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●山梨学院大で「日本コーチング学会」開催
~カレッジスポーツとコーチングの未来~
~全国の大学、研究機関から約300人が参加~

「日本コーチング学会第29回大会」が3月21日・22日の両日、山梨学院大学を会場に開催された。全国の大学を会場に毎年開催される学会大会の今回のテーマは「カレッジスポーツとコーチングの未来」。競技スポーツや生涯スポーツなどスポーツ振興をする場にはスポーツ科学に裏付けされたスポーツ指導者の指導実践(コーチング)が必要不可欠とされ、特にこれから世界に向けて強化・育成を図るカレッジスポーツ指導者としての実践的役割は大きい。学会大会は、大学の指導現場で生じているさまざまな課題を取り上げ、カレッジスポーツの発展に欠かせないコーチング活動をさらに深め、科学的に解決する道を探るためのさまざまな活発な議論が必要と開催されている。初日の21日は韓国体育大学・崔寛鎔(チェ・グァンヨン)大学院長による「大学スポーツにおける選手管理の重要性」の招待講演や「これからのコーチ養成に期待される」をテーマにシンポジウムが行われた。2日目は山梨学院大レスリング部監督・高田裕司スポーツ科学部教授らによる「世界を目指すカレッジスポーツ」のシンポジウムが開かれた。また、両日とも数多くの専門的研究分野のプレゼンテーションと活発な質疑応答が交わされた。

1日目の21日は、山梨学院大学酒折キャンパスは昼前からのなごり雪が降る中、全国の大学やスポーツ科学に関する研究機関の教員や研究者、監督などの指導者、学生、約300人が「コーチング学会大会」に参加した。初めに正午から大学や研究機関などでスポーツ科学での各専門分野の研究者による口頭発表(プレゼンテーション)が行われ、この内、山梨学院関係では、スポーツ科学部の苅山靖専任講師同学部・中垣浩平准教授同学部・遠藤俊郎教授経営情報学部・大崎恵介専任講師がプレゼンテーションを行った。その後の開会式で、大会名誉会長の古屋忠彦山梨学院大学長は「あいにくの天気になりましたが歓迎を申し上げたいと思います。遠藤先生初めスタッフから『コーチング学会』を本学で開きたいという話がありまして、大賛成でどんなことでも協力するからやってくれと申しました。できたら4年ごとに開催したらいいじゃないかと言ったぐらいですから。その位に意気込んだということを皆さんにお伝えしたかったわけです」と開催の挨拶を述べた。引き続き行われた招待講演では、韓国スポーツコーチング学会会長で韓国体育大学・崔寛鎔(チェ・グァンヨン)大学院長が「大学スポーツにおける選手管理の重要性」のテーマで講演を行った。その中で崔寛鎔(チェ・グァンヨン)大学院長は「競技レベルの高い大学のコーチは、選手との円滑な意思疎通を通じた選手個人の問題把握と処方、怪我のレベルに応じた適切なリハビリ、運動部集団生活や先輩・後輩間の問題の処理、進路指導などの面で信頼関係を構築することが大事である」などと話した。質疑応答は、大会組織委員長で山梨学院大スポーツ科学部・遠藤俊郎学部長の司会で進められた。続いて行われた1日目のシンポジウムは「これからのコーチ養成に期待するもの」と題して、三人のパネリストが専門的立場からコーチングに必要な取り組みと課題を説明した。最初に(公財)バレーボール日本バレーボール協会所属の安保澄さんが「ナショナルコーチアカデミーの取り組み」。次に森丘保典日本大学スポーツ科学部競技スポーツ学科教授が「コーチ育成のための『モデル・コア・カリキュラム』の実質化に向けて」。森浩寿大東文化大学教授は「コーチ養成課程における倫理教育の必要性」。それぞれ専門分野の研究成果を話した。最後に実行委員会委員長・麻場一徳山梨学院大スポーツ学部教授の進行で「これからのコーチ養成に期待するもの」についてディスカッションが行われた。

2日目22日には、午前中から引き続き専門研究分野の口頭発表が行われ、続いて2回目のシンポジウムは「世界を目指すカレッジスポーツ」と題して3人のパネリストが登壇。その内、山梨学院大レスリング部監督・高田裕司スポーツ科学部教授が「金メダルへの取り組み」と題して自身が専門としているレスリングを例に「一つでもメダルを獲る使命を与えられている。メダルを獲るためには目標をしっかり定め、強化を徹底するしかなく、2020年にいかに繋げていくかが課題」と述べた。寺本祐治スポーツ科学部教授・ホッケー部総監督は「スポーツを通しての人間形成~大学教育の役割~」のテーマでホッケー部の取り組みを紹介しながら、自身が女子日本代表監督時代に招聘した外国人ヘッドコーチと二人三脚でオリンピックを目指した経験から得た指導法を「選手自ら学び方を学ぶ。生きていくスキルを学ぶ。失敗から学ぶ」をキーワードに、山梨学院大ホッケー部運営にも「選手たちとの意思疎通を地道に図ることで活かされてきた」と語った。他に早稲田大学男子バレーボール監督の松井泰二氏は「抽象論で語ることで考えることに繋がる。具体的な説明では考えることをしなくなる。積極的行動を身に着けることが人間力を磨くことになる」と説いた。その後、ディスカッションに入り、「世界を目指すカレッジスポーツ」をテーマにそれぞれが持論を述べ意見交換した。

今学会大会が開催された山梨学院大学は、1986年から「カレッジスポーツの振興」を掲げて、これまでに多くのオリンピアンを輩出してきた。それから30年以上がたち「カレッジスポーツの振興」は、学生アスリートの強化・育成などにとどまらず、地域社会と連携しながら競技スポーツ・生涯スポーツの推進に、より多くの役割が期待される段階に入った。
その一方で、コーチはより一層の資質向上が求められており、各方面でコアカリキュラムの策定やナショナルコーチの育成などが盛んに取り組まれており、そのなかで将来のコーチを養成する機関としての大学の役割は大きいものである。今回の学会大会では、競技スポーツ・地域スポーツを推進する場としての大学、幅広い場面で活躍できるコーチを養成する場としての大学、そして将来のコーチのあるべき姿について議論を深め、意義ある「コーチング学会」となった。

文(K.F) カメラ(平川大雪・Y.Y) 2018.3.23

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