●2017全日本学生ホッケー選手権 決勝戦
~山学男子、天理大を退け3連覇5度目の優勝~
~女子は3位死守、来年に雪辱を期す~
「第66回男子・第39回女子全日本学生ホッケー選手権大会」(インカレ)は11月12日、立命館ホリーズスタジアムで男女の3位決定戦と決勝戦が行われた。女子3位決定戦は、前回大会優勝の山梨学院大と3位の東海学院大。男子決勝戦は前回大会優勝の山梨学院大と昨年も決勝戦を戦った天理大と対戦。午後に行われた男子決勝戦は、両チーム譲らない激しい試合展開となったが、後半の早い時間にドリブル突破した小川恭平(3年)のパスを山﨑晃嗣(4年)が受け、混戦の中、上澤祐斗(3年)が決め先制。中盤には天理のボールをカットした山﨑がセンター内に持ち込みシュート。2点をリードし優勢に立った。対する天理も終盤に得点し、1点差に迫るとGKをはずし全員攻撃で反撃を試みたが、山学は追撃を許さず勝利。3年連続5度目の優勝を飾った。一方、山梨学院女子は東海学院大との3位決定戦に臨んだ。前半から優位に試合を進める山学は25分、河村元美(4年)が得たPC(ペナルティコーナー)を藤林千子(4年)が決め、先取点を奪った。後半8分にはPCから藤林が打ったこぼれ球を河村が決め2点目を挙げた。試合は終始山学ペースで進めるも、26分、パスを手薄なディフェンスのセンター内に通されシュートを決められ点差を詰められた。山学はその後は、勝利に執念を燃やし攻撃を仕掛け1点を守り3位を死守した。
◆ 男子決勝《山梨学院大VS天理大》
決勝戦の始まる午後2時30分、肌寒いものの青空が広がった立命館ホリーズスタジアムには、日曜日ともあって多くのホッケーファンが詰め掛けスタンドは満員に埋まった。決勝戦の山学大と対するのは、前回大会も決勝で当たった天理大学。堅固な守備を誇る強豪校。前半序盤はやや天理ペースで進む。中盤、日本代表の10番FW・山﨑晃嗣(4年 島根・横田高)がサークルに持ち込み、この日初のPC(ペナルティーコーナー)を得たが、シュートは相手GKの好守備に阻まれた。徐々に山学大もペースを上げ、互いに譲らない攻防が続き前半を0-0で終えた。後半、山学大のセンターパスで始まると、早々に山﨑が相手パスをカットし、自身でサークル内に持ち込みシュートを放った。相手GKに阻まれたがこのプレーが引き金となりチームにリズムが生まれ攻撃に勢いが出た。後半4分には12番FW・小川恭平(3年 山形・置賜農業高)のドリブル突破と山﨑のコンビネーションプレーで、パスを受けた11番FW・上澤祐斗(3年 岩手・沼宮内高)がゴール前の混戦からシュートを決め先制した。山学は、その後も豊富な運動量で山﨑を中心に攻撃を仕掛け、18分には相手パスを奪った山﨑が中央からシュートを決め2点目を奪った。相手も激しいプレスを掛けるも山学ディフェンス陣も機能し、隙を与えない。しかし、27分PCを決められ1点を返された。諦めない天理は、終盤GKをはずし全員攻撃で山学ゴールを目指したが及ばず、山学大は2-1で天理を振り切り勝利。3年連続5度目の優勝に輝いた。終了後には控え選手もフィールドに降り、チーム全員で喜びを爆発させた。
表彰式では、大会の最優秀選手には小沢諒主将(4年 岩手・沼宮内高)が選ばれ、優秀賞に1番GK・千田拓美(4年 奈良・天理高)、2番FB・山﨑文也(4年 岩手・不来方高)、8番MF・林聡馬(4年 富山・石動高)、10番FW・山崎晃嗣、12番FW・小川恭平が選出された。
平成29年度全日本学生ホッケー選手権 男子決勝 《山梨学院大VS天理大》11/12 立命館ホリーズスタジアム |
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○ 山梨学院大 2 | 前半 0-0 後半 2-1 |
1 天理大 ● |
得点 山梨学院大:上澤祐斗(39分)、山崎晃嗣(53分) 天理大:(62分) |
試合後、三澤孝康監督は「疲労がある中、選手は今までで一番動いているのではないかというぐらいフォワードからプレッシャーを掛けてボールを奪い繋げることができていました。この大会通じてテーマとしてやってきたので山﨑の2点目などは特に結果として出たと思います」と勝因を挙げた。寺本祐冶総監督は「安心しました。今年は3連覇を目指して春からチームを作ってきたので、順当といえば順当ですが、主力の千葉が途中で負傷してしまいディフェンスに少し不安があったのですが、その分フォワードが頑張り2点取ってくれたので、そこが勝因です。今大会通じて2失点に抑えられたのは、メンタルな弱さがあって取りこぼしなどがあったものですから守備を強化してきた成果と思っています」と話した。先取点を挙げた上澤祐斗選手は「いい流れで来ていたのですけど、なかなか点を取れなかった時にたまたま自分のところにボールが来てくれたので、勝つ気で今日迎えたので自分が点を入れて流れがつくれたのはうれしいです」と素直に喜んだ。日本代表らしい切れのあるプレーを随所に見せた山﨑晃嗣選手は「自分はチームの中心だと思っているので、決勝の舞台でも自分が点を取れば勝てると思っていました。今日は本当に勝ちたかったし、4年間山梨学院にお世話になったので感謝の気持ちを込めて結果で恩返しができたので良かったです」と笑顔で応えた。優勝候補筆頭の女子については、「女子は3位でしたけど男子が勝利して優勝を分かち合えればいいなと思っていました」と気遣った。最優秀選手賞を受賞した小沢諒主将はチームの皆が支えてくれて最後に自分がもらえたものなのでチーム全員で取った賞だと思うのですごくうれしいです」とチームに感謝した。決勝戦は、「今までなかで一番大変な試合になることは分かっていたんですけど、そこでチーム一丸となって最後まで集中力を切らさなかったことが優勝できた要因です。1年間通してやってきたことに自信を持ってやろうとチーム内で話していたのでそれが上手く出せた試合だと思います」と振り返り、「今回インカレ3連覇できて、これに満足せずに通過点だと思い次の全日本選手権も取れるように頑張りたいと思います」と次を見据えた。
◆女子3位決定戦《山梨学院大VS東海学院大》
女子の決勝戦は前回大会3位の東海学院大との対戦。午前9時30分、気温は低いものの、穏やかな日差しがフィールドを包み込んだ。試合は、山学大のセンターパスで始まった。今日の山学大は、白とワインカラーのセカンドジャージで臨んだ。開始早々からボールを支配するのは山学大。幾度となく相手ゴールに迫るも得点に至らない。前半25分、9番FW・河村元美(4年 大阪・羽衣学園高)がサークル持ち込んだところで相手反則を誘いPCを得ると、2番FB・藤林千子(4年 滋賀・伊吹高)が落ち着いてスイープシュートを決め先制する。東海学院も終了間際反撃するもディフェンス陣が踏ん張り得点を与えず終了。後半に入っても山学大の優勢は変わらず、後半6分PCを得ると河村元美がプッシュシュートを決め2点目を挙げた。中盤に入っても河村、1番FW・狩野真美(4年 宮城・築館高)の女子日本代表コンビらがスピードと技術を活かしたボール裁きで再三ゴールを脅かしたが点は奪えず終盤に突入した。山学が主導権を握る展開も、後半26分、自陣センター内にパスを通されシュートを決められ失点した。終盤に失点する課題がこの試合でも露呈した。その後は、気を取り直し最後まで攻め通し1点を守りきり3位を確定した。
閉会式の表彰式では、河村、狩野、岩館聖菜(4年 岩手・不来方高)の4年生3人が優秀賞に選出された。
平成29年度全日本学生ホッケー選手権 女子3位決定戦 《山梨学院大VS東海学院大》11/12 立命館ホリーズスタジアム |
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○ 山梨学院大 2 | 前半 1-0 後半 1-1 |
1 東海学院大 ● |
得点 山梨学院大:藤林千子(25分) 河村元美(43分) 東海学院大:(61分) |
試合後、4番FB・中込汐莉主将(4年 山梨・巨摩高)は「2年前にもこの場所で同じ立命館に負けてしまい借りを返し、優勝するという気持ちでやってきたので悔しいです。昨日から切り替えて今日の試合は集中してできたと思うんですけど、今日の試合でも後半に失点してしまい、また、終了間際にも自分たちのミスから攻められるということもあったので、1年間を通して同じミスを繰り返しているのでこれから全日本選手権と関東リーグがあるので、そこで修正して関東リーグでは全勝記録を伸ばし、全日本も勝てるようにチームを作っていきたい」と気持ちを切り替えていた。
山梨学院大ホッケー部は、このインカレの前回大会で初のW優勝を果たし、今大会も男女とも優勝候補に挙げられ2年連続を期待されたが叶わなかった。しかし、男女を通じ12年続け、どちらかが優勝するという偉業を成し遂げた。
◆《大会最終成績》
男子優勝は、山梨学院大、準優勝・天理大、3位・明治大、4位・東京農業大
女子優勝は、立命館大、準優勝・天理大、3位・山梨学院大、4位・東海学院大
本大会の男女上位4チームは「第91回全日本男子ホッケー選手権大会」、「第78回全日本女子ホッケー選手権大会」の出場権を獲得した。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2017.11.12