●「第1回 iCLAキャリアフォーラム」
~上場企業などの社員や経営者を講師に招き就活準備~
~就職も、起業も、自分を語れないと全てが覚束無い~
山梨学院大学国際リベラルアーツ学部(iCLA)は9月2日、「第1回 iCLAキャリアフォーラム」をiCLA棟で開催した。iCLAは山梨学院が2015年4月に世界各国から教員を招聘し、本格的なアメリカ式リベラルアーツ型教育を英語で行い、国際的な人材を育成することを掲げ開設した。今年度、1期生の3年生が3月に就活解禁を迎える。iCLAは、就職希望学生約40人(オープン参加者含む)を対象に、グローバルに展開し活躍している上場企業などに勤める若手社員や経営者の7人を講師に招き、「就活で難関を突破してきた本講師が、学生時代にどういった思考で、どう行動してきたかを知ることで、学生のキャリア形成の一助とする」ことを目的に企画した。参加学生たちは、7グループに分かれた社会人プレゼンテーションと座談会に真剣な眼差しで臨んだ。iCLA3年生の米本ゆいさんは「就職するにしても、起業するにしても、自分のことを語れないと、全てが覚束無いことが良く理解できた」と目を輝かせた。
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キャリアフォーラムは、まず7グループにそれぞれ講師が入り「自己紹介と話せる限りの恥ずかしい話、将来どういう風なキャリアを考えているか」でスタート。これで会場の雰囲気が一気に和んだところで、ベンチャーキャピタルの投資企業に勤める 北尾崇講師が、メキシコで起業したがトレンドを掴めなかった時代と現在の会社に最年少でキャピタリストとして勤務し生き甲斐を持って勤めているなどのキャリアを紹介しながら、就活におけるポイントを語った。それを受け学生は、自分に重ね合わせながら感想を述べる形式で、講師全員による社会人プレゼンテーションが次のとおり行われた。
8カ国10都市の拠点を有し累計200社を超える投資実績のネットビジネスに特化した、ベンチャーキャピタルの投資企業に勤める 北尾崇講師は「キャリアの選び方のポイントは大きく2つある。1つは今後の世の中のトレンドを確り掴んでもらいたい。今、知名度がある会社より、3年後、10年後の世の中を読み、どれが伸びる産業なのか、テクノロジーとしてはどういうところが注目されてくるのか、社会的要因・技術的要因・経済的要因・政治的要因など、様々な要因から未来を見て、トレンドを掴んで、会社を選び、キャリア選びを行ってもらいたい。2つ目は、社会の中で自分の強みというものは何か。例えば企業で必要とされる人材として、25歳の強みとベテラン65歳の強みを意識したケースで、ベテランにも負けない自分なりの強みを選べる存在になってもらいたい」と語った。
世界中のウェブサイトから情報を集め、世界中の人々に何時でも何処でもアクセスできることを目指し、世の中のデジタル化に取り組んでいる企業に勤める、平野いさむ講師は「1点目はDiversityという人材の多様性を重要視してほしい。Diversityの観点にたって、他者の違いを認めてアクセスする。例えば自分と価値観が違うからと接近しないのではなく、積極的に仲良くなって行ったほうが自分も幸せになる。2点目は会議とか友達との話し合いとかで違う意見ができた時に、NOではなくYES ANDという、『わかる、凄いねじゃあこうしよう』というマインドを持って生きて行ってほしい。これを意識していれば、就活もプラスに運ぶ」と語った。
その昔スプーンから飛行機までと言われた総合商社、現代は暮らしづくりから国づくりへと進化し続け、66カ国139拠点で世界を舞台に展開するグローバル総合商社に勤務する、多和田容子講師は「自分の目の前に、いくつか進む道があった時に、どういう基準で選ぶかを確り考えてほしい。私の場合は自分が正解だと思う選択をした訳ではなく、自分がこれを正解にしたい、いや絶対に正解にしてやるという気持ちになれるかで選択した。就活で10年後の自分が想像できる内定先より、自分がどういう風に荒波に揉まれているか全く想像できない内定先を、敢えて飛び込むことによって自分が知らなかった自分に出会えるのではないかと思い選んだ。これにより、どういう役割をこれからの社会の中で発揮できるのだろうかと考えが深まることに繋がった。学生には受け身ではない積極的な、正解にするための選択をしてもらいたい」と語った。
国内に約300支店以上、海外に約40拠点以上持つメガバンクでありグローバル総合金融コンサルティング企業に勤務する、林ハイディ講師は「大学を卒業してすぐには、自分がやりたいことができることは少ない。私のやりたいことは国際機関で働くことですが、先輩の話を聞いても、それには働いた経験があったり、大学院にも行ってさらに研鑽し、長いスパンで自分づくりをしないと成就できない。今、やれることを着実にやることが不可欠。学生時代の期間は短い、時間は相当限られているので、勉強や興味のあることを悔いのないように失敗を恐れずに果敢に挑戦してほしい、必ず道は開ける」と語った。
世界60カ国に250を超えるグループ企業を有し、一般消費者向けヘルスケア製品、医療機器、医薬品など安全性の高い良質な製品とサービスの提供で世界最大級のヘルスケアカンパニーとして躍進している企業に勤務する、寺下穂講師は「大学のリソースを活用してほしい。iCLAの特異の英語で行われている授業を一生懸命受けてもらいたい、また留学や学生活動などの奨学金プログラムを活用して自力をつけてもらいたい。その上で学内だけでなく他大学の学生や社会人とのコミュニケーションを通じてネットワークを広げ情報収集や感性を磨いてもらい」と語った。
高校2年生からイラストレーションや商業デザインを受注制作。2014年東京展奨励賞を受賞するなど、芸術家とCG制作会社代表の顔を持つ、吉田佳寿美講師は「仕事をするに当たって、社会人として就職するにしても、また何事も極めるにしても、物事の根本的な本来の姿として目の前の人が喜んでくれるか、幸福で満ち溢れるか。また、それが世のためになるか、はたまた人を助けることができるのか。さらに、この世の中のどれだけ沢山の人に及ぶのか、どれだけ大きいことができるか、これらを自問自答して可視化し、足りないところを補い不可能を可能にする気概を持つことが必要だ」と語った。
引き続き、7テーブルで座談会が3回ローテーションする形式で行われ、平野いさむ講師は「アイデアを出すことは重要か」という問いに、「社会人はアイデアを出すことも重要だが、アイデアを実行することも、継続することも重要だ」とアドバイス。吉田佳寿美講師は「進路で誰も歩まない道を選択する場合は、周囲から反対されるが」という問いに、「それは茨の道、それ故に周りの人が何故反対するのか自問自答して、どうしたら納得してもらえるのかを分析し、資料を整えることが肝心」と諭すなど、各テーブルの声が弾む。
最後に、指定のA3用紙に『講師の話や今日気付いたこと』、『大学生活で挑戦したいこと』、『卒業後にやってみたいこと』、『それを実行するためにやりたいこと』、最後に『今日の感想』を記入し、キャリアフォーラムは熱気に満ちあふれる中で終了した。
iCLA2年生の田中花歩さんは「自分に嘘をつかずに、自分の好きなこと、やりたいことをやる。私は、まだ、やりたいことはないが、好きなことは音楽・デザイン・英語・コミュニケーション・ファッション、それに言語学など一杯ある。点と点は必ず繋がるという諺を信じて、これらを楽しみながら高めて行きたいと思います。また、『自分の生活を見つめ直すだけでも、道は自ずと開ける』とアドバイスをいただいたので、自分に嘘をつかないで、いろんな人と会い、高みを目指したい」と希望に目を輝かせ述べた。
iCLA2年生の菊地利豪さんは「iCLAのオープンキャンパスの時に『新しい自分を見つけられる』と言われ、このフォーラムでも何人もの講師の方に『新しい自分を見つけられる』と言われました。これは自分を進化させなければならないと決意するとともに、iCLAでの修学の先には新しい自分に会えるのだと確信しました。将来、iCLAで英語で学んだ学問をベースに、日本と海外の国々との懸橋になれればいいと思います」と早くも新しい自分探しに着手していた。
iCLA3年生のイアン・ラーセルさんは「このフォーラムに参加して、講師の方から今やれることを全力でやることが大切と言われ、大変共鳴しました。学問に学生活動に引き続き全力投球したい」と一言一言噛み締めながら述べた。
iCLA3年生の米本ゆいさんは「キャリアフォーラムというと堅いイメージがあったが、講師が自分と年齢も近く、凄くシュチュエーションが似ていたので勉強になった。講師の方々は、自分のことを良く知っているなと思った。就職するにしても、起業するにしても、自分のことを語れないと、全てが覚束無いことが良く理解できた。また、各業界について知ることができ良かったです。今回あまり乗り気でなかったが、参加して本当に良かったと思います。留学など、できることを1つ1つ着実にこなし自分づくりに勤しみたい」と満面の笑みで述べた。
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iCLAは国際的な人材を育成するために、カリキュラムを1つの専門分野に閉じ込めずに、人文教養、社会科学、数理的推理、自然科学に加え、芸術、武道も英語で学べる分野横断型カリキュラムが特徴となっている。1クラス最大20名程度の少人数クラスで座学だけではなく、ディスカッションやディベート、実技を取り入れた学生参加型の講義を展開し国際的に通用する学生を育成している。
コミュニケーョン(プレゼンテーションとディベート)、日本文化(武道と書道)、キャリアデザインを教えているウィリアム・リード教授は「2年次にキャリアデザイン1、3年次にキャリアデザイン2、また、学年に関係なく、東京などに出向きキャリアフォーラムやインターンシップといった就職に特化した教育を行っています」。本日のイベントで「キャリアデザインの授業で、①自分の強み、②自分のパッション、③社会や企業のニーズ、④お金になるかの4つを上手く合わせると、生き甲斐になる。その生き甲斐を見つけてほしいと教えています。このフォーラムを体験してこのことが、いかに大切かを理解してもらえたと思う」と熱く語る。
就職・キャリアセンターの長田孝治主事は「学生は、このフォーラムを通じて、少なくとも将来を考える切っ掛けになったと思う。また、本講師が就活でどういった思考で、どう行動してきたかを知ったことで、キャリア形成の一助となったと思う。iCLAは授業のほとんどを英語で行い、科目の幅広い全方向型リベラルアーツ教育を行なっています。グローバルなセンスを身につけさせるために、1年間の海外留学を義務付けています。いよいよ予定では今年度の3月に就活が本番を迎えます。ウイリアム・リード教授と就職・キャリアセンターとは、これからも密接に協力して、就活に即した実践的なプログラムを提供するとともに、刻々と変わる就職情報を提供し、学生が納得できる就活ができるように奔走したい」と大きく頷いた。
学生たちが、このフォーラムを通じて得たノウハウで、さらに自分史に磨きをかけ、来たる就活で本領を発揮する日は近い。
文(H.K)カメラ(小池裕太)