●オータムプロジェクト2017
~テーマは「昇~more than a feeling~」~
~集大成「輝学祭」に向け準備・活動追い込み~
山梨学院中学校が新しい学校づくり(イノベーション)に取り組み始めて4年目になった。改革の中心になるのが、教科の学習と並行して、学びの大きな柱となる「プロジェクト」という自主学習の積極的な取り組み。一年を通じて個人の興味・関心に従ってテーマを決め調査研究、その成果を論文にまとめていくのが「パーソナルプロジェクト」。他に数人から10数人のグループに分かれて課題を探求するのが「チームプロジェクト」。そのチームプロジェクトの中心になるのが、秋に取り組む「オータムプロジェクト」。4回目となる今年は、10月10日から22日の間、約2週間かけて文化的・芸術的・科学的活動を1年から3年生の学年の枠を超えて活動する教育プロジェクトが行われている。期間中、主に午後の時間を使い全学年全クラスによる合唱練習、チーム活動として「劇」、「MC研究」、「実験」、「動画」など7チームに分かれ、最終日の22日に山梨学院メモリアルホールで行われる「輝学祭」での発表に向けて準備が進められている。
オータムプロジェクトは、6月下旬に始動。今年は夏休みを挟み、夏休み後に生徒によるテーマ決定、チーム希望・活動計画表、運営方法などが決められた。オータムプロジェクトの狙いは、1.「先生がおしえること」から「生徒が学ぶこと」へのシフト。2.学年の枠を越えて学習に取り組み、協同で追求することの楽しさを味わうこと。3.輝学祭での学習成果の発表を通し、伝える力を育むこと。としている。4回目となる今年のオータムプロジェクトのテーマは「昇~more than a feeling~」に決定。4回目のオータムプロジェクトのテーマを阿久津大雅オータムプロジェクト実行委員長(中3)は「メインタイトルの“昇”は自分を高めるレベルアップするということなんですが、より具体的な意味の感性を高める“more than a feeling”とサブタイトルをつけました」と説明した。さらに「チームそれぞれだけではなくて合唱にしても、個人一人ひとり、クラス、全校すべてでレベルアップしていきたいという意味が込められています」と目的を話した。
今年のチーム活動は、「劇」、「影絵」、「実験」、「MC研究」、「身体表現」、「実験」、「動画」、「製作」の7チーム。
◆7チームによる活動内容
チーム名 | 活動内容 | 身につく力 |
○ 劇チーム | 自分たちの考えや意見を劇を通して伝える。1から自分たちの力で創り上げ完成度の高い作品にする。 | 仲間との協働。伝える力・表現力・発表力 |
○ 影絵チーム | 影絵の原理を学び、仲間と協力して作品を完成させる。 | 表現力・想像力・仲間との協働 |
○ MC研究 チーム |
発表と発表の間の時間を皆が楽しめるようにプロデュースし、「どうしたらその時間が充実したものになるか」ステージを盛り上げる。 | 計画力・対応力・構成力・創造力 |
○ 身体表現 チーム |
テーマに合わせたパフォーマンスを組み合わせ、リズムに合わせて身体を通じて表現する。 | 創造力・パフォーマス力・一体感 |
○ 実験チーム | チームでアイディアを出し合い、工夫し検討。実験したことをみんなに紹介するために分かりやすくまとめる。 | 創造力・表現力・仲間との協働力 |
○ 動画チーム | 各チームの活動の様子を取材、素材を集め、自分たちで構成を考え、分かりやすい動画にまとめる。 | 発想力・クリエイティブ力、構成力、仲間との協働力 |
○ 製作チーム | 黒か穴かというシンプルな美を追求。切り絵に光が通り抜けることによる、影の美を追求する。シンプルな素材を使い、立体的な美を作り出す。 | 発想力・創造力・表現力 |
本格的な活動が始まったのは10月10日から。各チーム、各クラス合唱は、22日までの約2週間の活動で精度の高いプロジェクトに仕上げていく。毎日の活動は、午前中の4時限目に全学年全クラスで合唱の練習が行われ、午後は、チームごとに分れ、それぞれの活動が行われる。「劇」チームは不思議の国のアリスの話をモチーフにした創作劇を創り上げるという。約30人のチーム全員で構成、脚本、演出、大・小道具、衣装、音響のすべてを担当。芙蓉ホールで行われていた練習に、総合リーダーで主役、監督を務める堀川敬瑚君(3年)は「いつもと違う、非日常の感覚を感じてもらえるような物語になっています。見所はエンディングです。きっと驚くと思います。見てのお楽しみです」と笑顔で話した。「実験」チームは、4つの班に分かれ巨大なシャボンを作るパフォーマンス、大きなビニール凧、ポリバケツ、ダンボールで作った空気砲などをグループごとに製作中。現在は細かなところを手直しの段階、発表までにより精度を上げていく。リーダーの近藤大斗(3年)は「今回の目玉は巨大シャボンなので、今は丈夫な幕が出来てない状態ですが、これが成功するところは是非見てもらいところです」と自信を覗かせる。プロジェクトを続けてきての問いに、「3年になって1年生と時と比べて自分としても友だちもしっかりしてきたなと感じます。このプロジェクトによってコミュニケーション能力や積極性が出てきたと思います」と話した。「影絵」チームはプロジェクターの光りで、演技をする仲間たちをスクリーンに映し出す影の動きの調整に余念がない。「動画」チームは各チームに分かれ、チームの活動の様子を紹介するため、構内を飛び回りタブレットや小型VTRカメラでチーム活動を撮影、その素材の編集作業に追われていた。
山梨学院中の全教室、廊下、ホール、実験室、校庭すべてで生徒たちの熱気溢れる取り組みが展開されていた。輝学祭は10月22日(土)、山梨学院キャンパス内メモリアルホールで11時50分から行われる。弁論発表の後、各チームプロジェクトの発表を行い、午後2時30分から各クラス合唱コンクールが行われる。
オータムプロジェクトというチームプロジェクトは、仲間と共に協働して課題に取り組み、一つの目的に向かい成果を共有するという喜びを体験する。山梨学院中学校249人全員が22日の輝学祭に向け、まっすぐに進んでいた。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2017.10.19