●関東学生柔道優勝大会【女子5人制・男子1部】
~全国大会・日本武道館へ アベック出場決定~
~女子大会6連覇 男子準々決勝以上を目指す~
山梨学院大学柔道部は5月26日、埼玉県立武道館で関東学生柔道優勝大会に臨み、全日本学生柔道優勝大会へのアベック出場が決定した。昨年5人制覇者の山梨学院女子は5人制に出場し淑徳大学2対0、国際武道大学4対0と破りAブロックを1位として決勝戦に進出。決勝ではBブロックを制した筑波大学と対戦し大将戦までもつれ込み2対3で準優勝。男子は1部に出場し1回戦関東学園大学と対戦し6対0で降して波に乗るかに見えたが、準決勝で桐蔭横浜大学に1対3で3位。この結果、2019年22日・23日に日本武道館で行われる全日本学生柔道優勝大会に男女(女子は昨年全国優勝推薦)揃って出場することが決定した。女子は大会6連覇を、男子は準々決勝(昨年東海大学に敗退)以上の勝利を目指す。
⬛︎女子5人制⬛︎
開会式において優勝旗優勝杯返還で、女子5人制優勝校 山梨学院大学 谷川美歩主将らが優勝旗、優勝杯を返還した。大会会長挨拶で小俣幸嗣会長が「学生柔道の花とも言える団体戦を迎えた」。「関東柔道連盟は昨年度全国大会の女子5人制において、山梨学院大学が優勝、桐蔭横浜大学が3位と」全国の顔となっている。「関東は各校力が拮抗しており、今年も熾烈な戦いを期待します」とさらなる競技向上に熱い視線を送った。試合形式は、女子5人制が先鋒・次鋒57Kg以下、中堅・副将70Kg、大将無差別の体重制限でAブロックとBブロックに分かれ、各ブロック総当たりで順位を決め、AとBとの同じ順位同士が対戦し順位を決定。山梨学院は第1試合場で初戦を淑徳大学と対戦する。
○Aブロック《山梨学院大学、淑徳大学、国際武道大学》
▷第1試合、山梨学院は淑徳大学と対戦。先鋒の渕田萌生(1年津幡)が相手の背負い投げの左手を取り、そのまま覆い被さり相手の肘関節を逆に伸ばしての腕挫十字固で一本を決め先取。次鋒主将の谷川美歩(4年藤枝順心)が相手の腰を引いて距離を取り動き回る戦法に手こずり引き分け。中堅の多田純菜(1年敬愛)が身長差7㎝低い相手にパワーで攻め相手から指導を取るなど、終始攻め込むが決めきれずに引き分けた。副将の畠石香花(4年土浦日大)が約20秒間相手と取り組まないとして両者指導を2回取られた後、積極的に技を仕掛け攻め入るがタイムオーバーとなり引き分け。大将の岡田実咲(4年広陵)が開始早々から相手の肩越しに右手を回し足技を再三再四仕掛け、足を相手の内股にかけて内股で一本を奪い2対0で勝利した。
▷第2試合、山梨学院は国際武道大学と対戦。先鋒の渕田萌生が先に先に攻め続け、相手を大腰技ありから相手を仰向けに倒し、そのまま相手の脇腹にのしかかり首と片腕を決め袈裟固10秒の合わせ技で一本勝ちし先取した。次鋒の枠谷菜々(4年箕島)が、積極的に攻め指導を奪った後、組手の攻防から相手の左腕を掴み背負って投げる一本背を決め2対0。中堅の多田純菜が引分け。副将の杉本梨々花(4年北海)が左手で相手の袖を絞り、右手で肩越しから背中部分の柔道着を掴み首を下げさせ制しての豪快な内股で一本を決め3対0。大将の高橋瑠璃(1年帝京)が相手の一本背負いを崩して、相手を上向きにさせ上体を横から乗せて、肩と首を決め横四方固で勝ち4対0とした。これでAブロック1位となり決勝への進出を決めた。
○決勝戦
Bブロックの筑波大学は昨年全国3位の桐蔭横浜大学を2対1、平成国際大学を2対1と破り決勝に駒を進めてきた。
【山梨学院大 VS. 筑波大】
山梨学院は先鋒に主将の谷川美歩を送った。主将の谷川が相手の一本背負いを崩し抑え込み上四方固で先取。次鋒 枠谷菜々が相手と取り組まないとして両者指導与えられた後、組手の攻防から腰の引けたところを相手が両膝を畳みにつけての低い姿勢から背負投を仕掛けられ一本負けし1対1とされた。中堅の杉本梨々花が指導を取られた後、組手の攻防から背負投で優勢を取られ負け1対2と逆転された。副将の畠石香花が積極的に攻め相手から指導を取り3回取り勝ち2対2(うち優勢勝1)とし内容で山梨学院がリードした。大将 岡田実咲が引き分けか勝てば優勝が決まる大一番、岡田175㎝95Kg、相手は161㎝120Kgの対戦。岡田が積極的に攻めるが相手の体か揺らがない。相手の攻めに耐えきれず3回指導を受け反則負けとなり連覇は叶わなかった。
▷山部伸敏監督は選手達を前に「勝負は2回できないから、次に向けてやっていくしかない」と静かな口調で諭す。全日本学生柔道優勝大会の「6月22日まで1か月弱しかない。前期の目標は『関東を取って、全国も取る』だったが、達成できなかった」と問いかける。決勝の筑波戦は「投げられ、反則しての負けなので実力で負けている」と言及。「技術的には負けていなかった。競る試合はプレシャーがかかる。その中で自分の力を全て出し尽くしたのか」と力を潜在させていたことを強く指摘した。「限られた期間にメンタル面も含めて、地力を上げるしかない」と断言する。「出場した選手だけでなく、全ての選手(部員)が、日頃の練習で試合と同じ緊張感を持って、ダッシュできつくなった後、踏ん張りその先5メートル伸ばすなど、自分のギリギリの練習に打ち込む必要がある。そうした積み重ねが地力をつけチーム力を上げる」と切磋琢磨を促す。山梨学院は5連覇で6連覇を目指しているので「全国でも打倒山梨でくる。うちも入れて優勝できるチームは7校から8校ある。それは僅かな差」と強調する。「武道館に優勝旗を返すだけになるのか、再び持って帰れるのか、今日の悔しさを熱(エネルギー)にして、少しでも上乗せして武道館に行かなければならない」と冷静沈着に語る。「一旦、全日本のメンバーは一度白紙に戻して決定する」と選手達に告げた。
【試合終了後のインタビュー】
主将の谷川美歩(4年藤枝順心)は大会を振り返り「言葉にならない」と涙目で刹那沈黙。「どの大学も力の差がない中で、勝ち切れなかった。それは悔しい」とやっとの思いで全身から声を絞りだした。全国大会に向けて「どの大学も差がないので、反省を確りして、気持ちを切り替えて、去年みたいにずば抜けて強い選手がいないので、チーム力が大事になるので、確りチーム力を上げていって、個人の課題も克服して、6月に向けて頑張りたい」と言葉を選びながら話し、「今日の悔しさをバネに、全国大会では確り勝ちきれるように、頑張りたい」と決意を述べた。
▷山部伸敏監督は「力の差がないので、競る試合になる事は予めわかっていた。勝ちがどちらに転んでもおかしくない試合だった。最終的にはこちらに勝ちを引き寄せられなかった」と頷く。「絶対勝つんだという気持ちの強さが、相手の方が上回っていた」と振り返る。大将戦までは山梨学院が有利だったが「大将で勝つか引き分ければ勝ちという場面では、大将には大きくプレッシャーがかかってくるが、それでも4分間逃げないで闘わないといけない、気持ちが下がると、このような結果になってしまう」と敢えて苦言を呈する。6月全国大会は「今日の試合の負けを糧にして、この負けを勝ちにつなげたい」と巻き返しを誓い会場を後にした。
文(H.K) 、カメラ(平川大雪) 2019.5.27