●2018全日本学生レスリング選手権フリースタイル~
~3人が決勝へ。86㎏級・新星山田手堅く初優勝~
~65㎏級・榊、125㎏級・冨栄も大健闘、準優勝~
明日のレスリング界を背負う若い力が全国から結集、各階級の頂点を目指す「文部科学大臣杯2018年度全日本学生レスリング選手権大会」(インカレ)が8月28日、東京・駒沢体育館で開幕。31日まで4日間にわたる熱戦が繰り広げられる。男子は前半の2日間はフリースタイルと後半2日間はグレコローマンスタイルという日程で行われ、山梨学院からは、フリースタイルに28人、グレコローマンスタイルに6人がエントリーした。1日目の28日はベスト16までが行われ、山梨学院勢は7人が残り、2日目の29日に優勝を目指した。そのうち65㎏級の榊大夢(2年)、86㎏級の山田修太郎(1年)、125㎏級冨栄雅秀(3年)が決勝に勝ち進み、山田は慎重に試合を進め初のインカレで初優勝を飾った。榊は、前半を1-2で折り返し、後半に勝負を懸け、残り30秒で逆転の2ポイントを奪ったが、終了間際相手の猛攻にあいポイントを失い3-4の悔しい負けを喫し、準優勝に終わった。
富栄は、初戦を相手の棄権で幸運な勝利を挙げると、2戦目、3戦目を難なく勝ち進み、決勝戦は昨年の大会3位の山本泰丈(日大)に力負けし、優勝を逸した。92㎏級の大津拓馬(1年)は優勝候補の一角に挙げられていたが、準決勝でポイントを挙げた一瞬を逆襲されフォール負けを喫し3位となった。
全日本学生レスリング選手権(インカレ)は、日本のレスリング界の明日を担う国内学生レスリング最高峰の大会。ここから幾多の選手が世界選手権、オリンピックと世界に羽ばたいていった。今年も全国から多くの若い力が結集、日本一を目指した。大会は、フリースタイル、グレコローマンとも1日目にベスト16までを決め、2日目に準々決勝(ベスト8)から決勝までを争う。山梨学院は、1日目、2日目のフリースタイルに28人がエントリー、3日目、最終日のグレコローマンスタイルに6人がエントリー。今大会は、10月にハンガリー・ブタペストで開催される世界選手権に日本代表として出場する山梨学院のフリースタイル65㎏級乙黒拓斗(2年 東京・帝京高)、70㎏級乙黒圭祐(4年 東京・帝京高)、先のアジア大会3位で表彰台に上った74㎏級藤波勇飛(4年 三重・いなべ総合学園高)、また、拓殖大の125㎏級山本泰輝の各選手は調整のため棄権した。
フリースタイル1日目に山梨学院からベスト16に7人が進出、29日大会2日目に各級の頂上を目指した。そのうち、74㎏級上村孝高(3年 兵庫・育英高)と横山凛太郎(2年 三重・いなべ総合学園高)、86㎏級牛水瑞貴(4年 鹿児島・鹿屋中央高)はベスト8に入賞。佐藤旭(1年 秋田・秋田商高)はベスト16となった。65㎏級の榊大夢(2年 鹿児島・鹿屋中央高)、86㎏級山田修太郎(1年 秋田・秋田商高)、92㎏級大津拓馬(1年 長崎・島原高)、125㎏級冨栄雅秀(3年 茨城・霞ヶ浦高)の4人が準決勝に進んだ。
7月、インドで行われたアジアジュニア選手権で準優勝を飾った92㎏級大津拓馬選手は、準決勝で昨年12月の天皇杯全日本選手権で優勝した石黒峻士(日大)と対戦。前半2-0とリード、後半に入り大津ペースの1分、大津がバックを取り2ポイントを加えた瞬間、逆襲されフォールに持ち込まれそのまま逆転負け、決勝には進めなかった。小幡邦彦コーチは「作戦通りに行っていたのに若さがでた」と話した。125㎏級冨栄雅秀選手は、初戦の相手の山本泰輝が世界選手権出場のため大事を取って棄権、幸運な勝利を手に入れた。2戦目、準決勝と余裕を持って決勝に進んだ。決勝戦の相手は、昨年暮れの天皇杯全日本選手権で5位に入った山本泰丈(日大)。試合は相手の前への圧力に屈し、TF(テクニカルフォール)負けで敗退、準優勝となった。冨永雅秀選手は「2位になれはしましたがあまりうれしくはないです。同じ選手に何度も負けているので反省点が多いです。まだ、力の差が大きいです」と唇を噛んだ。65㎏級の榊大夢選手は、初戦から3戦目まで無得点で準々決勝に勝ち上がった。準々決勝では苦戦したものの、準決勝では、開始1分過ぎ鋭いタックルからポイントを奪うとそのままポイントを重ねTFで勝利、決勝に進出した。決勝では、前半1-2でリードされるも、後半、残り30秒を切ったところで逆転。そのまま逃げ切るかと思われたが相手の反撃で残り5秒、ポイントを奪われ3-4の僅差で敗れ去った。榊大夢選手は「とても悔しい。もっと攻めていれば。反されるのが怖くてなかなか飛び込めなくて、最後とられてしまったのも気持ちの問題ではなく技術不足」と肩を落とした。86㎏級の山田修太郎選手は初戦、2回戦を難なく勝ち上がり、準々決勝は、高校時代の先輩との対戦になり一つの関門になった。試合をしてみれば前半から攻め続けた山田が前半8-0で折り返すと後半1分、2ポイントを加え、10-0で準決勝に進出。準決勝でも相手を全く寄せ付けず前半でTFで決着をつけた。決勝戦は、優勝候補の松雪康成(専修大)を準決勝で破った八木海里(中央大)との対戦になった。前半、互いにけん制しながら動きを見極める中、相手に消極的ポイントが課せられ1ポイントリードした後半1分、僅かな隙を見極め、ポイントを奪う。その後は、山田のプレッシャーに相手は攻められず3-0で手堅く勝利を収め初優勝に輝いた。山田修太郎選手は「自分的には大学生のチャンピオンになる力はないと思っていたんですけど、自分の階級にあまり手強い人がいなかったので優勝できましたが、決勝ももう少し大差で勝てる相手に僅差だったことは反省の方が多いです。まだまだです」と謙虚に答えた。今後の大会に付いて、「次の世界ジュニア選手権ではメダルをとり、続いての内閣では自分の階級に合わせてくる人が多いのでそこで真の大学日本一になりたいです」と意欲を示した。
山梨学院は、今回フリースタイルの乙黒兄弟、藤波の3人が世界選手権の調整のため棄権する中で、優勝者1人、準優勝2人、3位1人が表彰台に上る成績を残し山梨学院の層の厚さを印象づけたが、試合後大会を振り返って小幡邦彦コーチは「3人がいない中、予定通りと言えば予定通りでしたけど、決勝ではやってみなければ分からないところは一つ勝って、一つ負けた感じでした。良かった選手悪かった選手もいて、高校時代結果を残せてない選手も練習通りやって成果の見えた子もいましたし、逆に練習の成果が出なかった子もいて半々くらいでした」と物足りなさをにじませた。30日、最終日の31日はグレコローマンスタイル各級でしのぎを削る。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2018.8.30