●2018インターハイ男子サッカー 決勝戦
~山学高エース宮崎、敗退寸前に執念の同点弾~
~延長戦で桐光高を逆転、歓喜の初優勝~
「平成30年度全国高等学校総合体育大会(インターハイ)『2018彩る感動 東海総体』」が『翔べ誰よりも高く東海の空へ』のスローガンのもと7月26日に開幕、8月20日まで全国の都道府県予選を勝ち抜いた約3万人の高校生アスリートたちが三重県を中心に東海4県(三重、愛知、静岡、岐阜)を舞台に30競技で熱戦が繰り広げられている。その内、男子サッカーで山梨学院高校が決勝戦に進出、8月13日、三重交通Gスポーツの杜鈴鹿で同じプリンスリーグ関東に所属する桐光学園高校(神奈川第二代表)と対戦した。4年ぶりにインターハイに出場した山梨学院は、初戦を沖縄代表・前原高校に5-0と幸先良いスタートを切り、2回戦を優勝候補一角の千葉代表・市立船橋高に1-0と接戦を制し第一関門を突破。その後も接戦を強いられるも、初の決勝戦に勝ち上がった。試合は前半、桐光学園がやや優勢に進め、21分、桐光学園に先制を許す。後半に入ると、山梨学院の動きも良くなり、エースストライカーの宮崎純真(3年)がドリブル突破などで盛んにゴールを狙い、前線の意識を高める。互いに激しい攻防を交わすも時間が過ぎ、ロスタイムの終了間際、右サイドから中央へのパスを宮崎が決め同点に追いつき延長戦に突入した。延長前半、山梨学院は開始5分、宮崎の右サイドからのクロスが相手選手のオウンゴールを誘い1点をリード。後半の10分間、山梨学院は桐光学園の反撃を許さず1点を守り切り逆転勝利、初優勝に輝いた。インターハイでの山梨県勢の優勝は1975年に韮崎高校が優勝して以来43年ぶりとなる。
2009年、第88回全国高校サッカー選手権大会に初出場初優勝を飾り、山梨県を青の旋風を巻き起こした山梨学院高サッカー部は、インターハイではベスト16が最高。今大会の出場は、地元開催の2014年以来4年ぶり5度目の出場となる。課題は、今年の夏の異常な暑さをどう乗り越えるか。どのチームも暑さに勝ったチームが生き残る。連日の猛暑日に、全体練習以外に練習場の周りを4日間で約100kmの走り込みを行い基礎体力と精神力を鍛えてきた。
◆《初戦から準決勝まで5試合の経過 8/7~12》
インターハイ男子サッカーは、8月7日から6日間にわたり熱戦が繰り広げられた。7日に初戦を迎えた山梨学院は、沖縄代表の前原高校に5-0の順当勝ち。2回戦は、優勝候補筆頭の千葉代表・市立船橋高校に堅守速攻で格上を1-0と封じ込めた。3回戦では、山口代表・高川学園高校に2-0とリードするも同点に追いつかれ、時間内では決着がつかずPK戦となり3-0で勝利。準々決勝は、宮崎代表・日章学園高校に前半を0-1とリードされ、後半早々追いつくも、再び逆転される嫌な流れにエースストライカーの宮崎が続けて2本決め3-2で振り切った。準決勝は京都代表・東山高校。山梨学院が前半相手オウンゴールで先行したが、前半を1-1で折り返した。後半は互いに得点できずに、今大会2回目のPK戦になったがGK市川準(3年)の好セーブで3-1と勝利に貢献、初めての決勝戦に進んだ。
◆《決勝戦 8/13 山梨学院高校VS桐光学園高校》
午前11時。会場の三重交通Gスポーツの杜鈴鹿の気温は32度。空は晴れわたり夏の日差しが容赦なく照りつける。試合は、桐光学園のキックオフで始まった。前半序盤、相手前線の押上げで自陣のプレーが目立ちやや劣勢な立ち上がり。21分桐光学園の8番MFの右サイドからのクロスボールを10番FWが頭で合わせ1点を先制される。終盤になりようやく山梨学院は宮崎に合わせたスピードある展開でチャンスをつくるものの、得点には至らず0-1で終了。後半に入り、山梨学院は宮崎を中心に攻撃のリズムが機能し始め、再三ゴールを窺うが攻めきれない。23分にはペナルティエリアの外1mのフリーキックを得る好機に宮崎が右足を振り抜くがゴールの上をかすめ得点にならず。その後も山梨学院は、攻守の切り替えと前線でのボールの支配で相手陣内に押し込むと、ロスタイム終了間際に、3番DF大石悠介(3年)の右サイドから中央へのパスを12番川野大成(2年)がスルー、それを受けた宮崎が執念のゴールを決め同点に追いついた。延長戦に入っても鍛えられたスタミナと精神力で徐々に相手に圧力を掛け始める。前半、山梨学院は開始5分、宮崎の右サイドからのクロスが相手選手のオウンゴールを誘い1点をリード。後半は、互いに疲れが見える死闘の中、気力で勝る山梨学院は桐光学園の反撃を許さず1点を守り切り逆転勝利、初優勝に輝いた。インターハイでの山梨県勢の優勝は1975年に韮崎高校が優勝して以来43年ぶりとなる。また、山梨学院高のスポーツのページに新しい歴史を刻んだ。
(※決勝戦で同点の場合は前後半10分ずつの延長戦を行う)
2018年度全国高校総合体育大会(インターハイ)男子サッカー 決勝戦 山梨学院高校VS桐光学園高校 8/13 三重交通Gスポーツの杜鈴鹿 |
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○ 山梨学院高 2 | 前半0-1 後半1-0 延長 前半1-0 後半0-0 |
1 桐光学園高 ● |
山梨学院高得点 ◆宮崎純真 延長◆オウンゴール |
試合後、安部一雄監督は「うちは個人ではタレントはいないし、その部分で負けてしまうと何もないのでそこだけは頑張らせました。一人一人が粘り強くなりました。気持ちが前へ前へと向かうようになったので、それは非常に成果として出ていますね」と今大会の勝因を挙げた。選手権については、「冬では、まだまだこれでは勝てない」と気を引き締める。主将になった時からチームのまとまりに心を割いてきた西澤俊主将は「この連戦と暑さといい、一試合一試合が厳しかったです。大会前の厳しい練習を仲間と乗り越えられ一体感が生まれたのが大きかったです。今日も延長のプラス20分できつかったですけど桐光学園よりずっと足も動いていたしそこは成長を感じさせてくれる試合でした」と人一倍優勝の喜びを心に刻んだ。今大会もゴールを守る守護神として好セーブを連発した市川隼選手は「日本一という実感はあまり湧かないのですけど、うれしい気持ちはすごく大きいです」。大会を振り返って、「一番は後ろから落ち着いてプレーすることを心掛けていたのでそれができていたのかなと思います。後ろからの自分の声でディフェンスを動かすことができて良かった」と語った。今日の試合で大会を通して目標にしていた5得点を挙げる活躍をした宮崎純真選手は「本当に最高です。今日は先制されましたけど1点は想定内でしたので自分たちが前からどんどんプレッシャーを与え、ドリブルなどで仕掛けられたのが良かった。シュートは打てていたので後は決めるだけでした。同点を決められたのが勝利につながり、インターハイ前からたくさん走ったりして走る部分で他のチームに勝ったということが優勝につながったと思います」と優勝を喜んだ。横森巧総監督は「1点を取られたが追加点を取られなかったのが良かった。暑さ対策はうちが上で、下手なチームでも努力をしていれば良いこともある。出来過ぎの優勝」と選手を称えた。
試合後の表彰式では、優秀選手として山梨学院からGK市川準(3年)、DF大石悠介(3年)、DF西澤俊(3年)、MF平松柚佑(2年)、MF野村海(3年)、FW宮崎純真(3年)の6選手が選ばれた。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2018.8.13