●2018年度認定資格試験「スイーツマイスター」
~山学短大独自の製菓技術実技試験に全員合格~
~県産農産物を使用したオリジナルスイーツに挑戦~
1月28日、山梨学院短期大学食物栄養科パティシエコースで「スイーツマイスター」実技試験が行われた。山梨学院短大食物栄養科が独自に設けた認定資格。スイーツの世界をもっと楽しみ、身近なものにしようと、スイーツと食品に関する知識と洋菓子・和菓子・製パン3分野の製菓技術を身につけ、必要専門教育科目の単位を修得した上で、実技試験に合格したものに認定資格が与えられる。山梨県産の農畜産物や加工品を活用してオリジナルスイーツを製作するというもの。食物栄養科フードクリエイトコースが開設された8年前に初めて実施され、2年前のコース変更に伴い開設されたパティシエコース1期生19人と食物栄養科栄養士コース(1年間の履修)2年生4人が実技試験に挑み全員が合格した。また、この認定試験は内部審査以外に外部の専門家が評価を問う「専門的実践力外部試験」も兼ねており、評価結果は後日に発表される。
「スイーツマイスター」とは、『スイーツを知る』『スイーツを食する』『スイーツを探求する』『スイーツをつくる』の4つの要素の知識を深め、スイーツの世界をより広く知り、楽しむための資格。安全で美しく美味しい洋菓子・和菓子・製パン技術と専門教育科目を修得した学生に、実技試験の受験資格が与えられる。フードクリエイトコースが開設される時に、素材の探求やデザインの創造などスイーツの世界をより身近なものとするために設けられた。実技試験は、①地域素材の活用、②独創性、③製菓技術(レシピ通りの製作 コストパフォーマンス)、④視覚性(美しさ・センス・好感度)、⑤味覚性(おいしさ)の5つの視点から評価、それぞれA評価(優れている)B評価(普通)C評価(劣る)で採点。実技試験は、60%の得点率を持って合格となる。「専門的実践力外部試験」の評価は、3人の学外審査員の平均点とする。学生は、試験時に「製作したスイーツの名前」「材料・分量」「作り方」「作品の菓子の意図や食材に対する思い」をレポート用紙に記入提出して実技試験に臨んだ。調理時間が2時間と限られているため、焼く・蒸す・デコレーションなどの作業は設定時間内に行われなければならない。そのため、事前準備は許されているが、出来上がったものの持参は許されないなど厳しく制限されている。
フルーツ王国山梨の桃、ぶどう、イチゴ、りんご、柿、柚子などの果実。豊かな大地が育んだ、あけの金時、あけぼの大豆、八幡芋、天空かぼちゃ、大塚人参、桑の葉・実、南部茶、米粉など季節を彩る県産特産品をふんだんに使った、アイディアあふれる色とりどりのオリジナルスイーツが学生たちの技術によって素敵に仕上がった。完成した23作品は、カフェテリア(レストランサービス実習室)の審査会場に並べられ、羽畑祐吾食物栄養科長、山本候充食物栄養科非常勤講師、三神敬子学事顧問が審査を行った。見た目の美しさや味の美味しさ(試食)、安全性、独創性などについて、2時間以上に及ぶ厳正な審査が行われた。審査結果は、いずれも60%以上の評価を獲得し23人全員が合格と認定された。今回の作品は洋菓子と製パン、和菓子の作品が並び2年間で習得した技術を遺憾なく発揮した。
審査後、まず初めに羽畑祐吾山梨学院短大食物栄養科科長・審査委員長がスイーツマイスター実技試験に全員が合格したことを報告。次に審査委員の山本候充食物栄養科非常勤講師は「楽しく、厳しく審査をさせていただきました。まずは、ネーミング。伝え方の工夫がされていると感じました。今回は素材に挑戦的なものが目立ち、特に和洋をどのように組み合わせていくかというところに面白みがありましたし、素材として使いにくいものを工夫しているなと非常に印象が残りました」と講評。続いて三神敬子学事顧問が「今の道を一筋に歩みながら故郷を愛し、材料を愛し食べることの人を考えて、しっかり前へ進む。ここが拠点になってほしいと思います。とっても楽しい時間をいただきました。今日の味の感想を一つだけ言いますとお菓子って甘いのですけど、それに寄り添う酸がとっても上手に使っておりました。どれも大変美味しかったです」と感想を述べた。
また、同時に2016年7月に文科省の「大学教育再生加速プログラム」に申請した事業計画「卒業時における質保証の取り組みの強化」が認定され、その内、学修成果を学内・学外の両輪で評価し、社会に目に見える形で提示していく仕組みとして、本学の3人の審査員が行う「スイーツマイスター」実技試験の内部審査以外に、外部の専門家を招いて評価を問う「専門的実践力外部試験」として同時審査された。審査は、審査委員長の山梨学院短大学外助言評価委員会委員・小川義美山梨県洋菓子協会会長、小野曜山梨県製パン協同組合理事長、山梨学院短大食物栄養科卒業生でオーナーシェフの廣瀬和代氏の3人が行った。講評では「個人的には脅かされるばかりでクオリティは高いです。常に幸せのお手伝いができるようなお菓子を作ってほしい」。「皆さんは素材の味を良く知っていると感じました。先生方のアドバイスもあったと思いますが皆さん方の工夫が作品に出ていました」。「毎年毎年、レベルが上がっていて食材と食材の相性・コラボレーションが素晴らしく、今回感じたのは、まず美しいということと、おいしい、それに手作り。愛される要素が全部に出ていました」とそれぞれ評価する言葉を送った。外部試験の通知は後日行う。
審査後、「赤ワインムースのケーキ」を制作した加藤聖太さん(パティシエコース)は「中に時期的にぶどうを使えなかったので赤ワインを使いました。まだ大人の舌ではないので赤ワインの味が分からないので苦戦はしましたが、先生に相談して何とか試作の時にまともなものに間に合いました」と自信のほどを示した。作品名「日本」を製作した沢登紗恵さん(パティシエコース)は、地元北杜市武川の手作り味噌と武川米の米粉を使用するという作品にチャレンジした。「ムースにいつも食べている道の駅の味噌にキャラメルを合わせたらおいしいかなと試したら上手くはまりました。スポンジ生地に米粉を使用したため、パサついてしまったために調整に苦労しましたがすべての素材の味が存分に活かしたケーキになりました」。将来は「みんなを笑顔にするケーキを作りたい」と笑顔を見せた。食物栄養科栄養士コースから受験した矢野智裕さんは「秋と冬の季語のパウンドケーキ」を製作。「道の駅で食材を探している時に、ブドウや桃を使用した菓子ばかりが並んでいるのを見て、甲州八珍果に含まれる柿とか干し柿を使ったものがあってもいいのではないかと思い考えました。お菓子作りが好きで何回かパウンドケーキを作ったことがありましたが、失敗を繰り返しながらでしたが今回上手くでき良かったです」と話した。矢野さんは、興味があるものに挑戦することが好きで「レストランサービス技能資格」「食品表示検定試験初級」、今回の認定資格「スーツマイスター」に合格した。また、山梨学院大健康栄養学部編入試験にも合格している。将来は、管理栄養士の資格を取り、人に栄養指導する職につけたらと言う。スイーツマイスターの資格認定書は3月の卒業式でそれぞれに授与される。
指導してきた塚原順子准教授は「目指すところは皆さん違うと思いますが、お菓子が大好きということは同じですから、今回、専門職に就く人、そうでない人、お菓子を愛する気持ちが伝わった作品ができたと思います。今日は本当に楽しい時間を過ごせました」と全員の努力を称賛した。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2019.1.29