●秋季関東高校野球 山梨で開幕
~山梨学院が中央学院に勝利、あと1勝でセンバツだ~
~初先発佐藤好投・相澤好救援、野村・小吹が勝利弾~
平成最後の“センバツ”への扉を開ける平成30年度秋季関東高校野球大会が開幕した。今年は山梨が開催地、舞台は甲府・山日YBS球場。20日~23日、27・28日の日程で開幕した。出場校は東京を除く関東7県の15校(出場枠山梨3枠、他各県2枠)。センバツの出場枠は関東と東京を合わせて6となっており、4強入りすれば選出の可能性が高まる。山梨2位代表の山梨学院高は大会初日の20日に千葉1位代表の強敵中央学院高と対戦した。そして、監督自身が「とても関東で勝てるチーム力ではない」と言っていた弱小チームが、なんとなんと勝利した。公式戦初先発の佐藤が好投、救援した主将の相澤が投打でチームを牽引。4番の野村が先制2点弾、1年の小吹が追加弾。理想的な試合運びで7対2、春夏連続甲子園出場の中央学院高を圧倒しベスト8に進出、センバツまであと1勝とした。
秋季関東高校野球大会1回戦 山学高vs中央学院高(10/20)山日YBS球場
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 | |
中央学院 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 |
山梨学院 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 3 | 0 | 7 |
山学バッテリー 佐藤・相澤―栗田、本塁打 野村・小吹、
安打数 山学12・中央10、失策 山学1・中央1、
山学高のマウンドには、誰も予想しなかった佐藤裕士(2年 甲府南シニア)が立った。佐藤は身長170cmの小柄な右サイドスロー、公式戦初先発にもかかわらず落ち着いていた。最速で127キロ程度と球速はないがストレートとスライダーとツーシームの3種類の球のほとんどを外角コースぎりぎりいっぱいに投げ込み、6回まで投げて強打の中央学院を被安打6、奪三振6、無四球、1失点に抑えた。7回からは1塁を守っていた主将の相澤利俊(2年 甲府南シニア)がリリーフ登板、スローボールを多投する独特のノラリクラリ投法で打ち気にはやる中央学院打線をかわし、相澤もまた9回表の1失点だけに抑え込んだ。そして、この日は打線がよかった。1回裏に4番に座った野村健太(2年 愛知衣浦シニア)がいきなりレフトスタンドに先制2ランを放り込み流れをググっと引き込んだ。3回には敵失で1点を追加。5回に中央学院に1点を返されたが、6回裏に7番小吹悠人(1年 いわきボーイズ)が相手に行きかけた流れを呼び戻す追加弾をレフトスタンドにたたき込んだ。8回裏には6番高垣広大(2年 東淀川ボーイズ)の適時安打、7番小吹のスクイズ、8番代打岸本捷汰(2年 甲府南シニア)の適時安打で3点を追加。先制、中押し、ダメ押しの理想的な試合運びだった上に、9回表2死満塁のピンチでレフト前タイムリーを打たれ1点は奪われたがこの回からレフトの守備に入った石神悠樹(2年 浦安シニア)が矢のような送球で2塁ランナーを本塁で刺し、その瞬間に試合が終了した。県大会では甲府工の2人の好投手のスライダーを打ちあぐみ、決勝の東海大甲府戦はサインミスや悪送球、失策が出て、吉田監督が「このチーム力では関東で勝つのは無理です。センバツは諦めて、来夏への通過点の位置づけで大会に臨みます」と語ったほど弱いチームだったのだが、2週間ちょっとの間にまるで別なチームと見違えるような強いチームになっていた。初先発の佐藤がよく投げ、主将の相澤が好リリーフ、野村・小吹が効果的なホームラン。初先発した下野けんぞう(1年 南部町立南部中)も、宮崎一樹(2年 調布シニア)も起用に応え、途中から出場した岸本も、石神もよく打ち、よく守った。中盤までは五分五分の展開だったのだが、終盤は打線がつながり最終的には7対2、強豪校がひしめく千葉県の1位代表をチーム一丸となって倒した。
吉田洸二監督は「私自身が一番驚いています。選手はよく力を発揮して戦ってくれました。勢いが出ました」と語った。初先発で好投した佐藤裕士投手は「緊張はあまりしませんでした。コーナーを突く投球を心がけました」と答えた。好救援の相澤利俊主将は「めざすべき野球ができました。次の前橋育英戦もチーム一丸でぶつかります」と語る。先制本塁打の野村健太選手は「打ったのはインコース甘めのストレートです。教えてもらった3年生に恩返しができました」と述べた。流れを呼び戻す本塁打を放った小吹悠人選手は「県大会ではまったく打てなかったので、やっと貢献できました」と話した。
3塁側の山学高応援スタンドは、県大会同様に、吹奏楽部が突撃のマーチを演奏し、チアリーダー部がボンボンを揺らし、ベンチに入れなかった選手がメガホンを揺らし、選手の保護者もメガホンを揺らし、2人の女性応援団長が選手と応援席の両方を鼓舞してグラウンドの選手と応援スタンドが一体となって戦った。勝利の瞬間、スタンドからは「やった~、まさか、勝った~、あと1勝でセンバツだ~」と大歓声が湧き上がった。応援団長の井上小粋さんと平山夏生さん(写真左から)は「勝って次につなげることが出来たので、次の試合も選手をしっかり後押しします」とさらにボルテージを上げるつもりだ。3年生チームのエース垣越建伸投手は「よく投げてくれました。次も強敵だけど、センバツを意識しないで、目の前の試合に集中して戦ってほしい」と後輩にエールを送った。
ベスト8に進出した山梨学院高の次の対戦相手は、この日の第1試合で作新学院高を1-0で下して進出した群馬1位代表の前橋育英高。22日(月)14時試合開始予定で、センバツの椅子を賭けて対戦する、
文(M.Ⅰ)カメラ(今村佳正・M.Ⅰ) 2018.10.20