●秋の関東高校野球県大会 開幕
~新チーム投手陣は両左腕の垣越と星野の二枚看板~
~力と技と心を磨く秋の陣、巨摩高を下し初戦突破~
“センバツ”につながる平成29年度秋季関東高校野球山梨県大会が9月2日に開幕、山梨学院高新チームは3日に初の公式戦に臨み、巨摩高を8対1(7回コールド)で下し3回戦に駒を進めた。上級生が2年連続夏の甲子園に出場する強豪チームだった分、1・2年生のほとんどは、これまで試合に出場する機会に恵まれてこなかった。3年生チームが甲子園に出発した8月1日に、いち早く小山台高と練習試合を行ったのを皮切りに、桐蔭高など関東近県の強豪校を砂田グラウンドに招き、あるいは相手校を訪ね、この日までに21練習試合を重ね、秋の陣に備えてきた。今のチームの力は未知数、この秋に力と技を磨き、冬に丸太トレーニングで心と体を鍛え、球春に備える。
秋季関東高校野球県大会≪山梨学院高vs巨摩高≫(9/3)甲府・山日球場
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 | |
巨摩高 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | ||
山学高 | 0 | 1 | 0 | 5 | 0 | 1 | 1X | 8 |
(7回コールド)
バッテリー 垣越―中込(山学)、宮下―奥谷(巨摩)
2塁打 垣越2 安打 山学9・巨摩6、失策 山学1・巨摩2、
新チームの投手陣は2枚看板。背番号1のエース垣越建伸投手(かきごし・けんしん、2年、岐阜・中山中)は183cm、92㎏の巨漢左腕、甲子園の最終回に1イニング投げた、重いストレートとチェンジアップが持ち味。この日は打線が湿っていた中で2塁打2本を放ち3打点、味方のミスで招いたピンチも3併殺などで切り抜け先発完投、一人気を吐きチームを勝利に導いた。もう一人の左腕星野健太投手(2年 玉幡中)は、この日は代打のみで投手としての出番はなかったが、切れ味鋭い球をテンポよく投げ込み打たせて取るタイプ。垣越は重いボール、星野はボールの切れで勝負する。2年生のダブルエースが新チームのディフェンスを牽引する。一方、攻撃陣は、唯一人の甲子園レギュラー中尾勇介(2年 大阪・南千里中)が3番に入り、4番には1年生ながら甲子園ベンチ入りした相澤利俊(1年 玉幡中)が入った。1番は久保秀太(2年 横浜・川和中)、2番は藤本新大(2年 大阪・山田中)、1番から4番まではほぼ固まったが、5番以降はその日の選手の調子を見て起用を決める方針。チーム内のレギュラー争いはこの日の初陣を境に激しくなる。
今年の夏の甲子園はホームランが多かった。広陵高中村奨成選手の1大会個人最多6本塁打、1試合で2本の満塁本塁打、大会新記録となる68本塁打などホームラン攻勢に沸いた。高校野球が送りバンドとスクイズで1点を取る野球から、体幹トレーニングと食生活の改善で体を強くし、鋭い打球を放つ野球に変ったことを象徴する夏になったのかも知れない。この野球は吉田洸二監督がいち早く取り組んできた野球でもある。2年前までは山梨の絶対王者であった東海大甲府高を昨夏の決勝では12対5、今年の春は5回コールド、夏の決勝は14対3と打力で圧倒し2年連続7回目の甲子園出場を果たした。しかし、甲子園では序盤で6点を先行されたこともあり、焦りから自慢の打撃力を発揮できないまま前橋育英高の強力打線に屈し初戦で終わった。新チームの選手達は、先輩達の圧倒的な強さを小瀬のスタンドで目に焼き付け、あと一打が打てなかっ た弱さを、あのアルプススタンドでその目に焼き付けて帰甲した。今の自分たちは、まだ先輩達のような強さは持っていない、個人の力もチームの力もまだ不足なことは知っている。ただ、先輩達も最初から強かったのではないことは見てきた。苦手を克服するために懸命に努力する姿も見てきた。自分達も先輩達のように努力を積み重ねる努力をすれば強くなれることは見てきて知っている。清水雄登キャプテンは「打撃力も守備力も一歩一伸ばして階段を上って行きたい」と話し、吉田健人コーチは「練習の中で創意工夫をし、一人一人の力を伸ばして行きたい」と話す。吉田洸二監督は「山梨学院に来て色々なことを経験し、生徒の人間性を高める指導をすると、どこまでも強くなる。心を育てたら、勝手に全国を狙えるチームが出来ていくということを、最近、判ってきました」と近況を語る。新チームは2年生18人、1年生24人、両学年とも山梨県出身者が半数を占める。吉田監督が就任時に描いた県内勢半分、県外勢半分の理想の形が5年目を迎えて整った。あとは選手達が互いに刺激し合い、砂田グラウンドの砂にまみれて、互いに切磋琢磨して行けばいい。その砂とその汗がそのあとの人生を支える心の糧となって行く。新チームの戦いは始まったばかり、秋の大会でメンバー入りした選手が、来春以降そのままベンチ入りする保障などどこにもない。選手 達は、この秋に自分の力を高め、冬には丸太を両腕で抱えて中腰で歩む厳しいトレーニングで体を鍛えるつもりだ。そして、来春には身も心も一段と逞しく成長させ、来夏には甲子園球場に立つ。
山学高の2戦目は9月16日(土)、山日球場第3試合(14時試合開始予定)で、上野原高と対戦する。
文(M.Ⅰ)カメラ(小池裕太) 2017.9.3