●日本学生氷上競技選手権開幕 ショートトラック
~女子2連覇13度目優勝。男子も健闘、準優勝~
~女子田中は2種目、男子菊地・塩川もメダル獲得~
平成30年度「第91回日本学生氷上競技選手権(インカレ)ショートトラック競技」が10月13日・14日の2日間、長野県南牧村野辺山の帝産アイススケートトレーニングセンターで開催された。日本学生氷上競技選手権(インカレ)は氷上競技の大学日本一を決める個人・大学対抗戦に全国から男子18校、女子14校が集結、氷上で火花を散らした。今大会は、10月のショートトラック、11月に苫小牧で行われるアイスホッケー競技、来年1月のスピードスケート競技とフィギュア競技と分散開催され、ショートトラックが開幕競技になった。今年の山梨学院ショートトラックの出場メンバーは男子4人、女子5人。1日目に行われた男子1500mでは菊地浩樹(4年)が2位、塩川弦太(2年)が3位に入り、二人が同時に表彰台に上った。女子1500mでは田中冴実(2年)が2位、前回大会に続き表彰台に上り、2日目の1000mでも3位に入った。2日目最終日の華、リレー種目で女子は3000mリレー(R)で優勝、男子も5000mRで準優勝を飾り、女子は1日目の総合成績得点2位から逆転優勝を飾り2連覇を達成、13度目の優勝に輝いた。男子は前回の4位から2位に順位を上げ2年ぶりの準優勝と雪辱を果たした。
ショートトラックの1周は111.12m。数人の選手が同時に滑り、順位を競う。タイムトライアルではなく着順で順位を決めることから『氷上の競輪』とも呼ばれている。競技の距離は5000m、3000m、1500m、1000m、500mがあり、それぞれの周回は45回、27回、13.5回、9回、4.5回トラックを回る。この競技の魅力は、鋭いカーブを絶妙なバランスとスピードを持って、選手同士の駆け引きがもたらすスリリングなレースが展開され、接触や転倒などアクシデントも多く迫力感に満ち、見るものを魅了する。「日本学生氷上競技選手権ショートトラック競技」は学校対抗戦で全レースの順位ごとに決められた得点が与えられ、その得点合計に基づき順位を決定する。
■競技1日目 平成30年10月13日 帝産アイススケートトレーニングセンター
◆《男子1500m2位・菊地浩樹、3位・塩川弦太 女子1500m2位・田中冴実》
競技1日目、学校対抗競技男女500m、1500mの予選から決勝までと男子3000mR予選(決勝では5000mに距離を伸ばして行われる)、男子1000m予選が行われた。男子1500mでは、菊地浩樹主将(4年 長野・小海高)と塩川弦太(2年 山梨学院高)の2人が出場。予選、準決勝を順当に勝ち上がり決勝に進出。決勝では、塩川選手がスタートから猛然とスパートする戦略に出た。他の選手も果敢に追う展開に、菊地は3番手につける。中盤5人の集団から菊地選手がトップに躍り出ると、さらにスピードアップ。塩川も3番手で追う。残り1周、僅かな隙を強豪神奈川大の選手が菊地をかわしトップでゴール、菊地は2位となった。塩川も踏ん張り、3位でインカレ初のメダルを獲得した。菊池浩樹選手は「まずまずの出来です。最初に塩川が逃げたので皆が追いかけて足を使ってくれればと思い、自分は温存し最後に勝負を懸けようと思ったのですけど、自分の方がスタミナがなくなってしまいました」と苦笑いした。仕掛けた塩川弦太選手は「自分が潰れて菊地先輩につなぐように普段はしないような相手の不意をつく思い切ったレース運びが出来たんじゃないかと思います。二人でワンツーフィニッシュを狙いたかったですが、それでも2位、3位でメダルを取れたので良かったです」と話した。山梨学院女子1500mに出場した中野あやめ女子主将(3年 山梨学院高)、田中冴実(2年 山梨学院高)、山名里奈(1年 兵庫・三田高)の3人は、中野選手が準決勝を2位でゴールしたものの、ペナルティを受け決勝に進めず、他の2人は決勝に進出した。決勝は、スロースタートから始まったレースは序盤、山梨学院は中ほどに位置をとり、残り5回、田中選手と山名選手がスピードを上げると、他の選手がぴたりと背後に付き勝負のタイミングを計る。残り2回、背後から優勝候補の平井亜美(中京大)が外側から一気に加速し田中の前に出た。田中も必死に追うも届かず2位となった。山名選手も善戦し5位に入った。田中冴実選手は「自分のペース配分とかまだまだだなと感じました。トップ選手にはああいう形で負けるのかと思いました。レース前にはコーチと優勝するつもりでと話していたので2位という結果は悔しいです」と語った。他の男女500mでは男子の青木雅弥(3年 北海道・池田高)は8位入賞。同じく塩川和音(1年 山梨学院高)は13位。女子500mでは冨吉葉月(1年 熊本・千原台高)が7位入賞、相良茉莉奈(2年 山梨・帝京第三高)は9位となった。その他、男子3000mR、男子1000m予選が行われ各種目で2日目のレースに進んだ。
■競技2日目 平成30年10月14日 帝産アイススケートトレーニングセンター
◆《女子1000m3位・田中冴実 女子3000mR優勝、男子5000mR2位》
2日目は男子1000m(青木、塩川和音)、女子1000m(中野、田中、山名)、男子3000m(菊池浩樹、塩川弦太)、女子3000mR(中野、田中、冨吉、山名)、5000mR(菊池、塩川弦太、青木、塩川和音)が行われた。男子1000mの2人は、ともに決勝に進めず準決勝で敗退した。塩川和音が7位、青木が9位となった。8人で競う3000m決勝に進んだ菊池は中盤まで中位につけ、残り終回が10回を切ると集団は徐々にスピードを上げた。残り6回トップに出るも、徐々にかわされ4位に落ちそのままゴールした。前回4位に終わった雪辱を果たすことができなかった。菊池浩樹選手は「今回は行ける手応えはあったんですがまだ力不足です」。塩川弦太は終盤失速6位に終わった。
一方女子1000mで中野、田中、山名の3人が出場。表彰台を期待されていた中野あやめは、コース取りの失敗から決勝に進めず、田中一人が決勝に進出した。レースは、田中が反応良くトップに出て集団を引っ張る、中盤からトップ争いが激しくなる中、残り2回に4位に落ちた。田中冴実選手は「4位に落ちた時は、もう終わりと少し諦めもあったんですけど、最後まで何があるか分からないのがショートなので、相手にミスがあり自分が入り込め結果を出せました」と3位に入った。「チームに貢献できました」と笑顔で答えた。山名は7位、中野は9位となった。
2日目、男女最後のリレー種目は大会の華、各大学の応援が会場に響きわたる。最初に女子3000mRが始まり、今大会山梨学院で1500、1000mでメダルが有望視されていた中野あやめが今大会最後のレースで若いチームを引っ張り、4人が周回ごとに他チームを引き離し、2位に2周半分のリードで優勝した。この勝利により総合成績で2位につけていた山梨学院が中京大を逆転して総合優勝2連覇を飾った。今までに一度も失格になったことがないという中野あやめ選手は「自分の不甲斐ない結果を後輩に助けられ優勝できました。2連覇はうれしいです」とまずは後輩に感謝した。失敗したレースについては、「今まではラウンドが通れば良いという感じでやっていたんですが、インカレは予選から得点がつくので1点でも多く取っていこうという気持ちでやっていたので少し強引なレースをしてしまった」と振り返った。続いて行われた。男子5000mRは、1位になった神奈川大には差をつけられたものの、菊地を中心に青木、塩川兄弟がまとまり2位となった。この結果、学校対抗総合成績順位は、前回大会の4位を上回る2大会ぶりの準優勝となった。菊地浩樹選手は「リレーはチームワークなので自分なりにまとめて仲良く頑張りました。上の順位を目指さなければいけないので、そこはしっかり先輩の自覚をもってやってきました」と準優勝を果たし安堵の表情を見せた。
試合後、篠原祐剛コーチは「選手も指導者もぎりぎりの苦しい戦いを制し、選手は本当に良くやってくれました。今大会は最後まで1、2点差位になると予想していましたがその通りになりました。中野の失敗を皆で少しずつ埋めていって最終的に4点差で逆転できました。男子は前回4位だった悔しさを普段から頭に叩き込んで練習をしてきましたので本人たちも頑張ってくれました」と話した。川上隆史監督は「ショートトラックという競技の特性としてアクシデントやトラブルもあるレース展開にも女子は、一つのアクシデントを皆でカバーするという気持ちを持って、総合優勝できたことは一番の収穫です。男子はスター選手がいない中で、一人一人が確実に得点を取り、準優勝できたことはチームの力として立派なことです。大学のチームの中で常にトップを狙えるチームに君臨して、伝統も歴史もみんなで守ってくれました」と選手を称えた。
最終の学校対抗女子総合成績は、優勝・山梨学院大70点、2位・中京大66点、3位・佐久大33点、4位・関西学院大29点、5位・同志社大28点、6位・立教大22点など。男子は優勝・神奈川大168点、2位・山梨学院大117点、3位・阪南大74点、4位・関西大70点、5位・大阪経済大62点、6位・関西学院大58点などとなった。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2018.10.15