●第27回関東学生男女ソフトボール選手権大会(女子)
~部員一丸 5連覇8回目の優勝を果たす~
~打撃強化策で5番 小林先制3点本塁打~
山梨学院大学ソフトボール部女子は6月3日、登利平桃ノ木川グラウンド(群馬県)で第27回関東学生男女ソフトボール選手権大会の女子決勝戦に臨み、城西大学と対戦し6対3で勝利し5連覇8回目の優勝を果たした。山梨学院は1回裏、2番 田波里緒子が投手への内野安打で出塁。二死後、4番打者 山田燦が四球を選び二死一二塁。2番から5番に抜擢された小林美沙紀が4球目の「低めから浮き上がってくるライズボール」をフルスイングし、一番深い中堅フェンス越え先制3点本塁打を放ち、さらに2回・3回・6回裏には1点ずつ追加。山梨学院は城西から6得点を奪い、守っては勝田日菜子と信田紗南の両右腕の継投で城西打線を3点に抑えた。山梨学院は全日本大学選手権大会(8月)で勝つための打撃強化策が功を奏し、春季リーグ戦決勝戦で城西大学に0対3と完封負けした雪辱を果たした。インカレではベスト4以上を目指す。
⬛︎試合前 ⬛︎
山梨学院ソフトボール部女子は、2008年に強化育成クラブに指定され、関東学生女子リーグ戦3部からのスタートでわずか1年で1部昇格を果たし、全日本クラブ女子選手権大会で3位4回の実績を持つ。第27回 関東学生男女ソフトボール選手権大会は第54回 全日本大学選手権大会の予選会も兼ねている。清水正監督は「5月開催された関東学生女子リーグ戦春季の優勝の城西大学と準優勝の山梨学院は、その時点でインカレ出場が既に決まっていて、この2チームは今大会のスパーシードで準決勝からの戦い。昨日うちは淑徳大に勝って、城西は東海大学を破り、今日決勝戦となった」と経緯を述べる。今大会の目標は「城西大学に春季0対3で負けているので、決勝で勝って5連覇(8回目)し、インカレに弾みをつけたい」と決意を述べる。この時期は、「勝利を目指とともに、新チームとしての育成期でもある」。特に「全国で戦うにはディフェンスは勿論のこと、それプラス打撃力が絶対要件となる。機動力だけでは限界があるので、打撃強化にこだわりチームを育成している」と大きく頷く。前日、「淑徳大学と戦い9対1と選手育成に手応えを感じた。6番菊池のホームラン2本をはじめ他の選手も順調にきている」と目を細める。「打撃は水物なので、勿論、機動力も磨きをかける。主砲の菊池を除き全員俊足で機動力はある」と豪語する。守備では「エースが故障から始めて淑徳戦で抑えでテスト登板したが内容が良かったので、先発は1年生を起用するが様子を見て、エースを登板させたい」と声が弾んだ。創部以来「1番強いチームが出来上がる」と自信を覗かせた。
⬛︎決勝戦 VS. 城西大学⬛︎
登利平桃ノ木川グラウンドは、群馬県前橋市にあり、2014年に産業人スポーツセンターから名称変更した。野球(ソフトボール)グラウンドで4面備えた施設。そのA面で12時に山梨学院大学と城西大学が整列し、先攻 城西大学、後攻 山梨学院大学で試合が開始された。山梨学院の清水監督は前日の淑徳大学戦で先発したウインドミルからドロップ系の真っ直ぐが重くコントロールの良い最速98(野球換算147キロ)超え新人、右腕 勝田日菜子(1年星野)を先発に起用。
▷1回表、勝田は1番打者を迎え1-2からの4球目を遊ゴロに、2番右打者を初球で三ゴロに、3番打者を1-1から中飛に打ち取り、わずか8球で三者凡退に仕留める安定した立ち上がりを見せる。
▶︎1回裏、山梨学院は城西の先発右腕から一死後、2番 田波里緒子(4年星野)が2-2からの5球目を打ち、投手への内野安打で出塁。二死後、4番 山田燦(4年飛龍)が3-2から四球を選び二死一二塁とした。5番 小林美沙紀(3年市立太田商業)が打席に向かう。小林は「もともと。長打を打つのが好き、2番より自然に打席に向かえる」と、「自然体で打席に立った」。小林は1、2球を落ち着いて見送り0-2と追い込まれた3球目を邪飛、4球目「低めから浮き上がってくるライズボール」をフルスイング。「当たった瞬間、感触でホームランと分かった」と一番深い中堅フェンス越え先制3点本塁打を放ち、田波、山田が生還し小林が笑顔でホームベースを踏み3対0とした。
▶︎2回裏、山梨学院は先頭打者 7番DP(指名打者)の滝川愛華(2年厚木商業)が2-2からの5球目を中前安打し無死一塁。続く、8番 半田由佳(3年荏田)が初球を犠打し一死二塁。9番 諏訪いろは(3年花咲徳栄)が初球を見送ると、これが投手暴投となり滝川が三塁を陥れる。諏訪が1-1からの3球目を中犠飛として、1回裏は一転して機動力で4対0とした。
▷3回表、山梨学院は右腕 勝田日菜子が先頭の7番打者に左中間を破る中前安打、続く8番打者に投手へ安打され無死一・二塁。9番打者に捕手前へ犠打を決められ一死二・三塁とされた。ここで清水監督が主審にウインドミルから最速100キロ(野球換算150キロ)超えで球種も多彩な、エース右腕 信田紗南(3年星野)を告げた。信田がピッチャーズサークルに向かい1番打者と対峙する。初球ストライク、続く2球目を左翼犠飛され4対1とされたが、続く2番打者を中飛に打ち取った。
▶︎3回裏、先頭打者の2番 田波里緒子が四球を選び出塁。すると城西の監督が主審に投手の交代を告げた。一死後、3番 小澤彩稀(3年木更津総合)が代わった右腕投手から遊安打し一死一・二塁。5番 小林美沙紀3-2のフルカウント、7球目を叩き左中間を抜ける左前安打で一死満塁とした。前日2本塁打の主砲6番 菊池朋美(3年花巻東)がバッターボックスへ。相手投手は真っ向勝負はして来ない、ギリギリのコースやストライクゾーンからボールになる球で攻めてくる。3-2のフルカウント菊池が状況を読み四球を選択し、押し出しで田波を生還させ5対1とし、詰め寄る相手を再度突き離した。
▷6回表、山梨学院はエース右腕 信田紗南が先頭の1番打者を二ゴロに、2番打者を遊ゴロとしたが失策で一死一塁。3番打者を三ゴロで二死二塁。4番DPを三ゴロとしたが、これまた失策で一・三塁、城西は一塁走者に代走指名選手を送る。信田が5番左打者1-2から邪飛で粘られるが、エースの風格がにじみ出る淡々とした投球で二ゴロに打ち取り窮地をしのいだ。
▶︎6回裏、山梨学院は先頭打者5番 小林美沙紀が0-1からの2球目を強打し左中間を二安打で出塁。一死二塁、7番DP 滝川愛華のランナーを進める一ゴロの間に小林が三塁を突き二死三塁とした。8番 半田由佳が1-1からの3球目を右中間を破る右前適時打で6対1と城西を突き放す。
▷7回表、山梨学院はエース右腕 信田紗南が先頭6番に右中間を破る右前安打、7番代打にフルカウントから四球を与え、続く8番リエントリー(再出場)に右前安打され無死満塁。さらに城西が9番代打を差し向けてきたが、信田が翻弄されることなく初球芯を外し二塁手のインフィールドフライに打ち取り一死満塁。城西は1番打者にも代打を出しプレッシャーをかけるが、信田が落ち着き初球芯を外し打ち取ったかに思えたが、その分打球の転がりが弱く二塁手への適時打となり6対2。これに信田は怯むことなく2番打者を中飛に打ち取り二死満塁とする。またも3番打者の芯を外れる当たりが二塁手へ、これが適時打となり6対3。城西がじわじわと食い下がり二死満塁、一打逆転まで迫ってきた。信田が投球では優っているものの流れが城西に傾いている展開。この場面でも信田がエースらしくひょうひょうと投げ、4番打者DPを二ゴロに打ち取り6対3で勝利をもたらした。
山梨学院は「全日本大学選手権大会(8月)で勝つための打撃強化策」が功を奏し、5連覇(優勝8回目)を果たすとともに、城西大学に5月6日0対3完封で破れた雪辱を果たした。
⬛︎試合終了後のインタビュー⬛︎
▷3打数3安打3打点と活躍した5番打者 小林美沙紀(3年市立太田商業)は「2アウトだったので、思い切り打つしかないので、甘い球が来たらホームランを狙っていこうと打席に入った」とはにかむ。「普段の練習からロングを打つことを意識しているので負担はなかった。2番より考えずに思い切れるのでリラックスして」臨めたと笑みをこぼす。4球目「ローライズが、コースも高さも甘く入ってきた。バットの芯に当たったので、入ったと思った」と会心の当たりだった。インカレに向けて「気持ちを切り替えて、投手のレベルも上がると思うので、向上心を持ち日々練習に励み、チームに貢献できるように努力したい」と謙虚に述べた。
▷主将 久保田莉依(4年藤枝順心)は「チームはリーグ戦で城西大学に負けているので、勝ってリベンジしたいと、全員一丸となって強い気持ちで挑んだ」ときっぱり。1回裏チャンスで一本が、確り出たので大きかった」とはきはきと大きく頷く。「個人的には良いところがなく、声を大きく出してチームに貢献するしかなく、チームメンバーに助けられて、勝てて良かった」と反省仕切り。全国に向けてチームは「オフェンスは先頭打者が塁に出ることと、得点圏でランナーを確り還すこと、チャンスをさらに広げること」、ディフェンスは「投手はリズムをつくって良かったが、終盤守備でのミスがあり最終回のピンチを招いた」。全国で「昨年度は1回戦で負けてしまった。今年は優勝を目指しているので、一戦一戦、目の前の試合を勝ちきることにこだわって戦っていきたい」。そのために「多く残った課題を練習で克服したい」と誓った。
▷清水正監督は攻撃面について「全国を見据えた上で『得点を取らなければ勝てない』打撃強化策に時間を割いてきた。イエローボール(革3号球)は攻撃は簡単に得点が入るし、守備ではイレギュラーも多くあり、点が入りやすい。今日の決勝も多く点を取っていたから勝てた。全国に行けばこうした試合が多くなる」と大きく頷く。決勝戦では打撃強化策として「いつもは2番の小林をロングヒッターとして、長距離打者の山田と昨日2ホーマーの菊池の間の5番に据えた」と笑みを浮かべる。長打力を誇る「4番の山田は安定していて、相手が勝負を避け際どいコースを突いてくる。山田は選球眼にも優れていて四球が多い。そこで山田の後に小林と菊地を据えた」と秘策を明かした。その効果は「1回裏、田波ヒット、山田四球で二死一二塁として、相手は菊池の前に勝負をかけてきて、小林の3ランが生まれた」と振り返る。監督の読みが的中してリーグ戦決勝では0点と沈黙した打線が6得点を挙げる打線に大変貌した。ディフェンス、投手については「両投手の課題は、先頭打者を出したこと」一言。先発投手について「新入生の勝田は将来のエース、下に落ちるドライブボールとチェンジアップが良いが、今日はチェンジアップの精度がいまひとつ良くなかったがよく投げた」と大器の片鱗を見せる新人に期待を込める。救援投手について「信田は、久々に出て緊張もあったと思う。信田はストレート、ドロップ、ライズ、スライダー、チェンジアップと球種が豊富な上に100キロを超えのスピードが武器。丹念にコースを狙うのは良いが球を置きに行ってはいけない。最終回に点を取られてからの開き直った投球は良かった。信田は実践を積み大胆さが出てくれば、相手はそう簡単には打てない」とエース復活の手応えを感じて声が弾んだ。「インカレまで後3ヶ月ある。チームは70%の出来。残りの期間で新チームを完成させベスト4以上を目指したい」と球場を後にした。
文(H.K) 、カメラ(平川大雪) 2019.6.5