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●山梨学院歌舞伎「酒折座」公演会
~小菅ゼミ、2回目の公演で歌舞伎文化を発信~
~「甲斐の文化は世にかおる」日本文化を伝えたい~

山梨学院大で12月13日夜、山梨学院歌舞伎「酒折座」が2回目の公演を行った。これは、法学部政治行政学科の小菅信子ゼミで、「日本の文化」をテーマとして近現代について実践研究の一環として行われ、昨年「酒折座」を立ち上げ旗揚げ公演に続く2回目となる。今年の演目は「華―甲斐の文化は世にかおる」と題し、学生たちは歌舞伎舞踊の『梅』、『藤娘』、『新鹿の子』、『京鹿子娘道成寺』の4演目を踊った。また、公演に尽力した花川流家元・花川蝶十郎さんが「水仙丹前」を優雅に舞い公演に華を添え、花川白蝶を襲名した小菅信子法学部政治行政学科教授が甲斐ゆかりの武田家にまつわる物語、「本朝廿四孝、奥庭狐火の段」を加えた6つの演目が披露された。準備は、今年の4月から新しく3年生が加わり制作組と役者組に分かれ約20人で本格的に活動を開始した。役者は週1回のゼミでの練習や夏の合宿、個人練習などでめきめき上達、この日を迎えた。山梨学院メモリアルホールには、多くの一般の人や学生、教職員が集り、学生たちが立ち上げた山梨学院歌舞伎「酒折座」の歌舞伎舞踊を楽しんだ。

江戸期の甲府の庶民の楽しみのひとつに芝居見物があり、当時の芝居見物といえば歌舞伎。甲斐の国は市川団十郎ゆかりの地ということもあり、甲府で上演される歌舞伎は大変な賑わいを見せたという。近世から近代にかけて、現在の甲府市若松町には「亀屋座」という芝居小屋があり、当時の市川団十郎、松本幸四郎、坂東三津五郎などが舞台を踏み、大変人気があった。しかし残念ながら現在は影も形もない。そこで甲府で栄えていた歌舞伎文化を、もう一度甲府の文化として定着させたいという思いから、近現代日本文化研究がテーマの小菅信子ゼミが一昨年度春より、新たな山梨学院大学ブランドを創ること、地域社会への文化貢献と国際文化交流の促進を目指して新プロジェクト「山梨学院歌舞伎・酒折座」の立ち上げ準備に入り、昨年12月に旗揚げ公演を果たした。学生たちはさらなる稽古を積み、その成果を披露する2回目となる公演を行った。

役者の学生たちは今年4月から週に一度、小菅信子ゼミでの歌舞伎舞踊の手ほどきと夏の合宿などを経て、稽古に励んできた。その間にも花川流家元の梅朝改め七世家元・花川蝶十郎さんに何度も本学に足を運んでもらい直接、指導を受けた。小菅教授は、花川流家元・花川蝶十郎六世の直門で歌舞伎舞踊師範、花川白蝶を襲名している。花川流は、亀屋座に縁が深く、六世尾上梅幸、六代目・尾上菊五郎の芸風を受け継ぐ歌舞伎舞踊の流派。

山梨学院メモリアルホールで行われた「酒折座」2回目の公演の演目は、初めに四季折々の風情を織り込んだ舞踊「水仙丹前」を花川流家元・花川蝶十郎七世の華麗な舞で幕が開いた。続いて小菅ゼミの学生による歌舞伎舞踊名作コレクションとして、昨年は裏方だった望月茉由さん(4年)が赤い着物をまとい、早春の訪れをほのかな香りで知らせてくれる梅の花の中を舞った。続いての演目は歌舞伎舞踊でも有名な「藤娘」。昨年に続き渡辺樹里さん(4年)が大津絵に描かれた藤の花から抜け出た娘姿の“藤の精”をあでやかにかわいい踊りを見せ、続く演目は「新鹿の子」。他大学院から特別出演した長田彩乃さんがかわいい娘の可憐な踊りを披露した。学生最後の演目は「酒折座」の十八番、男子学生8人による「京鹿子娘道成寺」。昨年の旗揚げ公演の5人から8人にスケールアップ、学生たちは寺で修行する登場する所化(坊主)に扮し、傘を道具に愉快に踊った。続いて出演者全員による口上、休憩を挟み、花川白蝶を襲名した小菅信子教授による、文楽の演目でも知られる武田家ゆかりの「本朝廿四孝、奥庭狐火の段」が上演された。花川白蝶が謙信の娘・八重垣姫を演じ、思いを寄せる武田勝頼に父親の謀略を必死に伝えようとする物語で勝頼への一途な熱い想いを演じ踊った。

上演後、学生の先陣を切った望月茉由さんは「初めてでしたのでかなり緊張しました。練習の成果が発揮し切れなかったこともありますが、来年卒業してからもこちらに来ることがあったらまた、挑戦してみたいと思っています」と話し、2度目の『藤娘』を舞った渡辺樹里さんは「昨年より緊張せず、しっかり踊れました。若い学生や留学生の人たちは歌舞伎について知らないと思ったので一生懸命に伝えようと頑張りました」と語った。酒折座座員をまとめた赤尾俊座長は「4年生が4人いたのですが、最後だったせいもあるんですが、少し力が入ってしまったなと思います。でも日本舞踊をやることで良い経験ができましたし、そして改めて歌舞伎というのは難しいものだと思いました。正直まだ、未完成だったと感じましたが本番まで練習とか気持ち自体はやり切ったと皆で話しました」。さらに「とにかく日本舞踊に触れている学生がいるというのを山梨学院から日本全体、外国の方々にも広めていけたら」と話した。

終演後、裏方で公演を支えた早川丈制作部長は「今回の出来は良かったと思います。所化の踊りもばっちりでしたし、女性の踊りも練習の成果が出ていました」と仕上がりに合格点をつけた。次の公演を後輩に託すことについては「この歌舞伎をやるという目的で部員になったり、ゼミに入ったりしているので、そこは気を入れてしっかりやってもらわなくてはならないです。意識の問題として」と注文も忘れない。小菅信子教授は「学生たちが前回以上に熱心だったので、何とかやり遂げることができました。学生に尻を叩かれ“先生これをあれをしてください”などいろいろ指示が出され、それが逆に励みになって私も引きずられながら何とか頑張りました。来年も酒折座員、ゼミ生とともにチャレンジを続けたいと思います」と山梨に日本文化を発信続ける。

文(K.F) カメラ(平川大雪) 2017.12.14