った。栗尾勇摩主将は「二人の投手が粘って投げてくれたですが、チームとしては最低ラインとして5点を取ろうという試合にするつもりでいました。思っていた以上に相手投手の粘りもあり、上手い具合に攻めることができませんでしたが、それでも少ないチャンスをものにして3点目が取れたことは良かったと思いますし、昨年は大勝で勝利が続いので劣勢になった時の緊張感というのが感じることができない優勝だったので、大会の中で成長していくことをテーマにしてこのような接戦をものにできたということはチームとしては非常に大きなことだと思います」と先を見据えている。
準々決勝は7月19日(水)午前10時、甲府市・山日YBS球場で甲府工業高校とベスト4を懸けて対戦する。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2017.7.15