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●第二十回酒折連歌賞 答えの片歌入賞者発表
~大賞・文部科学大臣賞に神奈川県の主婦村岡さん~
~アルテア部門大賞、香川県の中1高木さんが受賞~

酒折連歌賞実行委員会(廣瀬孝嘉実行委員長)は2月1日、第二十回酒折連歌賞一般部門の大賞(文部科学大臣賞)・山梨県知事賞・山梨県教育委員会教育賞・甲府市長賞の4句と小・中・高校生の作品を対象にしたアルテア部門の大賞(文部科学大臣賞)1句の上位5句及び受賞作100選を発表した。1998年(平成10年)の創設以来、多くの応募者に支えられてきた酒折連歌賞に、今年度の大会応募句数は45,858句と、たくさんの『答えの片歌』が寄せられた。一般部門大賞・文部科学大臣賞は、神奈川県の主婦村岡純子さん(55歳)の句が選ばれた。問いの片歌「コーヒーか紅茶かそれとも海を見にゆく?」の問いかけに、村岡さんは「三択があればよかったハムレットにも」と答えの片歌を返した。選考委員の三枝昂之さんは「生きるか、死ぬか、それが問題だ」。名言の多いハムレットのなかでもとりわけ広く知られているこのセリフに「もう一択あれば」と返す。想定外で斬新、極めて日常的な問いの片歌を人生の深淵に包んだと選評した。山梨県知事賞には、山梨県の高校1年・板山優汰さんが選ばれ、また、アルテア部門の大賞には香川県の中学1年・高木明日希さんが受賞した。上位5句の表彰式は2月10日(日)、山梨学院広報スタジオで行われる。

◆一般の部門4句・アルテア部門1句、上位5句受賞作品

[一般部門](全応募作品を対象)

大賞・文部科学大臣賞  村岡 純子(55歳・主婦 神奈川県)
<問いの片歌2>
コーヒーか紅茶それとも海を見にゆく?
<答えの片歌>
三択があればよかったハムレットにも
山梨県知事賞 板山 優汰 (15歳・高校1年 男性 韮崎市若宮)
<問いの片歌1>
晴れた日の買い物メモに単三電池
<答えの片歌>
スーパーで買えればいいのに時間と未来
山梨県教育委員会教育長賞 藤村 悦郎 (62歳 男性 大阪府)
<問いの片歌5>
まっすぐにまっすぐに降る雨を見ている
<答えの片歌>
世に出るぞ山椒魚が誓いを立てる
甲府市長賞 小金 奈緒美 (55歳 主婦 埼玉県)
<問いの片歌3>
歩きだす洗いざらしのブルージーンズ
<答えの片歌>
砂利道もでんでんむしは威風堂々


[アルテア部門](小・中・高校生の作品を対象)

大賞・文部科学大臣賞  高木 明日希(13歳・中学1年 男性 香川県高松市)
<問いの片歌4>
風の色記憶の中のあなたとあなた
<答えの片歌>
エピソード枝を揺らして語り続ける

以上の上位5句に加えて、特選10句、優秀賞12句、優良賞54句、アルテア部門特選に19句、合わせて100選が選出された。

わが国の連歌発祥の地とされている『酒折宮』にちなんでつくられた酒折連歌賞は、1998年(平成10年)、多くの人に連歌に興味・関心と創作意欲を持ってもらい、広く普及させることで文学の振興、文化の創造を推進しようと、山梨学院大が母体になり創設された。「古事記」に登場する倭建命(日本武尊)と御火焼(かがり火役)の老人との問答が起源となった五・七・七の『問いの片歌』に対して『答えの片歌』五・七・七で返す問答形式の歌遊びで文学形態上からも珍しく特色があるといえる。伝統文化を現代に活かそうという試みは、今回で第二十回を数え、一般部門では大賞の文部科学大臣賞を初め、山梨県知事賞、山梨県教育委員会教育長賞、甲府市長賞を設け、また、小・中・高校生を対象に、斬新で若々しく将来楽しみな才能を見出すことを目的としたアルテア部門にも大賞・文部科学大臣賞が設けられている。

二十回目の応募句数は45,858句(男性23,261句、女性22,583句、不明14句)。最年少応募者は7歳(山口県・男児)、最高齢応募者は96歳(大阪府・男性)の2人。応募の特長としては、10代の学校ごとの団体応募が他の文学賞と比べると圧倒的に多く、全国の中学・高校で授業の一環として活用され、今年度も応募句の実に71%、昨年より約10,000句多い32,447句が10代で占められた。都道府県別では山梨県が最も多く、18,828句。続いて東京都の2,953句、千葉県2,172句、愛知県1,947句、大阪府1,942句、埼玉県1,819句、神奈川県、兵庫県、福岡県、愛媛県と続き、応募句数のベスト10となった。また、海外からはマレーシア249句、中国216句、香港116句、アメリカ19句、シンガポール7句など海外から8か国総数641句が寄せられた。第1回の6,721句の応募総句数から始まった酒折連歌賞は、今回第20回を迎え、45,858句が集まり、第10回の52,703句に次ぐ2番目の応募数となった。酒折連歌への興味・関心の広がりが窺える。

受賞者の表彰式は2月10日(日)午前11時より山梨学院クリスタルタワー7階広報スタジオで行われる。上位5句受賞者と宇多喜代子氏(俳人)、三枝昂之氏(歌人)、今野寿美氏(歌人)、井上康明氏(俳人)、もりまりこ氏(歌人)、辻村深月氏(作家)の選考委員6人、酒折連歌賞関係者らが集まり執り行われる。

文(K.F) 2019.1.31
100選の詳細及び選評は酒折連歌賞HP