山梨学院パブリシティセンター

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●2017全日本学生レスリング選手権(インカレ)
~グレコ130㎏級、貝塚悲願の初優勝~
~高橋グレコ59㎏級、納得いかない3位~

レスリング世界選手権での日本勢が獲得したメダルラッシュによる盛り上がりの中、文部科学大臣杯「2017年度全日本学生レスリング選手権大会」(インカレ)が8月28日、東京・駒沢体育館で開幕した。明日のレスリング界を背負う若い力が全国から結集、各階級の頂点を目指して熱い戦いが31日まで4日間の日程で繰り広げられる。男子は前半の2日間はグレコローマンスタイルと後半2日間はフリースタイルという日程で行われ、山梨学院からは、グレコローマンスタイルに10人、フリースタイルに30人がエントリーした。大会前、貝塚賢史(4年)は山梨学院勢の活躍に「刺激になりました。自分もこれから始まるインカレや次の世界選手権、オリンピックに向けて頑張りたい」と話した。28日(ベスト16まで)・29日(決勝まで)に行われたグレコローマンスタイルに出場した9人(2人棄権は含まず)の選手の内、59級㎏級の高橋三四郎(2年)が29日行われた準決勝(ベスト4)に第1ピリオドをリードして折り返したが第2ピリオド、盛んに攻めるが相手のプレッシャーに逆転され敗退し、同率3位となった。他の59㎏級の5選手のうち二人が3回戦、一人が初戦敗退。二人が棄権した。66㎏級、80㎏級に出場した2選手はともに初戦敗退した。130㎏級に出場した2選手のうち貝塚選手が準決勝、決勝ともに驚異の粘りを見せ、悲願のインカレ初優勝を果たした。宮内健太(4年)はベスト8となった。明日はフリースタイル8階級ベスト16までが行われ、山梨学院は全階級にエントリーした

フランス・パリで行われていたレスリング世界選手権が8月26日に終了、日本選手は男子で金2個、銅1個、女子は金4個、銀1個、銅1個とメダルラッシュに沸いた。なかでも山梨学院勢はOB高橋佑希(ALSOK)が金メダル、現役学生の藤波勇飛(3年)が銅メダルに輝く活躍を見せた。今回は現役大学生の活躍も目覚しく4人のメダリストが誕生し、28日から始まった「2017年度全日本学生レスリング選手権大会」(インカレ)」に大きな弾みを付けた。試合前、グレコローマンスタイルに出場する貝塚賢史(4年 茨城・霞ヶ浦高)は「山梨学院から二人もメダリストが出て、とてもうれしく刺激になりました。自分もこれから始まるインカレや次の世界選手権、オリンピックに向けて頑張りたい」と話していた。

大会初日の28日はグレコローマンスタイル8階級のベスト16までの戦いが行われ、山梨学院勢は11人がエントリー、当日2人が棄権したため9人が試合に臨んだ。57㎏級では5人が出場。高橋三四郎(2年 山梨・農林高)が順当に勝ち進みベスト16入りとなり、2日目に進んだ。赤羽健(4年 長野・上田西高)、丸山智也(3年 韮崎工高)が3回戦で敗れ、ベスト16入りを逃した。残りの2選手は初戦敗退。66㎏級、80㎏級には一人ずつが出場したが初戦敗退した。最重量の130㎏級には昨年準優勝している貝塚賢史と宮内健太(4年 山梨・農林高)が出場。ともに初戦を突破し、ベスト8準々決勝に駒を進めた。

29日グレコローマンスタイル2日目は、最初に登場したのは59㎏級の高橋三四郎。昨年1年で出場したこの大会では初戦敗退、未熟さを露呈した。2年生で迎えたインカレは逞しさが覗いていた。3回戦の相手は、グレコの高校生チャンピオンで日体大の鈴木絢大選手。高橋は相手に不足なしと積極的に攻め、序盤に豪快なリフト技の大技で4ポイントを先取。後半終盤に追いつかれたが、残り5秒で再び4ポイントを加え、強敵を破りベスト8に進んだ。準々決勝は、手堅く勝利し準決勝に進出。準決勝の対戦相手は2016年JOCジュニア杯で優勝している青山学院大の難波陽選手。チームメイトの実力者丸山智也を初戦で破っている選手だ。高橋は前半から飛ばし、優位に進め第1ピリオドを2-0で折り返した。第2ピリオド序盤に4ポイントを奪われ逆転を許したものの、最後まで一進一退の好試合を展開。2-4で敗れたが同率の3位が決定した。高橋三四郎選手は「納得いかないです。この選手を破らないといけないです。でもまだ実力不足です」と悔しさを滲ませた。

一方、130㎏級の準々決勝に進出した宮内健太は、第1ピリオド終盤に後ろに返される大技で4点を失うも、直後に2点を返し3-5で折り返したが、その後は互いに決め手に欠き、挽回できずに3-6で敗れベスト8に留まった。この階級もう一人の貝塚賢史は、昨年この大会で1年先輩の同僚、OBボルチン・オレッグ(ブシロード)に決勝で敗れ準優勝に泣いた。2年時には3位と今大会では是が非でも優勝が欲しいと挑んだ。準々決勝は終始優位に攻め続け勝利。準決勝は力と力がぶつかり合う消耗戦。貝塚はある思いを抱いていた。5月下旬に亡くなった父親へ心に誓った約束だった。この最後のインカレで優勝の雄姿を見せることだった。試合は点の取り合いになった。互いに力の限りを尽くす。終了間際、貝塚が2点を取って逆転したと同時に相手に3回目の注意が与えられ、フォール勝ちとなり、決勝戦に駒を進めた。決勝戦でも1回り大きい相手にがむしゃらに攻め続ける。同点で迎えた後半終盤、相手への注意による1点が加わり、2-1の僅差で悲願の優勝を飾った。試合後、喜びを身体全体で表したが、その眼にはこらえ切れない涙が溢れていた。フリースタイルにも出場する貝塚は、大会後に亡き父に優勝の報告をするという。貝塚賢史選手は「とてもうれしいです。最初は調整の段階であまり調子が良くなかったので不安があったのですが、試合になったら動けたので、今まで練習してきたことの成果がでたと思います。見に来る予定の親が亡くなってしまって、絶対に優勝するんだと頑張りました」と涙で最後は言葉にならなかった。「この次にはフリーもあるし、グレコ選手権も天皇杯もあるので、いずれもいいレスリングをしたいと思います」と気持ちを奮い立たせた。

試合後、小幡邦彦コーチは「貝塚より大きい選手ばかりなので、それに対応する戦い方の練習をかなりしてきて、本人もコツコツと手を抜かないタイプなので、努力と練習量でそれが実って良かった。実力は五分だったので最後に前に出た分だけ勝ったですね。本当に頑張っていたのでうれしいです」と労った。山梨学院勢の世界選手権の活躍を「高橋も藤波もいい結果を残してくれたのでチームの士気も上がりましたし、明日からのフリーでも全員上位を目指して頑張らせたいと思います」と話した。

男子グレコローマン、女子フリースタイル全種目終了後に表彰式が行われ、優勝の貝塚賢史、3位の高橋三四郎ら各入賞者は、大会役員から表彰状とメダルを手渡され、記念写真に納まった。30日・31日は、男子フリースタイル8階級が行われ、山梨学院は全階級に出場する。グレコに引き続きフリーの選手の活躍が期待される。

文(K.F) カメラ(平川大雪) 2017.8.29