●全日本学生柔道優勝大会 男子2日目
~4年生の奮起で3年ぶりのベスト8~
~西田監督、次の世代に強い意欲を求める~
6月24日、「平成30年度全日本学生柔道優勝大会(男子67回、女子27回)」の大会2日目、男子2回戦から決勝までの試合が東京・日本武道館で行われた。男子の出場校は全国9地域から62校が結集し、1回戦に勝ち残ったチームが日本一を懸けて戦った。試合は先鋒から大将まで7つの配列で争われ、山梨学院の男子は、昨日1日目の1回戦に関西大学と対戦4勝1敗2分けで勝利。2日目2回戦では名城大に3勝1敗3分けで勝利。3回戦でこのところ破れなかったベスト16以上の壁突破を懸けて國學院大と対戦。1勝1敗で迎えた5人目長谷川優(4年)が開始早々、大外落としで大きな1本勝ちを収め、続く2人が引き分けて2勝1敗4分けでベスト8に進んだ。準々決勝では、絶対王者東海大とぶつかった。先鋒の畠山竜弥(1年)が善戦し引き分けに持ち込み手応えをもたらしたが、続く次鋒から三将まで4人が連続して1本負け、この結果ベスト4には進出ならなかった。東海大との実力の差をまざまざと見せつけられた形となった。山梨学院は、平成27年以来のベスト8に入り、順位は5位となった。
山梨学院男子には乗り越えなくてはならない壁があった。ベスト8。ここ2年もがき苦しむもベスト16で止まっていた。2日目、3回戦。対戦相手の國學院戦を前にして、西田孝宏総監督は「今までのことは全部忘れろ。國學院に勝つためのお膳立ては全部できた。もう一度リセットして全部の力を合わせて戦おう」と激を飛ばした。先鋒は加藤慎之介(3年 日大藤沢高)の対戦相手は一回り大きい。プレッシャーを掛ける相手を止められず前半、合わせ技で1本負けした。次鋒の町屋匡樹主将(4年 弘前実業高)は前半、相手ポイントゲッターに技ありを決められわき腹を痛めるも、中盤に挽回、裏技で倒し抑え込みの合わせ技で勝利。流れを呼び込んだ。続く五将、中堅と引き分け、1勝1敗で三将・長谷川優(4年 東海大相模高)につないだ。長谷川は期待に応え、開始僅か38秒に大外落としを決め1本勝ち。大きな仕事をした。続く副将、最後の大将が引き分け、2勝1敗4分けで勝利。最低目標のベスト8に進んだ。
■3戦目 《山梨学院大VS國學院大 2勝1敗》6/24 日本武道館
先鋒 | 次鋒 | 五将 | 中堅 | 三将 | 副将 | 大将 | |
國學院大 | 兼原 | 二見 | 安達 | 渋谷 | 山本 | 藤坂 | 長澤 |
● 一本勝ち |
○ 一本勝ち |
引き分け | 引き分け | ○ 一本勝ち |
引き分け | 引き分け | |
山梨学院大 | 加藤 | 町屋 | 岩田 | 中元 | 長谷川 | 玉置 | 西田 |
準々決勝に進んだ山梨学院の対戦相手は、22回の優勝を誇り2連覇中の絶対王者東海大。
先鋒の畠山竜弥(1年 東海大浦安高)は、序盤、積極的な攻撃から技ありを決め先制。相手も反撃、技を返し同点に。中盤から互いの力がぶつかり合う激しい攻防が続き一進一退の好試合を展開。引き分けた。続く中元岳(4年 北海高)は攻撃からカウンターを受け、袈裟固めを決められ、五将・岩田歩夢(1年 埼玉栄高)は指導からともに1本。さらに中堅・西田将樹(2年 大牟田高)は組み合い主導権を争いを展開するも、内股を掛けられ敗退。三将の
町屋はわき腹の痛みをこらえて出場。開始1分、渾身の1本背負いで技ありを決め、先制。しかし後半、横四方固めを決められ1本負けを喫した。副将の玉置玉(4年 旭川大学高)は体重差60㎏の相手と対戦。玉置はひるまずに前へ出て応戦。終盤疲れの見える中にも最後まで攻める姿勢を貫き善戦。引き分けに持ち込んだ。大将は2回戦、3回戦で1本勝ちをした長谷川。長谷川は大会後、肘の手術を予定しており、この大会が学生最後になるかもしれないと試合に臨んだ。開始早々から互いに技の掛け合いで主導権を争う。長谷川は、前へ前へ先に仕掛けるも、中盤仕掛けが外れ、大外刈りを決められ惜しくも敗退した。0勝5敗完敗を喫した。
■4戦目準々決勝 《山梨学院大VS東海大 0勝5敗》6/24 日本武道館
先鋒 | 次鋒 | 五将 | 中堅 | 三将 | 副将 | 大将 | |
東海大 | 安達 | 後藤 | 太田 | 清水 | 星野 | 奥野 | 村田 |
引き分け | ● 一本負け |
● 1本負け |
● 1本負け |
● 1本負け |
引き分け | ● 一本負け |
|
山梨学院大 | 畠山 | 中元 | 岩田 | 西田 | 町屋 | 玉置 | 長谷川 |
西田孝宏総監督は試合後、男子選手を控え室に集めて、「いろいろ作戦練っても実力の差がありすぎる。でも次につながる試合ができたかな。4年生の姿を見て、キャプテンの姿を見て、たぶん今の3年生以下が来年以降につなげてくれると思う。俺はそういうふうに信じているから。3年生以下は良く考えてくれ」と次に強い意欲を促した。負傷をものともせず不屈の姿を見せた町屋匡樹主将は「メンバー外れた4年生もいるんですけど、彼らも一緒にやってきた仲間なので、試合中に監督が“4年間最後だろう”と、その一言で鼓舞されて、外れた4年生とか上で応援してくれている仲間の姿が見え、もうひと踏ん張りの力が出せたと思います」と仲間に後ろを押された。ベスト8入りに貢献した長谷川優選手は「キャプテンのつらい姿を見てきて、ああいう形でつないでくれたので自分も何とかして取りに行くという気持ちで結果が出せ良かったです。自分は東海系列の高校から来て、4年生で進学しなかった東海と最後何としても戦いたいという気持ちが強かったです」と話した。
最終結果は、優勝・東海大、2位・筑波大、3位天理大と国士館大。5位は山梨学院大、日本体育大、明治大、中央大の4校となった。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2018.6.24