●2017天皇杯全日本レスリング選手権 3日目
~前日実施階級決勝、異次元の強さで藤波初優勝~
~山学現役は明日に進めず。OB高橋は優勝目指す~
平成29年度「天皇杯全日本レスリング選手権大会」が12月20日から23日までの4日間の日程で行われている中、22日3日目の熱戦が繰り広げられた。この日は男女合わせて30階級の残り10階級と前日実施10階級の決勝が行われた。山梨学院から決勝に残ったのは、74㎏級フリースタイルの藤波勇飛(3年)の一人。藤波は、前日行われた試合の準々決勝から登場。2試合をTF(テクニカルフォール)で圧勝、決勝に進んだ。10階級の決勝の最後に行われた決勝では、対戦相手の保坂健(自衛隊体育学校)を難なくTFで破り初優勝を飾った。一方、3日目も10階級の準々決勝までが行われ、山梨学院勢は、57㎏級フリースタイルから坂本京太(3年)、松井稜(1年)の2人。OBの高橋侑希。65㎏級フリースタイルは榊大夢(1年)、乙黒拓斗(1年)、OB。8の鴨居正和、86㎏級フリースタイルからOB奈良部嘉明が出場した。結果は、高橋侑希が明日の準決勝に駒を進めたが、他の選手は明日に進めなかった。
◆前日実施階級 決勝戦 74㎏級フリースタイルで藤波勇飛初優勝
藤波勇飛(3年 三重・いなべ総合学園高)は、昨日の準決勝までの2試合で絶対的勝利を収め、決勝に進んだ。決勝の相手は、自衛隊体育学校の保坂健。今年の明治杯全日本選抜選手権74㎏級で3位、藤波は70㎏級で優勝しており、階級を上げ、この階級の牙城を破るべく決戦に臨んだ。赤のシングレットを身に着け、藤波は第1ピリオド、相手の動きを慎重に推し量り、30秒素早く足を取り先制ポイントを挙げると、続けざまにポイントを重ね4-0と優位に試合を進める。さらに4ポイントの大技を挙げるも2ポイントを返されるとすぐさま反撃、F(フォール)に持ち込み、1分53秒で決勝戦を制し大方の予想通りの展開となった。藤波は天皇杯初優勝を飾り、またも勲章を増やした。昨日のインタビューで「自分から攻め、自分らしいレスリングを心掛ければ、結果はついてくる」と話していた通りの試合運びに、試合後の勝利インタビューでは「初優勝は正直ほっとしています。でも日本の74㎏級で勝っても世界の74㎏級は本当にレベルが高いのでしっかり力をつけて世界の一線で活躍できるように精進します」と謙虚に話すも、世界を視野に入れた。
山梨学院勢3日目の結果は、57㎏級フリースタイル松井稜(1年 愛知・中京大附属中京高)は、1回戦を突破するも2回戦で同じ山梨学院の先輩坂本京太(3年 富山・高岡向陵高)と対戦。坂本が攻め続け、第1ピリオド2分TF(テクニカルフォール)で後輩を退けたが、準々決勝で国体1位の長谷川敏裕(日本体育大)にTFで敗れた。世界選手権、アジア選手権金メダルのOB高橋侑希(ALSOK)は2試合を余裕の試合運びで難なく相手を下し、明日の準決勝に進んだ。65㎏級フリーの榊大夢(1年 鹿児島・鹿屋中央高)は2回戦から登場。初戦は、第1ピリオド、先制すると自分のペースで試合を支配。後半、得点を奪われたものの、第2ピリオドに得点を加え10-3で3回戦に進んだ。3回戦は、昨年の天皇杯3位の実力者と対戦。第1ピリオド先制されるも榊も落ち着いてポイントを奪い同点とし折り返した。第2ピリオドは、ポイントの取り合いとなり7-7の同点で迎えた残り1分。猛然と相手に飛び込み優勢と思われた瞬間、カウンターで身体を返され4ポイントを奪われた。チャレンジしたが失敗し、相手に1ポイントが加わり、7-12で惜しくも準決勝進出を逃した。もう一人の乙黒拓斗(1年 東京・帝京高)は、昨日70㎏級フリーで優勝した乙黒圭祐(3年 東京・帝京高)の弟で今年の国体で兄弟W優勝を果たした。3年後の東京五輪でメダルを狙える逸材と言われている。乙黒も2回戦から登場。リオ五輪57㎏級の銀メダルの樋口黎(日本体育大)との大物対戦となった。樋口は57㎏級から2階級上げて参戦。試合は、乙黒が第1ピリオドを3-0でリードすると、第2ピリオドに入っても試合の主導権を握り優勢に進める。しかし、試合巧者の樋口も中盤になり反撃、残り30秒では同点に追いついた。このままいくとラストポイントで樋口の勝利になるところを、終了間際に執念のポイントを奪い、リオの王者を破った。しかし、この試合で胸のじん帯を痛め、次の3回戦を棄権した。優勝も有望視されていただけに残念な結果となった。OBで世界選手権代表の鴨居正和(自衛隊体育学校)、奈良部嘉明(筑西広域消防本部)は、1回戦敗退となった。山梨学院勢の明日の準決勝進出選手は、OBの高橋侑希だけとなった。
試合後、小幡邦彦コーチは「今大会は4階級(明日の57㎏級のOB高橋の優勝を含めて)の優勝を目指したんですが、65㎏級を入れてのことでしたが他の61㎏が代わって入ってくれ、これも勝負の世界ですから簡単には勝たせてくれないと思うので、勝てるように修正しながら次に向けていきたいと思います」とどん欲に勝利を目指す。
明日最終日は、この日行われた10種目の準決勝と決勝が行われ4日間の大会は終了する。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2017.12.22