●平成30年度「関東大学空手道選手権大会」
~男子団体形4年連続準優勝、帝京の牙城崩せず~
~女子団体形も4年連続3位、男女組手はベスト16~
平成30年度「第61回関東大学空手道選手権大会」が10月8日、東京・日本武道館で行われた。母校の名誉を懸けた団体対抗戦に『組手』は男子32大学、女子36大学、『形』は男子12大学、女子7大学の精鋭が“武道の聖地”に集った。試合は、『組手』は男女共にトーナメント方式で男子5人、女子は3人で争われる。『形』は、予選の採点方式による上位4チームが決勝トーナメントで1位を競った。男子団体形で村田望留(4年)、大家廉(3年)、中村脩平(3年)チームが予選を2位で通過し、準決勝では予選3位の国士館大に3-2の辛勝で勝ち上がった。決勝戦では、中村を大上健(3年)代えて絶対王者の帝京大に挑んだが力及ばず2位となり4年連続の準優勝となった。女子は渡辺ほのか(4年)、馬場ひかる(4年)、竹原由菜(2年)の布陣で臨み決勝トーナメントでは帝京大に敗れ3位となった。また、女子団体組手は澤中梨奈(3年)、田井碧(2年)を中心に小松春香(2年)と池田想楽(1年)が出場、3回戦で敗れベスト16となった。男子団体組手は、貫井颯人(3年)を中心に5人の編成で戦ったが2回戦で敗退、ベスト16に止まったが男女とも11月のインカレ出場権は確保した。
形競技は、それぞれの流派の決まった形を演武し、技の切れ、力強さ、スピード、決め、気合などで相手との上手さを競う。団体形は3人1組で形を演武し、チームとしての一体感、一致、技の上手さ、集中力で勝敗を決める。形の部は、5人の審判の採点方式による予選が行われ、男子が12校、女子は7校が出場。男女共に3人による団体演武で上位4校が決勝トーナメントに進出する。予選の採点結果は、男子は帝京大が1位、2位山梨学院大、3位国士館大、4位駒澤大(以上準決勝進出)となり、準決勝では3位の国士館大と対戦、3-2とし、決勝に進出した。決勝の対戦相手は、9連覇中の帝京大、山梨学院大は、10年ぶりの優勝を目指した。女子は、予選1位の帝京大以下3校が同点になる混戦の中、4位で決勝トーナメントに進出、最終結果は3位となった。
◆男子団体『形』《村田望瑠、大家廉、中村脩平、大上健》
今大会男子団体形に山梨学院大は、昨年と同じ布陣の村田望瑠(4年 山梨学院高)、大家廉(3年 埼玉栄高)、中村脩平(3年 東京・保善高)、大上健(3年 岡山・おかやま山陽高)で臨んだ。予選は、採点方式で行われ、上位4位までが決勝トーナメントに進出する。山梨学院の予選メンバーは正面に村田、右後ろに中村、左後ろに大家。12大学が出場する中、3番目に登場した山梨学院は糸東『セイエンチン』を披露。『セイエンチン』は緩急の動作があり、動作が小さくならないことがポイント。3人は三位一体の力強く、スピード、切れのある演武を見せ2位で通過した。決勝トーナメントは、旗による判定で勝敗を決める。山梨学院の準決勝では3位の国士舘大学と対戦、山梨学院が形名『スーパーリンペイ』を演武。この形は、多彩な動きが特徴でバランスの維持が求められ、最後までやりきる体力が必要。3人はスピード・高さ、パワーを意識したバランスを強調し見事に演武を決めた。結果は、3-2で勝利。決勝の対戦相手は、9連覇中の絶対王者・帝京大学。山梨学院は、3年連続準優勝に甘んじているが今年こそはその牙城を破りたいところ。決勝には帝京大の『形』と『分解』の演武に続いて形名「チャタンヤラクーサンク」を演武した。『キレ』『気迫』『美しさ』が要求される空手の形の原型とされ、非常に難しい技といわれる。メンバーの中村を大上健に代え臨んだ。決勝は前半に3人揃った『形演武』、後半に3人で形を使った実戦型の演武『分解演武』で構成され、山梨学院の3人は息の合ったスピードと切れのある『形演武』で会場を魅了。さらに『分解』では実戦さながらの迫力を見せた。結果は、残念ながら山梨学院を迫力ある演武で上回った帝京大に敗れた。
村田望留選手は「自分たちの持ち味のスピーディーさは出せたかなと思いますので自分では満足しています。帝京は失敗してもそれを見せないようにするとか、基本的には安定しているので、もっと練習をしなければいけないと感じています。今年こそはと思っていたんですが」と残念がった。大家廉選手は「ここまでやっても帝京に勝てなかった。さらにそれ以上の練習をしなければ勝てないんだなと差を感じました。あと1か月練習して全日本で借りを返したいと思います」。大上健選手は「もう少しいつも通りの演武ができたんじゃないかなと思いますが、昨年に比べたら結構成長していると思うので来年こそは絶対に勝つ意識を持ってやりたいと思います」と前を向く。試合結果は優勝・帝京大が10連覇を達成。2位・山梨学院大、3位駒澤大、国士舘大となった。
◆女子団体『形』《渡辺ほのか、馬場ひかる、竹原由菜、加藤華香》
女子団体『形』は、渡辺ほのか(4年 新潟・燕高)、馬場ひかる(4年 新潟・第一高)、竹原由菜(2年 兵庫・夙川高)の3人が採点方式による予選に挑んだ。7チーム中5番目に登場した山梨学院チームは、中央に竹原、向かって右後ろに渡辺、左後ろに馬場の布陣で臨んだ。3人は、立ち方と攻撃の中に手刀を多く取り入れた『ニーパイポ』の演武を披露した。速い動きからぴたりと動作の決めをつくる特徴的な形を、身体のバランスと呼吸の合った演武でまとめた。5番目の山梨学院が終了した時点で駒澤大、国士舘大、山梨学院大の3チームが同点で並んだ。6番目の帝京大が1位になり、7チームすべてが終わった時点で同点の3チームのなかの最低得点で山梨学院が一番低くなったため、4位で決勝トーナメントに進んだ。準決勝では1位の帝京大と対戦。山梨学院は形名「トマリバッサイ」で挑んだ。3人の気合、技の融合、鬼気迫る眼力で演武を見る者を圧倒した。先に演武を行った帝京大との対戦の判定を固唾を飲んで待った。下された判定は帝京大に旗が5本上がった。
試合後、渡辺ほのか選手は「帝京大は強いので予選を3位通過して勝って、決勝戦で帝京とやりたかったです」と、4位通過で1位通過の帝京と準決勝で当たり敗れたことを悔いた。馬場ひかる選手は「2位から4位まではどんぐりの背比べだったのでそこで飛び越せるようにしないと。昨年よりは確実に上がっていると思うので、全日本に向けて予選の形をもっと練っていかねばいけないと思います」。竹原由菜選手は「先輩たちと組むのは今年初めてだったので、昨年、自分は怪我で出られなかった分、この順位は残念です。全日本では、このチームでは最後なので悔いなく、このチームで良かったと思える試合をしたいです」。控えに回った加藤華香選手は「見ていた限りでは勝てるかなと思っていたんですが、なかなか点が伸びなくて、でもこの調子でやっていけば全日本ではいい結果が出るんじゃないかと思うので頑張ってもらいたいです」と次に向け気を切り替えた。
試合結果は帝京大が13連覇を達成。2位に国士舘大、3位は山梨学院大と駒澤大となった。
◆女子団体『組手』《澤中梨奈、田井碧、小松春香、池田》
今大会の女子団体組手は36チームがトーナメント方式で優勝を目指して熱い戦いが繰り広げられた。山梨学院女子団体組手は、2回戦から出場、千葉工業大学と対戦、先鋒の田井碧(2年 兵庫・夙川学院高)が4-0で勝利を収め、中堅の小松春奈(2年)が敗れたが、大将のエース澤中梨奈(3年 兵庫・夙川学院高)の対戦相手が棄権したために山梨学院が勝利し初戦を飾った。3回戦は、先鋒に澤中を投入して確実に勝利を狙ったが1-2のポイントで敗れた。片田貴士総監督は中堅の田井碧(2年 夙川学院高)は2-0で勝利、対戦成績を1勝1敗の五分に戻し、大将の池田想楽(1年 夙川学院高)に勝利を託した。試合は拮抗し0-1で敗れ山梨学院も1勝2敗で3回戦敗退となり、ベスト16に止まった。片田貴士総監督は「拓殖大戦で先鋒を落としてしまったのが痛かった」と振り返った。
◆男子団体『組手』《貫井颯人、高橋健吾、石坂稜、東勇吾、古川雄太郎》
32チームで行われた男子団体組手の山梨学院チームは、過去に2部で優勝を果たしているもの、1部に昇格して3位までの入賞には至っていない。今チームは貫井颯太(3年 帝京高)を中心に、高橋健吾(2年 東京・保善高)、石坂稜(2年 保善高)、東勇吾(1年 保善高)、古川雄太郎(1年 保善高)の若い布陣で臨んだ。1回戦は、東京大学と対戦。先鋒の高橋は敗れたものの、次鋒石坂、中堅貫井、副将の東、大将の古川は勝利、5勝1敗で2回戦に進んだ。2回戦は過去に6度優勝を果たしている古豪駒澤大学との対戦。先鋒高橋、次鋒貫井、中堅石坂がともに敗れここで山梨学院の敗戦が決まり、女子と同じくベスト16に止まったが、11月に行われる全日本大学選手権(インカレ)の出場を決めた。山梨学院は、男女形の出場を含め、全種目で出場を果たした。
試合後、片田貴士総監督は「男子の形は僅差だったと思っています。決勝でしたので若干力んでしまった部分もあったことと思うんですけど、攻めていい演武をしたと思います。女子の形は決勝トーナメントで帝京に敗れて決勝に残れませんでしたけど、決勝に残りたいという気持ちで分解演武も仕上げてきましたので披露できずに、そこが非常に残念なところもあります。全日本までの日にちが僅かですが、もう一度チームを仕上げていきたい」と語った。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2018.10.9