●平成30年度東日本学生レスリングリーグ戦 開幕
~初日予選リーグ3戦全勝。明日から決勝リーグ~
~山学大史上3校目となる快挙、6連覇に挑む~
学生レスリング界最高峰の団体対抗戦「平成30年度東京都知事杯東日本学生レスリングリーグ戦」が5月16日、東京・駒沢体育館で開幕した。日程は18日までの3日間、フリースタイル57㎏級・61㎏級・65㎏級・70㎏級・74㎏級・86㎏級・125㎏級の7階級で各校の代表が頂点を目指して勝敗を競う。1部16校がA~Dの4グループに分かれ、予選リーグと決勝リーグを戦う2段階方式で行われる。各グループの1位の4校が決勝リーグで対戦し1位~4位を決め、2位グループは同様の方法で5位~8位を決めるなど、16校の順位が明確に分かるようになっている。昨年、5連覇(通算8度目)を達成した山梨学院大は、史上3校目(戦前大会も含め)となる6連覇を目指して今大会に臨んだ。予選リーグ1戦目は慶応大と対戦、7-0で完勝。2戦目は東洋大に7-0。3戦目明治大戦も7-0で下し、全勝で予選リーグを折り返し、明日、明後日の決勝リーグに挑む。各グループの1位はAグループ山梨学院大、Bグループ拓殖大、日体大、Cグループ日体大、Dグループ日大の4校の布陣。強豪校が顔を揃えた。
昨年5連覇した山梨学院大は、卒業した木下貴輪、小栁和也、貝塚賢史のレギュラー組が抜けたものの、前大会に出場したメンバーが多く残り、さらに新戦力が加わり大きくステップアップし今年も優勝校の最有力候補に挙げられる。しかし近年、各大学の力が拮抗しており、巻き返しを狙う伝統校の存在も不気味で接戦も予想され油断は許されない。また、今大会は当日に計量が行われ、その体重の2階級上まで出場できるのでチーム間の駆け引きも見所になる。また、大会1週間前には、藤波勇飛(4年)が練習中に左目下を陥没骨折、現在回復しているも、出場が微妙視されている。他の出場メンバーは順調な仕上がりをみせ、山梨学院の優位は動かないと予測されている。
各大学が名誉を掛けて戦うフリースタイル団体対抗戦。各大学の絶え間のない歓声で、会場の東京・駒沢体育館の応援ボルテージは初日から最高潮。予選リーグ1戦目、山梨学院の最初の対戦相手は慶応大。昨年同様、初戦での顔合わせとなった。57㎏級の初陣を託された松井稜(2年 岐阜・中京高)は、開始早々タックルから相手バックを取り先制。そのまま続けて相手を回し(ローリング)、僅か23秒でTF(テクニカルフォール)勝ちし、チームを勢いづけると続く、昨年のインターハイ55㎏級優勝のルーキー61㎏級・服部大虎(1年 千葉・日体大柏高)、65㎏級・西谷海音(2年 高知・高松農高)は第1ピリオド、続く70㎏級・上村孝高(3年 兵庫・育英高)は第2ピリオドTF勝ち。74㎏級・吉田真聖(4年 福井・足羽高)は、開始早々、足を取りポイントを奪うとそのままF(フォール)勝ちを収めた。86㎏級・牛水瑞貴主将(4年 鹿児島・鹿屋中央高)は、僅か33秒、TFで相手を仕留めた。最後の125㎏級・藤本歩(3年 茨城・霞ヶ浦高)は不戦勝。山梨学院は7-0で順当に第1戦、慶大を退けた。
◆予選リーグ1戦目 《山梨学院大学VS慶応大学 7-0で勝利》フォール1、テクニカルフォール5、不戦勝1
57kg | 61kg | 65kg | 70kg | 74kg | 86kg | 125kg | |
山学大 | 松井 | 服部 | 西谷 | 上村 | 吉田 | 牛水 | 藤本 |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 不戦勝 | |
慶大 | 阿部 | 榎本 | 守田 | 山田 | 河内 | 倉田 |
2戦目の対戦相手は東洋大。57㎏級・坂本京太(4年 富山・高岡向陵高)は、第1ピリオド開始早々4得点を先制。中盤、2点を返され後半へ。後半は互いに決め手なく相手の疲れもあり1得点を獲得、5-2で勝利。続く61㎏級は、宮原将(4年 長野・上田西高)が出場。第1、2ピリオドと我慢比べの展開になるも、後半終了間際、得点を挙げ、そのままフォールに持ち込み逆転勝ちした。3人目65㎏級の榊大夢(2年 鹿児島・鹿屋中央高)は、先月のJOCジュニアオリンピックで2年連続優勝を飾った。その余韻の醒める間もなくこの大会に臨んだ。第1ピリオドは互いに相手の様子を窺う消極的な展開にも、終盤、榊が足のタックルからポイント奪い、回し(ローリング)も決まり4-0で第2ピリオドに。榊は相手を見切り、攻撃を開始。序盤に2得点を奪い、徐々に榊ペースに優位に試合を進め、10-0のTFで勝利した。70㎏級の乙黒圭祐(4年 東京・帝京高)は、昨年暮れ、この階級に上げた天皇杯日本選手権で優勝を飾っており、この一戦でも上下のコンビネーション攻撃のうまさが光り、12-1のTF勝利。74㎏級の横山凛太朗(2年 三重・いなべ総合学園高)は、序盤に先手を取られたものの、中盤にポイントを返すと、一気に得点を重ね、12-2のTFで相手を退けた。次の86㎏級山田修太朗(1年 秋田商高)は、先のJOCジュニアオリンピック86㎏級を制している期待のルーキー。試合は、互いに慎重になりすぎ一進一退の均衡が続き、力が勝る山田が何とか2-1で逃げ切った。続く125㎏級藤本歩は第1ピリオドを4-2で折り返し、第2ピリオドでも得点を加え6-2で勝利。山梨学院は2戦目も全勝で勝利した。
◆予選リーグ2戦目 《山梨学院大VS東洋大 7-0で勝利》
フォール1、テクニカルフォール3、優勢3
57kg | 61kg | 65kg | 70kg | 74kg | 86kg | 125kg | |
山学大 | 坂本 | 宮原 | 榊 | 乙黒兄 | 横山 | 山田 | 藤本 |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
東洋大 | 藤原 | 武田 | 黒木 | 永石 | 小関 | 川端 | 若林 |
3戦目の対戦相手はここ数年、1部リーグ16校中で中位に位置する明治大。57㎏級は2戦目に続き坂本に託された。2戦目はもたついた感があったが、この一戦は違った。第1ピリオド開始から30秒、素早いタックルから得点を挙げるとそのまま回し、開始37秒、電光石火のTF勝ちを収めた。61㎏級の関野魁童(4年 群馬・館林高)は、第1ピリオド主導権を握られ劣勢ながら2点を奪われただけで凌いだ。第2ピリオド、早い時間帯で4得点を奪い逆転、さらに2得点を加え勝利した。65㎏級の乙黒拓斗(2年 東京・帝京高)は昨年、怪我のために出場できずに本大会は初出場。昨年の国体では兄の圭祐とともに優勝する快挙を成し遂げ、東京五輪の出場を期待される逸材。試合は、序盤激しい攻防が繰り広げられるが、乙黒が先制すると主導権を握り、第1ピリオド終了間際10得点を入れTFで退けた。続く70㎏級。兄の乙黒圭祐は、開始間もなく得意のタックルから得点を奪うと相手にレスリングをさせず、あっという間のTFで勝利。この時点で対戦成績4-0となり予選リーグを突破した。74㎏級の横山は、2戦目に続き起用され、第1ピリオド序盤は、互いに決め手がなく膠着状態が続くも、中盤相手を倒し得点すると、終盤にも得点を重ね7-0で折り返した。後半も随所に巧みな攻守を見せ、9-1で勝利した。86㎏級山田は、2戦目と同様、慎重な試合運びを進め、後半に完全に主導権を握り10-0で勝利した。125㎏級に出場した大津拓馬(1年 長崎・島原高)も期待の新人。開始8秒、タックルから投げの連続大技で4得点を奪うと、攻撃の手は緩めず40秒でTF勝ちを飾った。山梨学院は明治との対戦も7-0で勝ち、予選リーグ負けなしで明日の決勝リーグへ進んだ。
◆予選リーグ3戦目 《山梨学院大VS明治大 7-0で勝利》
テクニカルフォール5、優勢2
57kg | 61kg | 65kg | 70kg | 74kg | 86kg | 125kg | |
山学大 | 坂本 | 関野 | 乙黒弟 | 乙黒兄 | 横山 | 山田 | 大津 |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
明治大 | 松尾 | 平嶋 | 仲田 | 斎藤 | 金子 | 佐々木 | 米川 |
試合後、メンバーをいろいろ試したことについて小幡邦彦コーチは「うちは頭一つ抜きんでていると思うので来年以降を考えて、若い選手を使ったのですけど、それでも練習でできていることができていなかったり課題があるので来年に向けて修正していかないといけないと感じました」と余裕を見せる。その中で激戦区階級74㎏級に怪我の藤波選手の代わりに出場した出身校の後輩の横山凛太朗は力の片鱗を感じさせた。「来年はこの階級は横山が出る予定なので、怪我(藤波)したことで経験を積ませられたので良かったと思うのですけど、調子も良いので明日も1試合は出てもらいます」と信頼を寄せる。牛水瑞貴主将は「今日の予選も気を抜けないところだったのですけど、全員良く動けていたし、少し怪我人がいる中で、階級をずらしたりカバーし合いながら、みんな一つになって戦いました。明日からが本番ですけど、6連覇に向けて良いスタートが切れた」と意気込む。
大会1日目の結果、各グループの予選リーグ1位校は、Aグループ山梨学院大、Bグループ拓殖大、Cグループは日体大、Dグループは日大となった。大会2日目の17日は、山梨学院大は午前にDグループの日大、午後にCグループの日体大と対戦する。これからが6連覇を懸けた本当の戦いが始まる。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2018.5.16