●明治杯 全日本選抜レスリング選手権大会2日目
~山学大 92kg級 大津・谷﨑メダルに期待~
~同門対決で大津が谷崎に2対1で競り勝つ~
明治杯 全日本選抜レスリング選手権大会2日目が6月14日、駒沢体育館で行われた。山学大勢は5人総当たり方式(リーグ戦)で行われる92kg級に、天皇杯全日本選手権大会3位 大津拓馬(2年)とJOC杯優勝 谷﨑匠(2年)が出場し、同門対決で大津が谷崎に2対1で競り勝ち、大津2戦2勝、谷﨑3戦2勝1敗で、今大会の初メダル確定に期待が膨らむ好スタートを切った。また、74kg級に東新人戦優勝 横山凛太郎(3年)が出場し短期減量が響き1回戦で敗退した。しかし、横山の相手が決勝に進出したことから、明日の敗者復活戦への出場が決定した。なお、敗者復活戦に出場した86kg級山田と125kg級冨栄は善戦したものの銅メダル獲得には至らなかった。明日15日は、2連覇を達成し東京オリンピックで金メダルを目指す世界選手権優勝、天皇杯全日本選手権優勝の65kg級の乙黒拓斗(3年)が登場する。
⬛︎男子フリースタイル⬛︎
明治杯 全日本選抜レスリング選手権大会は東京オリンピック第一次予選会(2019年シニア世界選手権・日本代表選考会)を兼ねている。2019年シニア世界選手権の日本代表になるには、天皇杯と明治杯の両方に優勝した選手。また、優勝者が異なる場合は7月6日に埼玉の和光市体育館でプレーオフを行い決定する。世界大会に出場しメダル(金・銀・銅)を取れば東京オリンピック出場が決定する。オリンピック競技は57kg級、65kg級、74kg級、86kg級、97kg級、125kg級の6階級。世界大会は61kg級、70kg級、79kg級、92kg級の4種目を加えた10階級。男子フリー競技は原則トーナメント方式(6名未満は総当たり方式)で3分2ピリオド(6分)のトータルポイントで勝敗を決定する。14日の2日目は、57kg級(五輪)、61kg級、74kg級(五輪)、92kg級の予選と決勝(前日実施の階級)が行われる。山学大勢は74kg級(五輪)92kg級予選に、敗者復活戦(3位決定)に86kg級、125kg級に選手が出場する。
◆出場選手試合後のインタビュー◆
◇74kg級の東新人戦優勝 横山凛太郎(3年)は79kg級から減量しての出場。「対戦相手は一つ下の階級の全日本チャンピョンだが、自分の動きを出して戦っていこう」と「プレッシャーを感じずに気負わずに試合に臨んだ。第1ピリオド「最初相手に先取され、焦ったが相手が振って技をかけてきた瞬間をカウンターで足をとって、テイクダウンさせて素早くバックを決め2点相手から奪った」と納得のいく攻めができた。しかし「減量していて、スタミナが切れてきて相手のペースに持って行かれた」とテクニカルフォール負けを喫した。敗者復活戦が決まって横山は「戦う限り敗者復活戦では3位を目指して頑張りたい」と減量の体に鞭を入れる。
◇92kg級の天皇杯全日本選手権大会3位 大津拓馬(2年)はリーグ戦で勝って「全日本選抜で優勝したい」と思って試合に臨んだ。「今回、松本篤史選手が上の階級へあげて」いないため、「自分が一歩リードしている」と自負している。初戦、同門対決の谷﨑戦が始まると「すごく緊張した」と感じたことのないプレッシャーが襲ってきた。「練習で手の内を知っていて、いつも接戦で」良きライバルでもある。「一か八か、最初に2点を奪い前半(第1ピリオド)を2-0にして、後半(第2ピリオド)コーションポイント1点を取られても逃げ切れるという作戦を作戦を練って試合に臨んだ」。谷﨑との試合は「最初、パッシブ(口頭注意)を取って(2回目のパシブでアクティビィティタイム30秒間で、相手が得点を挙げられなかった場合1点奪える)チャンスで守りきり、谷﨑から1点を取った」。「今度、自分に2回目のパッシブがきて、30秒間で得点しなければならなかったので、谷﨑が場外に出るように攻めて1ポイントとり2対0で前半を終えた」と作戦どうりの展開となった。「後半に谷﨑に1点返された」が、無理をせずに逃げ切る作戦を淡々と実行する。「後半のラスト20秒で2回目のパシブを取られたが逃げ切り」1番の難敵であろう谷﨑をかわして勝利した。2戦目は「中央大学の山根光司選手に2-0で勝ち」2戦2勝とした。明日は「絶対優勝したいので、全勝を狙います」と力を込めた。
◇92kg級のJOC杯優勝 谷﨑匠(2年)はリーグ戦初日、「すごく大きい大会なので緊張して」会場入りした。試合には「このような大きな大会は経験がないので、リラックスして自分の持っている力を精一杯出し切ろうと」臨んだ。第1戦は「山根選手。試合前に山根選手について調べると、戦績が自分と同じくらいだった」ので警戒して臨んだ。実際、試合で「組んでみて、自分の方が力があると思い、これは勝てると思った」。谷﨑は第1ピリオド「相手の左腕を手繰りバックを決めて2-0」とした。第2ピリオド「相手が自分の首を左腕で脇に抱えて技を仕掛けてきたので、膝を折り反り返って相手をテイクダウンさせグラウンドで脇差しで横についてからバックを取り4-0、連続して横崩し(ローリング)で6点」を奪い6-2で勝った。「大津戦は、押し出されたところが敗因」と1-2で破れ肩を落とした。3戦目「執行優大(福岡大)選手に3-0」で勝ち、3戦2勝1敗とした。「明日、一つ勝って2位を狙います」と控えめに述べた。
◆コーチ・インタビュー◆
◇小幡邦彦コーチは92kg級について「92kg級は五輪以外階級で今までのチャンピオンが階級を変更しているので、谷﨑も大津も優勝を狙っている階級で取りこぼしがなく(山学大以外)勝てたのは良かった」と一息つく。同門対決について「普段指導していて、力は五分五分でどちらが勝ってもおかしくない」力関係。「2人とも教え子で、普段同じように指導しているので、この対戦については自分たちで考えて臨むように指導した」と2人に課題を課した。2人の試合について「大津がコーションを取って1-0。谷崎が攻めてくるところで、大津が勇気を振り絞り谷﨑にアタックして場外に出し1点追加したのが、勝敗の分かれ道になった」と振り返った。「この級で1番マークしていたのは中大の山根選手で、谷﨑が6-2で、大津が2-0で破り、これであとは普通に戦えば勝てる相手なので、明日は1位・2位はいけると思う」と大きく頷いた。ただ、小幡コーチは「違う選手のセコンドについていて試合を見ていないが、大津と山根選手の対戦で2-0は、あとで話を聞いて確認したい」と声がダウンした。「セーフティリードは最低でも3点必要」と強調した。「2点は逆転される可能性が高い点数」。「同点の場合はコーション(反則・警告の有無)、ビックポイン(コーションに差がなければ大技(2点技、3点技)をより多く決めた選手の勝利)、後取ポイント(コーション、ビックポイントに差がなければ、最後に追いついた選手の勝利)になる」。「今の、大津と山根選手では3得点は奪える得点。緊張していたのか」と首をかしげる。74kg級の横山については「減量がきつかった。片や相手は70kg級から体重を上げてきている選手だったので、後半は力の差が出た」と振り返った。体重の「測定が当日になったので、食事や水分補給が難しくなっている。相当きついと思う。それでも大舞台の経験は将来プラスになる」と頷く。明日「敗者復活戦はさらに体力的にも精神的にもきつくなると思うが、必ず得るものがあるはず。3位を目指して頑張ってもらいたいと」教え子を褒め激励する。敗者復活戦について「出場した86kg級山田は1回戦1-3と敗れたがまだ大学2年生これからが楽しみ。125kg級冨栄は3位決定戦でフォール負けしたものの善戦した」とともに称えた。
⬛︎明日15日は2連覇を達成し東京オリンピックで金メダルを目指す世界選手権優勝、天皇杯全日本選手権優勝の65kg級の乙黒拓斗(3年)が新たに登場する。
文(H.K) 、カメラ(平川大雪) 2019.6.16