●春の関東高校野球山梨大会 準決勝
~帝京三高を11-3で下し関東大会出場を決める~
~中尾3点2塁打、栗田3点本塁打、長打力で圧倒~
第70回春季関東高校野球山梨県大会は5月5日、甲府・山日YBS球場で準決勝戦が行われ、山梨学院高は帝京三高と対戦した。両先発投手とも序盤は不安定で互いに1点ずつを取り合う、どちらに転ぶかわからない展開となったが、山学高は中盤の5回に中尾の満塁走者一掃の2塁打などで4点、7回には1年の栗田が3点本塁打を放つなど、中盤から長打力が爆発。星野・相澤・垣越の投手リレーで強打の帝三高打線を3点に抑え11対3(8回コールド)で勝利、春季関東大会の出場権を獲得した。明日6日の決勝は、山梨学院高と東海大甲府高が山梨第1代表、第2代表を争う。
チームを勝利に導いたのは、1年生正捕手の栗田勇雅と唯一の甲子園経験者中尾勇介の2人の長距離弾だった。まず、お膳立てをしたのは「強豪チームに入って甲子園に行きたい」と福島県いわき市から親元を離れて入寮したばかりの栗田勇雅だった。2-2の同点で迎えた5回表1死満塁のチャンスで粘りに粘り押し出しフォアボールを獲得、2死後に唯一人の昨夏甲子園メンバー中尾勇介(3年)が打席に入った。新チームになってからは不動の1番バッターとして打力と走力でチームを牽引する核弾頭は「ここで打たなきゃ男じゃない」と燃えた。放った打球は弾丸ライナーでセンターの頭上を越える満塁走者一掃のタイムリー2塁打、勝利をぐぐっと引き寄せた。さらに圧巻だったのは7回表、無死二三 塁で打席に入った栗田の一打は、真っ青な快晴の空に大きな放物線を描き、真緑色のレフトスタンド芝生席に舞い落ちた。その3点弾が山学高の勝利をほぼ確定させた。
春季高校野球県大会準決勝≪山学高vs帝三高≫(5/5)小瀬・山日YBS球場
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 | |
山梨学院高 | 0 | 1 | 0 | 1 | 4 | 0 | 3 | 2 | × | 11 |
帝京三高 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | × | 3 |
山学バッテリー 星野・相澤・垣越―栗田
本塁打 栗田 2塁打 中尾・藤本(山学)落合・千々和・早河(帝三)
安打 山学9 帝三9 失策 山学1 帝三2
この日先発した左腕星野健太(3年)は、冬場の体力トレーニングで逞しく成長、ボールのスピードも切れも一段と鋭くなり、昨秋からのエース垣越建伸(3年)とともに山学高の二枚看板を張る投手になり、打者としては4番を任されるチームの主軸に成長した。しかし、この日の投球内容はストレートに頼りすぎて単調だった、球種を読まれ2点を奪われ4回で降板した。捕手の栗田も打力は良かったがリード面はまだまだ未熟、新バッテリーはともに試合の難しさを身をもって体験した形になった。5回は相澤利俊(3年)が超スローカーブを多投してつなぎ。6回からはエースの垣越が登板、7回に1点を奪われたが要所を締め、まずまずの内容で帝三打線を抑えた。打撃陣は中尾、栗田の活躍に加え、 6番藤本新大(3年)が2塁打を含む2安打2打点と貢献、7番に下がった佐古一馬(3年)が奮起し2点タイムリーを含む4打席全出塁2安打と奮闘、打撃陣がチームを牽引し11-3(8回コールド)で、2年連続11回目の春季関東大会出場を決めた。
吉田洸二監督は「ピッチャー(星野)もよくなかった、捕手(栗田)のリードもよくなかった。捕球できるボールを取れなかったり、エラーも出ました。うちのような弱いチームがしてはいけないことが多く出た試合でした。今日は60点です」とまだ経験不足・まだ力不足と語った。中尾勇介選手は「弱かった去年の秋よりも冬に鍛えて伸びている実感があります。ただ、強くなっても泥臭くやってきた秋を忘れず、夏に向かって泥臭く努力して行きます」と夏を見据えていた。清水雄登主将は「冬の間、(人工芝工事で)グラウンドが使えなかった分、身延山の階段上りに取り組むなど、監督さんが言うには今までで一番厳しい練習をしてきました。それを自信に勝敗は気にせずに、自分たちがやってきたことを出し切る努力をします」と努力を誓った。栗田勇雅選手は「自分の配球のせいで、点を取られていたので、何とかここで1本打ちたいと打席に入りました。(ホームランは)スライダーでした。次の試合はキャッチャーとしてしっかり投手をリードしたい」と今大会2本目の本塁打を振り返り、捕手としての反省を口にした。
もう一つの準決勝は東海大甲府高が4-2で駿台甲府高を下した。決勝戦は、2年連続11回目決勝進出の山梨学院高と2年振り20回目決勝進出の東海大甲府高の対戦となった。明日6日小瀬・山日YBS球場午前11時プレーボールで、5月19日から千葉県で開催される関東大会の山梨第1代表、第2代表を決める。
文(M.Ⅰ) カメラ(藤原稔)2018.5.5