●山学中オータムプロジェクト2018
~全学年、チームで文化的・芸術的・科学的活動~
~集大成「輝学祭」に向け着々準備が進む~
山梨学院中学校は、グローバル時代に対応した新しい学校づくりに積極的に取り組んでいる。その中心になるのが、教科の学習と並行して、学びの大きな柱となる「プロジェクト」という探求型の学習。一年を通じて個人の興味・関心に従ってテーマを決め調査研究、その成果を論文にまとめていくのが「パーソナルプロジェクト」。他に数人から10数人のグループに分かれて課題を探求するのが「チームプロジェクト」。そのチームプロジェクトの中心になるのが、秋に取り組む「オータムプロジェクト」。今年は、10月9日から10月21日の間、1年から3年生の学年の枠を超え、約2週間かけて文化的・芸術的・科学的活動をする教育プロジェクトが行われている。期間中、主に午後の時間を使い全学年全クラスによる合唱練習、チーム活動として「影絵」、「劇」、「MC研究」、「実験」、「動画」など7チームに分かれ、最終日の21日に山梨学院メモリアルホールで行われる「輝学祭」での発表に向けて準備が着々と進められている。
オータムプロジェクトは、夏休み明けに活動を開始。生徒によるテーマ決定、チーム希望・活動計画表、運営方法などが決められた。オータムプロジェクトの狙いは、1.「先生がおしえること」から「生徒が学ぶこと」へのシフト。2.学年の枠を越えて学習に取り組み、協同で追求することの楽しさを味わうこと。3.「輝学祭」での学習成果の発表を通し、伝える力を育むこと。としている。今年のオータムプロジェクトのテーマは「舞」に決定。高山宗大オータムプロジェクト実行委員長(中3)は「タイトルの『舞』はいろいろなチームで一つの目標に向かって活動していることを、最終的には全チームが一つとなり目的を叶えるという感じを表しています。みんなの思い出に残るような、ずっと思い出して“あの時は良かったな”と思えるような輝学祭にしたいです」。さらに「ひとり一人がみんな結構前に出ているので、保護者の方には自分の子どもが輝いているところを見てもらえれば」と話す。
今年のチーム活動は、「劇」、「影絵」、「実験」、「MC研究」、「身体表現」、「動画」、「製作」の7チーム。
◆活動内容
チーム名 | 活動内容 | 身につく力 |
○ 劇チーム | 自分たちの考えや意見を劇(ピーターパン)を通して伝える。一から自分たちの力で創り上げ完成度の高い作品にする。 | 仲間との協働。伝える力・表現力・発表力 |
○ 影絵チーム | 影絵の原理を学び、仲間と協力して作品(美女と野獣)を完成させる。 | 表現力・想像力・仲間との協働 |
○ MC研究チーム | 発表と発表の間の時間を皆が楽しめるようにプロデュースし、ステージを盛り上げる。 | 計画力・対応力・構成力・創造力 |
○ 身体表現チーム | 応援やチアダンスを通して元気に会場を盛り上げる。 | 協調性・集中力・表現力 |
○ 実験チーム | グループでアイディアを出し合い、工夫・検討。実験したことをみんなに紹介するために分かりやすくまとめる。(身近な材料を動力源にペットボトルロケットやスノーダスト) | 創造力・表現力・仲間との協働力 |
○ 動画チーム | 各チームの活動の様子を取材、素材を集め、自分たちで構成を考え、分かりやすい動画にまとめる。 | 発想力・クリエイティブ力、構成力、仲間との協働力 |
○ 製作チーム | ステンドグラス風作品や輝学祭をアピールするオブジェを当日受付場所に設置 | 発想力・創造力・表現力 |
本格的な活動が始まったのは10月9日から。各チーム、各クラス合唱は、21日までの約2週間の活動で精度の高いプロジェクトに仕上げていく。毎日の活動は、午前中の4時限目に全学年全クラスで合唱の練習が行われ、午後は、チームごとに分れ、それぞれの活動が行われる。高山君が参加する■「実験」チームは、9つの班に分かれ日常的に使ったり食べたりする砂糖、塩、菓子、コーラなどをエネルギーの材料として活用し、ペットボトルのロケットやスノーダストなどを製作。グループごとに試行錯誤しながら取り組む様子が見られた。■「影絵」チームは、『美女と野獣』を題材に、スクリーンにプロジェクターで背景を映しその前で生徒たちがそれぞれの役を演じ、その裏で他の生徒が影絵になった動きを確認し合っていた。リーダーの田中芳和さん(3年)君は「劇では味わえない影絵ならではの背景や雰囲気を出したいと思います。王子様が魔女に野獣に変えられてしまう変身シーンなど工夫しているので見てほしいです」と話した。■「MC研究」チームは、『輝学祭』の司会進行を初め、チーム発表の合間に29人の生徒がパントマイム、ショートコント、ハンドベル、ダンスグループに分かれ、ステージを盛り上げる役割を担う。水越杏実さん(3年)は「自分たちが楽しいだけではなくて見ているお客さんが楽しめるように心掛けています。私は『劇』に入る前に、その内容に関連したショートコントを練習しています。恥ずかしさがどうしても出てしまうのでそこをどう乗り切るか悩んでいますが、最後に吹っ切れたところを見せたいと思います」と意気込んだ。■「劇」チームは、『ピーターパン』の物語をモチーフにした創作劇を創り上げる。約30人余りのチーム全員で構成、脚本、演出、大・小道具、衣装、音響のすべてを担当。芙蓉ホールではせりふの読み合わせや立稽古、別の教室では大道具担当が背景になる書割を制作していた。■「製作」チームは、『花鳥風月』をモチーフにビニールシートでステンドグラス風な作品制作に挑戦。他に割りばしを使い、オブジェを制作。作品は『輝学祭』の会場になるメモリアルホールの通路や受付周辺に展示される。■「身体表現」チームは、元気なパフォーマンスを輝学祭で披露するため、振り付けや動きのチェックに余念がない。■「動画」チームはグループに分かれ、各チームの活動の様子を紹介するため、構内を飛び回りタブレットや小型VTRカメラでチーム活動を撮影、直前までその素材の編集作業に追われるという。
輝学祭は10月21日(日)、山梨学院大学キャンパス内メモリアルホールで行われる。取材に訪れた10月16日、山梨学院中の全教室、廊下、ホール、実験室、校庭すべてで生徒たちの熱気溢れる取り組みが展開されていた。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2018.10.18