●山学短大 専門的実践力外部試験
~栄養士コース61人の学修成果を外部評価~
~献立作成から調理までを一人で担当し実践~
山梨学院短期大学食物栄養科栄養士コースで2月19日、20日の両日、管理栄養士など専門家による評価を問う「専門的実践力外部試験」を実施した。山学短大では、平成28年7月に文科省の「大学教育再生加速プログラム(AP)」の「卒業時における『質保証』の取り組みの強化」のテーマにおいて、「学修成果を学内・学外の両輪で評価し社会に目に見える形で提示していく仕組み」が採択された。今回実施された「外部試験」は卒業時における質保証を目的とするもので、昨年度初めて実施し、今回で2回目。栄養士コース2年生61人が2日間午前・午後の部4グループに分かれ「給食調理」(献立作成・調理)を行った。学生は、30分の事前準備を経て1時間半の持ち時間でそれぞれ考案した献立を調理。調理中には、3人の審査員が調理台を回り、学生からヒアリングを行い、完成した料理の味見をして評価を行った。
今年度の外部試験のテーマは18~29歳の成人女性(身体活動レベル普通(Ⅱ))が利用する学食または社員食堂の昼食献立を作成・調理するというもの。献立提供時期は冬・2月が設定された。学生らは、これまでの学びをもとに献立を作成、適宜ゼミ教員の指導を受けながら準備を進めてきた。外部試験は、秋山知子山梨県栄養士会常務理事・管理栄養士・山学短大学外助言評価委員会委員、堀口一美・介護老人保険施設相川ケアセンター管理栄養士・山学短大学外助言評価委員会委員、梶原直樹巨摩共立病院管理栄養士(山学短大食物栄養科卒業生)、森澤健太巨摩共立病院管理栄養士(山学短大食物栄養科卒業生)の4人の外部審査員(梶原氏と森澤氏は日替わり)が評価を担当した。
今回の評価は「給食」の献立・調理となることから、衛生基準はもとより、材料費の意識も重要になってくる。また、学生一人一人の学修成果をより細かく、評価できるよう、昨年度よりも評価ポイントの細分化が図られた。評価は次の10の視点で評価された。
・食事摂取基準を満たしているか
・食品構成をもとに、1食分として適切な量となっているか
・1食分の体裁(主食、主菜、副菜の組み合わせ、分量など)が整っているか
・各料理の味付けは適切であるか
・衛生的(食材の取り扱い、加熱状況等)な配慮がなされているか
・「給食」としての経済的な配慮がなされているか
・材料に対して適切な調理がなされているか(調理技術は適切であるか)
・適切な容器に体裁よく盛り付けられているか
・おいしそうな色合いとなっているか
・献立(料理)は、作成者の「意図」や「思い」が反映されているか
各視点は、それぞれA評価(優れている)10点、B評価(普通)7点、C評価(劣る)5点で採点・評価。学生は時間内に調理を行い、審査員が各調理台の間を巡り、上記の評価基準のチェックや学生自身に献立のアピールポイントや工夫点などの確認を行った。調理の完成後には、学生が調理した全献立を試食し、味付けや献立に込められた思いなどを採点していた。この日の試験の評価結果は、3月14日の卒業式前日に各学生に結果表が提示され、卒業後の専門職の実務などに生かされる。
山梨学院短大教務部長補佐の深澤早苗食物栄養科教授は「今年度からは、評価項目を5項目から10項目に増やし、個々の学生の弱い部分をより明確に評価できたことが特徴だと思います。全体的には高評価でしたが、審査員の先生方からは、出来上がりを想像する力(外観の評価)が弱い傾向にあり、食材の活用方法も工夫の余地があると指摘を受けましたので、学科としての今後の課題だと思います。学生には卒業式前に評価を伝えますが、自分の強みとともに弱点を理解した上で、社会に出て活躍してほしいと思います」と感想を語った。
文(Y.Y)、写真提供(山梨学院短大)2019.2.26