●2018全日本選抜レスリング選手権大会 開幕
~70㎏級フリー決勝乙黒圭祐、無念の負傷棄権~
~61㎏級フリーOB小栁和也優勝。世界選手権へ~
平成30年度「明治杯全日本選抜レスリング選手権大会」が6月14日から東京・駒沢体育館で開幕。17日までの4日間の日程で行われる。この大会は10月にハンガリーで開催される世界選手権日本代表選考会を兼ねており、各階級の全日本ランキング上位選手によって競われる日本一決定戦。山梨学院大からはフリースタイルに11人、グレコローマンスタイル2人、OB9人が出場する。大会初日の14日は、男子は6階級、女子2階級が行われ、山梨学院は、70㎏級フリースタイルで出場した乙黒圭祐(4年)は、昨年12月に行われた天皇杯全日本選手権で優勝、本大会で優勝すれば世界選手権の代表権を獲得する。初戦、準決勝を勝ち進み迎えた決勝戦では、リードされた第1ピリオド終盤、頭を負傷、試合続行できずに無念の棄権。準優勝となり7月のプレーオフに再び日本代表権に挑む。同階級のOB木下貴輪は天皇杯で乙黒との同門対決で敗れ、雪辱を誓って大会に臨んだが、準決勝で敗れ3位に終わった。61㎏級フリーではOBの小栁和也が優勝。昨年の天皇杯全日本選手権に続き優勝、条件を満たし世界選手権日本代表に決定した。他の山梨学院勢は、92㎏級大津拓馬(1年)は1回戦。130㎏級グレコローマンOB貝塚賢史は2回戦で敗退した。明日も男子6階級と女子2階級が組まれており、山梨学院勢は、現役3人とOB2人が出場する。
全日本選抜選手権は、12月の天皇杯全日本選手権大会各級ベスト8位以内選手や国内有力大会の上位選手など資格大会の推薦を満たした者、強化委員会による推薦選手などが日本一を目指して争われる。昨年の全日本選手権優勝者で今大会にも優勝した者は、今年10月、ハンガリー・ブタペストで行われる世界選手権日本代表者に選出される。優勝者が異なる場合はプレーオフで決定する。2年後に迫った2020年の東京五輪を見据え、日頃の練習の成果を発揮する若手選手の台頭が期待される。
◆《70㎏級フリースタイル決勝 乙黒圭祐》
アクシデントは決勝の第1ピリオド残り1分を切った時に起こった。70㎏級フリースタイル優勝候補の一人、山梨学院乙黒圭祐(4年 東京・帝京高)は、リードされる展開でポイントを取りに組み合ったところで相手の身体と乙黒の頭が強く接触、その場に倒れ込み動かなくなった。試合続行が無理との判断で医務室に運ばれ脳しんとうと診断された。世界選手権代表を狙っていただけに無念の負傷棄権となった。第1シードの乙黒は、2回戦から出場。初戦を判定、準決勝をTF(テクニカルフォール)で勝ち上がり決勝に進んだ。決勝の相手は、乙黒と決勝で当たると予想されたOB木下貴輪(クリナップ)を準決勝で破った日体大1年の選手。試合は第1ピリオド序盤、不意に足を取られ2ポイントを先取された。中盤にも同じように足からポイントを重ねられ0-6とリードされた。攻めあぐねる相手からポイントを奪おうと激しく組み合いアクシデントが起きた。結果は2位、世界選手権日本代表の座はお預けとなり、7月7日に行われるプレーオフに同選手と再び対戦する。同級のOB木下貴輪は3位となった。
◆《61㎏級フリー決勝 OB小栁和也》
61㎏級フリースタイルのOB小栁和也(自衛隊体育学校)は、昨年の天皇杯全日本選手権で初優勝を飾り、今年4月にはワールドカップで世界3位の選手を破るなど、一皮むけた戦いぶりで絶好調、この大会に臨んだ。第1シードで2回戦より登場。初戦、2回戦を判定で勝利し順調に決勝に上った。決勝戦は、昨年の天皇杯決勝でも戦いTFで破った相手。第1ピリオド中盤、腿を両腕で抱え上げ外に投げ出す大技を決め5-2で第2ピリオドに。激しい攻防から相手も徐々にピッチを上げ、終盤残り20秒、8-8の同点に追いつかれた。このまま終了するとビックポイントで相手に勝利が行く残り4秒。起死回生の大技が炸裂。高校時代グレコローマンで培ったそり投げの大技が決まり12-8で終了。優勝を決めた。小栁和也選手は「今日は1回戦目から山場で大学時代に1回も勝ったことがない相手だったので勝ってほっとしました」と気持ちに余裕がでた。決勝戦での土壇場の大技について、「あそこで場外出たら負けだし、負けてもいいからやるしかないと思い切っていった」と試合をあきらめなかった。世界選手権に向け、「出るからには優勝を狙っていく、まだ時間があるので練習を頑張っていきたい。1戦目に出てしまったのですが気持ちの弱さです。心を強化したい」と課題を挙げた。小栁は全日本選手権と全日本選抜選手権の2冠に輝き世界選手権日本代表権を射止めた。他の山梨学院勢は、92㎏級フリー大津拓馬(1年 長崎・天草高)、130㎏級グレコローマンOB貝塚賢史(茨城県競技力向上対策本部)はともにベスト8。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2018.6.14