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●2018山梨学院歌舞伎「酒折座」公演会
~小菅ゼミ、ワークショップで3回目の公演~
~日本文化を学ぶ、伝える。歌舞伎文化を発信~

山梨学院歌舞伎「酒折座」公演会が12月12日夜、山梨学院メモリアルホールで開かれた。これは、法学部政治行政学科の小菅信子ゼミで、「日本の文化」をテーマとして近現代について実践研究の一環として行われ、一昨年「酒折座」の旗揚げ公演、昨年の公演に続く3回目となる。今回は、日本文化を研究する前期のゼミから後期ゼミは、山梨学院歌舞伎「酒折座」を実際に企画運営するワークショップが行われ、ゼミ生を含めて、「酒折座」座員の公式な部活動として行われた。以前の2公演は、学生たちが自ら踊る「役者組」と「制作組」とに分かれて行われたのに対して、今回の公演では、小菅ゼミ生約30人が歌舞伎の興行会社の業務を想定し、企画・運営・広報・舞台進行・照明・音響などに役割分担して公演を創り上げた。初めに花川流家元七世花川蝶十郎さんの「甲斐残影」の優雅な舞踊に始まり、公演に協力した小野智弘さん(4年)の三味線独演、花川蝶十郎さんとプロの着付け師が男子学生をモデルに女形の化粧と振袖の着付けを解説を交えて実演し、「町娘」のあでやかな姿に変身させた。会場には、学生や教職員が集まり、歌舞伎舞踊や裏方の一端を興味深く見守った。

現在の甲府市若松町に江戸時代に大変人気を博した「亀屋座」という芝居小屋があった。甲斐の国にゆかりのある当時の市川団十郎や松本幸四郎、坂東三津五郎などが舞台を踏み、大いに賑わったという。近現代日本文化研究がテーマの小菅信子ゼミは、甲府で栄えていた歌舞伎文化を、もう一度甲府の芸術文化として定着させたいという思いから、新たな山梨学院大学の文化芸術的ブランドを創ること、地域社会への文化貢献と国際文化交流の促進を目指して新プロジェクト「山梨学院歌舞伎・酒折座」を立ち上げた。一昨年12月には旗揚げ公演を果たし、学生たちは、企画・運営のすべてを手掛け、歌舞伎舞踊の稽古にも挑戦、舞台にも上がった。昨年には2回目の公演を行っている。

山梨学院歌舞伎「酒折座」の旗揚げ公演がメディアなどに取り上げられ話題になったことから部活動として認められ活動費も割り当てられ公演の運営に活用された。今回3回目となる公演に、小菅ゼミでは後期授業の中に、山梨学院歌舞伎「酒折座」公演の制作・企画・広報・デザイン・会計などの業務を織り込みながら体験することに力を注いだ。小菅信子教授は「ゼミには公務員になる学生が多いのですが、松竹株式会社の社員になったつもりで活動してもらい、県や市町村に後援をお願いするために書類を作ったり交渉したり、いろいろな社会勉強になりました」。「酒折座」の部活動では「今の若い人は、劇場で芝居をしたり、舞台に上るということ自体が珍しいみたいですので舞台では学生たちの輝きが違いますし、あれもこれもやりたいと酒折座員や学生の興奮が伝わってきます」と学生たちの公演に懸ける意気込みに目を細める。

山梨学院メモリアルホールで行われた「酒折座」3回目の公演は、これまでに運営や学生たちへの歌舞伎舞踊の手ほどきなど多大な尽力をしてきた花川流家元・花川蝶十郎七世の華麗な舞で幕が開いた。次の演目では、小野智弘さん(4年)が三味線の迫力あるばちさばきを見せ、観客を魅了した。続いて、歌舞伎を一層魅力的にする役者の化粧方法と衣装の着付け方が披露された。モデルを学生が務め、普段では見られない舞台裏の様子として女形「町娘」に変身する体験が紹介された。花川蝶十郎さん自らが白粉塗から眉つくり、鼻筋を立て、最後に唇に紅を塗る『顔づくり』の化粧工程を解説を交えながら行った。次に舞台衣装の着付けを歌舞伎興行の松竹株式会社の着付け師が襦袢、振袖、帯と「昔の女性は寸胴なので寸胴になるように工夫しながら着付けをする」などと解説を加え、最後にカツラを乗せると浮世絵から抜け出たような女形の「町娘」が完成した。モデルを務めた廣瀬圭吾さん(4年)は「肌はしっとり保湿されているようですけど、着物は締め付けられて重いです。役者さんは大変」と感想を述べた。

今回のワークショップの公演に広報活動を主に担当した山手陸さん(3年)に公演前に話を聞いた。今回の取り組みについて、「企画から公演に至るまで自分たちで段取りを組みました。学生の意識が全員は高くはなかったのでまとめるのが大変でした。一人だけで動いてもだめだし、酒折座というグループの活動を通して全員でやっていく必要があったので、一人一人の意見を聞いていろいろな議論をして意識を高めていくことが難しかったです。日本文化に興味を持ってもらえるような公演にしたいです。なかなかこういう機会はないのでこの大学で身近に触れ合えることでここから少しでも歌舞伎だけではなく日本文化に目を向けていただければ」と話し、制作を担当した野口優也さん(3年)はゼミに入ったきっかけを、「日本文化に興味があり、昨年この酒折座を見て、歌舞伎を見たことがなかったので結構衝撃を受けて面白そうだなと思ったのがきっかけです。裏方をやることは初めての経験で自分のイメージと違うことが多くて、やることすべてが驚きばかりで貴重な体験でした」。さらに「2020年東京五輪に海外の方がたくさん来ると思うので、アニメとか歌舞伎とか日本の文化を知って帰ってもらえる人が増えたらいい」と語った。

最後に、小菅信子教授は「これからも1年ごとにワークショップ、公演と交互に行い、ゼミ生、酒折座部員とともにチャレンジを続けたいと思います。地域文化を新しく再生して、最終的には国際文化交流に向けて発信していきたい」と意気込みを語った。

文(K.F) カメラ(平川大雪) 2018.12.14

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