●日本学生氷上競技選手権開幕 ショートトラック1日・2日目
~女子6年ぶり総合優勝。男子1000m菊池(哲)2位~
~1日目女子1500m、松島2位、田中3位表彰台~
第90回日本学生氷上競技選手権(インカレ)が2018年1月4日に長野県軽井沢町で開幕した。大会は今回からスピードスケート、フィギュアスケートにショートトラックを加えた3競技同時開催で行われるのは初めて。日程は4日のショートトラックから始まり、8日まで。4日、5日の両日は軽井沢町・風越公園アイスアリーナでショートトラックが行われた。日本学生氷上競技選手権(インカレ)は氷上競技の大学日本一を決める個人・大学対抗戦。今年の山梨学院ショートトラックのメンバーは男子4人、女子4人の8人。初日に行われた女子1500mで松島ジョアンナ瑤子(4年)が2位、田中冴実(1年)が3位となった。中野あやめ(2年)も4位に入り、3人は対抗得点ポイントに大きく貢献した。男子1500mでは菊地哲平(4年)がゴール直前で転倒、優勝を逃した。2日目は、男子1000mで菊池哲平(4年)が2位で表彰台に登った。女子は、個人種目では、表彰台に登れなかったが、1日目の総合得点時点で首位に立ち、2日目の女子の最終種目3000mリレー(R)で優勝。総合優勝に花を添えた。女子の優勝は6年ぶり12回目となる。男子は、最終種目の5000mリレー(R)で3位となり、総合得点では僅か2ポイント差で4位となった。ショートトラック競技での山梨学院勢の活躍は、明日から始まるスピードスケート、フィギュアの選手たちに勇気を与えた。
ショートトラックの1周は111.12m。数人の選手が同時に滑り、順位を競う。タイムトライアルではなく着順で順位を決めることから『氷上の競輪』とも呼ばれている。競技の距離は5000m、3000m、1500m、1000m、500mがあり、それぞれの周回は45回、27回、13.5回、9回、4.5回トラックを回る。この競技の魅力は、鋭いカーブを絶妙なバランスとスピードを持って、選手同士の駆け引きがもたらすスリリングなレースが展開され、接触や転倒も多く迫力感に満ち、見るものを魅了する。「日本学生氷上競技選手権ショートトラック競技」は学校対抗戦で全レースに順位ごとに決められた得点が与えられ、その得点合計に基づき順位を決定する。今回、90回の長い伝統を誇る全日本学生氷上競技大会(インカレ)に初めてスピードスケート、フィギュアスケート、ショートトラックの3競技が同時に開催される記念の大会になった。
◆競技1日目 平成30年1月4日 軽井沢町・風越公園アイスアリーナ
◆《女子1500m2位・松島、3位・田中、4位・中野》
競技1日目、競技は学校対抗男女500m(4.5回)、1500m(13.5回)の予選から決勝と男子5000mR(45回)予選、男女1000m(9回)予選が行われた。山梨学院女子1500mに出場した松島ジョアンナ瑤子(4年 長野・小海高)、中野あやめ(2年 山梨学院高)、田中冴実(1年 山梨学院高)は、3人とも決勝に進出。レースは、優勝候補の中京大学・平井亜美選手を3人でブロックしてワン・ツウ・スリーフィニュシュを狙う戦略に出たが、終盤、上手く平井がブロックをかいくぐり先頭に出ると、松島が懸命に追うも届かず、2位に松島、3位・田中、4位中野となり、優勝者を出すことはできなかったものの、対抗得点獲得には大きく貢献した。レース後、松島ジョアンナ瑤子選手は「事前に戦略的には色々立てていて、上手くいったり、上手くいかなかったりもあって結果的には悔しい思いをしてしまいました。自分自身も最後のほうまで2番目にいて抜き返す機会もあったのですが、それができなかったことが一番の敗因です。目指していたのは1位だったので悔しさが残ります」と語った。3位となった田中冴実選手は「チームプレーで山学が1、2、3位に入れたら良かったですけど、個人的にも3位で終わってしまったのはとても悔しいレースでした。読みが重要で自分はまだ上手くレース展開を作っていけないので、これから克服していきたいと思いました。1000mでは1位を取りたいし、リレーでも新記録を更新したいです」と語った。昨年のインカレ1500mで2位となった中野あやめ選手は「学校に貢献できることが一番なので、自分が下手に動いて3人ともだめになってはいけないと思ったので、自分は安全に行こうと思ってあまり動けなかったです。同じチームではなかったらもっと突っ込んで行けたかも知れないです」とチームプレーの微妙な難しさを吐露した。4位ではあったがチームに貢献した。男子では、1500m決勝で菊池哲平(4年 長野・小海高)は、トップで最後のコーナーに入ったところ、「2位の選手がインから抜けようと仕掛けて来たところでバランスを崩してしまった」と転倒、氷を叩いて悔しがった。他の山梨学院勢は男子1500mの菊池浩樹(3年 長野。小海高)は決勝で6位に入ったもののペナルティを受け得点を獲得できなかった。塩川弦太(1年 山梨学院高)は準決勝で敗れ決勝には進めなかった。女子500mに出場したスピードが専門の相良茉莉奈(1年 山梨・帝京第三高)は予選敗退した。その他男子5000mR、男女1000m予選が行われ各種目で明日のレースに進んだ。
◆競技2日目 平成30年1月5日 軽井沢町・風越公園アイスアリーナ
《男子1000m2位・菊池哲平》
《男子5000mR3位。女子3000mR優勝》
2日目は男子1000m(菊池哲平、塩川)、女子1000m(松島、中野、田中)、男子3000m(27回=菊池浩樹、青木)、女子3000mR(松島、中野、田中、相良)、5000mR(菊池哲平・浩樹、塩川、青木)が行われた。1日目の男子1500m決勝で転倒し、惜しくも優勝を逃した菊池哲平(4年 長野・小海高)は、男子1000m(9周)で決勝進出、3周目あたりで先頭に出ると、徐々に集団はペースアップ。残り3周、立教大の選手に交わされ後ろに付くと、最後インを突いて出ようとするも、叶わず2位でゴールを切った。今大会、男子では初めての表彰台に立った。学生最後の大会となった菊池哲平選手は「1位しか狙っていなかったので、結果的には2位ですけど自分の中ではうれしくないです。自分の中でもラストという気持ちでしっかり臨んできて、最後レースの中でも詰めが甘いというか上手くしてやられた感じでした」と悔しさを滲ませた。もう一人の1000m・塩川弦太(1年 山梨学院高)は残り3周2位でコーナーに入った時に転倒、後ろの選手を妨害したと失格になった。塩川弦太選手は「初めての大会でしたけど良かったことより反省の方が多かったです。来年以降は、もっと力を付けて、チームに貢献できるようにと思いました」と大会を振り返った。3000m決勝に進んだ菊池浩樹(3年 長野・小海高)は惜しくも表彰台を逃し4位に終わった。菊池浩樹選手は「後半勝負しようと思い、前半は余計なことはしないように腹を決めて最後行こうと考えていたんですけど、中盤に出遅れてしまって悔しいです。まだ力不足です」。5000mRでは「最後は主将に繋げようと思って力を出し切りました」。スピードスケートが専門の青木雅弥選手(2年 北海道・池田高)は、500m、3000m、5000mRに出場した。結果は残せなかったものの、手応えを感じていた。「大変ですけどショートの技術はロングにも役に立つので、このような経験ができて良かったです。去年にもリレーには出ているのですけど、1度しか滑って(タッチ)いないので今年は迷惑を掛けないように皆の負担を軽減することだけを考えて滑りました。今回は4度タッチされました」と全力で取り組んだ大会だった。男子の総合順位は4位と前回大会準優勝から順位を下げた。
一方女子は、表彰台を期待された1000m(9周)で、松島、中野、田中の3人が揃って決勝に進めない事態となったが、すでに総合得点でほぼ優勝は決まっていた。松島ジョアンナ瑤子選手は「3人で決勝に行くことを目標にしていたので、1組目の自分が悪い流れを作ってしまったことは申し訳ないです」と詫びた。2日目の女子の最後の種目、5000mRでチームリーダーとして若いチームを引っ張り、周回ごとに他チームを引き離し、3周分のリードで優勝した。2009年に山梨学院チームが出した大会記録に僅か約5秒届かなかった。「リレーは大会新を狙っていたところはあったので、練習では結構大会新あたりで滑っていたので、結果的に塗り替えられなかったのは悔しいところです」と話した。中野あやめ選手は「大会新は狙っていたのですけど、残念ですけどリレーは国体もあるのでこれから調整して頑張りたいです」。田中冴実選手は「初めての公式のリレーに参加できて、記録更新はできませんでしたけど、ちゃんとタッチが繋がって皆で頑張れたのが良かったです。初めてのインカレでチャレンジしきれなかった。今日の1000mは不甲斐ない結果に終わってしまったのは残念でした」と話した。相良茉莉奈選手は「ショートは初めてだったのですけど、先輩たちは優しくて声を掛けてくれたのがうれしかったです。ショートは難しかったですけど、スピードにも繋げられるので良い経験になりました」。大会に出場した選手のそれぞれの声を拾った。女子は6年ぶり12回目の優勝を飾った。
試合後、川上隆史監督は「女子は昨年が2位で今年が優勝ということは今までの伝統を引き継いで復活してきたという力を出してくれました。男子は当初の予定ではもう少し上を狙えるメンバーで臨んだんですが、ショートの特性でもあるアクシデントに巻き込まれ決勝まで進んでも思うような得点を獲得できなかったことは、力というよりはレースの駆け引きなどテクニック的なことがうまくいかなかったことで決して選手の力がないわけではないので来年に向けては今年の女子のようにトップを狙ってもらいたい」とこれからのショートトラクに手応えを語った篠原祐剛コーチは「女子は久々の優勝で良かったですが優勝した種目が最後のリレーだけで個人種目で優勝できなかったのは反省点です。その分男子は、突っかけられたり、失格という部分が最終的に2点差で表彰台を逸したことに響きました。勝負の世界ですからしょうがないです。今回、スピードスケートのインカレにショートが入ったことが山梨学院には大きいです。男女とも得点を獲得して明日からのスピードにバトンタッチができたのかなと思います」と話した。
最終学校対抗女子総合は、優勝・山梨学院大72点、2位・神奈川大45点、3位・中京大36点、4位・佐久大35点、5位・同志社大26点、6位・関西学院大26点など。男子は優勝・神奈川大148点、2位・阪南大105点、3位・関西学院大99点、4位・山梨学院大97点、5位・大阪経済大61点、6位・日本体育大50点などとなった。
明日はフィギュアスケート競技、スピードスケート競技が行われる。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2018.1.5