●平成30年度東日本学生レスリングリーグ大会 2日目
~1位-4位順位決定リーグで日大、日体大に2戦勝利~
~山学大、6連覇9度目の優勝を懸け、明日拓殖大と対戦~
学生レスリング界最高峰の大学対抗団体戦「平成30年度東日本学生レスリングリーグ戦」が5月17日、東京・駒沢体育館で昨日の予選リーグから順位を決める決定リーグ戦が始まった。山梨学院大の予選リーグ戦は、慶応大を7-0、東洋大を7-0、明治大に7-0で3戦全勝し、Aグループ1位で順位決定リーグ戦に進んだ。この日、Dグループ1位の日大、Cグループ1位の日体大と対戦した。1戦目の日大戦、山梨学院は、流れをつくる大事な役割を57㎏級・坂本京太(4年)が担った。第1ピリオド序盤から常に攻め続け、4得点の大技も飛び出しF (フォール)で勝ちを収め、幸先良いスタートを切った。2番手61㎏級の服部大虎(1年)は敗退したが、65㎏級榊大夢(2年)は終始主導権を握り、70㎏級の乙黒圭祐(4年)は、相手を全く寄せつけずにともにTF勝ちを収めた。74㎏級の横山凛太朗(2年)は、後半終盤、リードされ残り時間も少なくなってから、相手を捉え得点を奪うと、そのまま相手を回し(ローリング)続けTF(テクニカルフォール)で勝利した。この段階で山梨学院の勝利が確定した。続く、86㎏級ルーキー山田修太朗(1年)、留学生125㎏級のアルメンタイ・バクダ(2年)も安定したレスリングで日大をはねのけた。2戦目は、シーソーゲームになった。軽量級の57㎏級の坂本、61㎏級の服部が敗れ追う形になった。満を持してマットに上がった65㎏級の乙黒拓斗(2年)は、攻守のバランスに優れ着実に得点を重ねTFで勝利。続く70㎏級の兄の乙黒圭祐(4年)につないだ。圭祐は、得意なタックルと多彩な技で勝利を導き対戦成績を2勝2敗とすると、ここで怪我の回復を見て74㎏級に藤波勇飛(4年)が初登場。藤波は期待に応え、無類の強さを発揮逆転した。次の86㎏級の山田修太朗(1年)は不覚を取ったが、125㎏級のアルメンタイが異次元の力強さを見せつけ日体大との対戦を4勝3敗で勝利した。山梨学院は、拓殖大とともに無敗で明日直接対決、6連覇9度目の優勝に挑む。
順位決定上位チームは、近年力が拮抗し、チーム層の厚さと、対戦相手との組み合わせによって大きく左右されベンチワークの優劣により変化する。その中で5連覇中の山梨学院にとって不安要素はポイントゲッターの藤波の怪我の回復度だけだろう。順位決定リーグ1戦目は、Dグループ1位の日本大学。1部リーグで常に上位に位置する日大を迎えても山梨学院は動じなかった。終わってみれば6勝1敗、相手に隙いる猶予も与えなかった。先陣の57㎏級・坂本京太(4年)に勝負の行方を託した。予選リーグ2戦目から登場。2戦2勝、チームを勢いづけてきた。順位決定リーグ1戦目の大事な試合にも大きな仕事をした。坂本は、軽い身のこなしで先手を打つと中盤までに8-0とリード。終盤にも手を緩めず足を取り倒して4得点の大技を決め、そのままF(フォール)に持ち込み、まずは1勝幸先良いスタートを切った。2番手61㎏級の服部大虎(1年)は優位に試合を進めるも接戦をものにできずに敗退したが、65㎏級榊大夢(2年)は第1ピリオド中盤に先制。後半に入っても終始主導権を握りTF勝利。70㎏級の乙黒圭祐(4年)は、開始早々、得意の足へのタックルから得点すると、すさまじい勢いで攻め続け、昨年の国体少年74㎏級の相手選手を全く寄せつけずにTF勝ちを収めた。続く74㎏級の横山凛太朗(2年)は、第1ピリオドを同点で折り返すと一進一退の展開が続く中、僅かだがリードされ残り1分を切ると、相手捉えて得点を奪うと、そのまま相手を回し(ローリング)続け、一挙に大きく逆転。地力を見せつける格好となりTFで勝利、藤波不在の役割を十分に果たした。この段階で山梨学院の勝利が確定した。続く、86㎏級ルーキー山田修太朗(1年)は試合ごとに潜在能力の高さを感じさせる安定した試合運びで勝利。今大会、125㎏級で出場したカザフスタンからの留学生アルメンタイ・バグダウレット(2年 アスタナ高)は本来97㎏級の選手。昨年は怪我の影響で本来の力を発揮することができなかったが、今回は、持ち味の高速タックルを武器に、自分より大きな選手を相手に素早い身のこなしと上半身の強さで終始リード。後半は体重差の影響から疲れがみえたものの、日大重量級をはねのけた。
◆順位決定リーグ1戦目《山梨学院大VS日本大 6-1で勝利》
フォール1、テクニカルフォール4、優勢勝ち1、優勢負け1
57kg | 61kg | 65kg | 70kg | 74kg | 86kg | 125kg | |
山学大 | 坂本 | 服部 | 榊 | 乙黒兄 | 横山 | 山田 | アルメンタイ |
○ | ● | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
日大 | 小角 | 田縁 | 上村 | 坂野 | 渡辺 | 石黒隼 | 山本 |
第2戦は、昨年度3位で歴代の連勝記録を持つ、古豪日本体育大を迎えた。軽量級に強みを持ち、予断を許されない。評判通り、57㎏級の坂本は、早い動きを封じ込められ優勢負けを喫し、さらにインターハイ王者の61㎏級の服部に対しては、全日本選手権2位の実績を持つ選手が力の差を見せつけ、TFで退けられた。悪い流れを止めるべく、今大会2試合目の65㎏級の乙黒拓斗(2年)が力を発揮した。第1ピリオド相手軽量実力者と激しい攻防を繰り広げ、中盤、徐々にプレッシャーを掛け得点を重ね前半を8-0とリード。後半も序盤から素早いタックルで相手を苦しめ、早々に得点を加え10-0TFで勝利すると、70㎏級の兄、乙黒圭祐(4年)も続いた。磨き抜かれた素早いタックルと卓越した攻守の技を持って、前半を6-1とリード。後半、膠着状態が続き、相手も反撃するも、余裕をもって凌いだ。この時点でチームスコアが2-2となり、次の74㎏級に切り札藤波勇飛(4年 三重・いなべ総合学園高)を投入、勝負に出た。藤波の桁外れたスピードと力、技の切れは、練習も万全ではない状態でも並外れていた。藤波は序盤から上体の力でプレッシャーを掛けながら、隙を見て足への攻撃で得点を奪い、相手の攻撃も軽くいなしながら後半にも得点を重ね9-0で勝利。対戦成績を逆転した。次の86㎏級の山田修太朗(1年)は善戦するもまずいミスで自滅、敗退し再び同点となった。勝敗の行方は125㎏級のアルメンタイに託された。前半、試合開始わずか30秒、高速タックルから投げを決める大技と回しで6得点を奪うと、その直後に身体ごと持ち上げ、サークルの外へ投げ出す力技で得点を加え、TFで勝利し、対戦成績も4勝3敗とし、2戦2勝とし、明日の最終日、全勝の拓殖大と対戦、6連覇9度目の優勝に挑む。
◆順位決定リーグ2戦目 《山梨学院大VS日本体育大 4-3で勝利》
テクニカルフォール2、優勢勝ち2、テクニカルフォール負け1、優勢負け2
57kg | 61kg | 65kg | 70kg | 74kg | 86kg | 125kg | |
山学大 | 坂本 | 服部 | 乙黒弟 | 乙黒兄 | 藤波 | 山田 | アルメンタイ |
● | ● | ○ | ○ | ○ | ● | ○ | |
日体大 | 山口 | 長谷川 | 嶋江 | 基山 | 三輪 | 阿部 | 仲里 |
順位決定リーグを2戦2勝で終えた小幡邦彦コーチは「予定通りですけど、できれば86㎏は、五分だと思っていて、見ていても負ける試合内容ではなく、自分のミスで取られたので、そこは1年生なのかなと思いました。後ろにアルメンタイがいますし、藤波で三つ取った時点で勝ったと思いました。最低限今日の仕事はできたので後は、拓大と全力でやるだけです」と試合を振り返った。黒星が先行し嫌な流れを払しょくした乙黒拓斗選手は「ある程度想定内で来たので、焦ることもなかったですし、自信もあったですし、普通通りやれば勝てると思っていました。互いに全勝同士なのでいつも通り楽しくやれれば、自ずと優勝に近づくと思うので一致団結してやっていきたい」と意気込みを語った。左目の下を陥没骨折し回復状態を。藤波勇飛選手は「まずまず大丈夫です。ほとんどぶっつけ本番でしたけど自分は絶対勝たなければいかんと思って、それを全うしようと思いました」と話し、チームメイトの活躍を、「強くて、信頼できる仲間なのでいい感じです」。明日の一戦では「自分の普段通りの動きをすれば勝てると思うので怪我が悪化しないように戦います」と余裕を見せた。
順位決定リーグ1日目は、山梨学院大と拓殖大が2勝を上げ、日体大、日大が2敗。明日の最終順位決定戦は、山梨学院と拓殖大が優勝を懸けて直接対決する。山梨学院の史上3校目(戦前含め)、6連覇なるか。歴史のページに山梨学院の名を刻むか。期待が膨らむ。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2018. 5. 17