●第17回アルテア七夕まつり2019
~例年を上回る賑わい。酒折夏の風物詩~
~地域住民が広く交流“七夕の星”に願いを託す~
今年で17回目を迎えた山梨学院恒例の「アルテア七夕まつり2019」が7月5日、大学キャンパスセンター棟STAGE21で開催された。地域住民交流の場として2003年から行われている催しは、酒折地域の一大イベントとして定着、初夏の風物詩として親しまれている。会場は色とりどりの吹流しや七夕飾り、願い事が書かれた短冊が飾られ、『七夕まつり』を涼しげな風情に醸し出した。会場には山梨学院短大食物栄養科による人気のきなこ揚げパンの販売や定番の焼きそば、かき氷などの屋台のほか約20店が軒を連ね、来場者は列を作って買い求めていた。ステージでは、山梨学院小学生と大学生の山梨学院パフォーマンスチームが踊るチア&ダンスや山梨学院ウインドブラスアンサンブル、iCLAの学生によるアコースティックな歌と演奏、他に2組のゲストの歌も披露され、来場者から大きな拍手が送られた。七夕まつりのフィナーレには、会場の照明が落とされ、ステージの天井にさまざまな星座が投影された。例年を上回る来場者は、年に一度、夜空の彼方のロマンティックな伝説に、それぞれに願い事を託した。
山梨学院大学キャンパスセンター壁面に天の川を挟んだ牽牛(アルテア)と織女(ベガ)が年に一度巡り合うロマンティックな伝説がモチーフとなったレリーフが設置されている。本学の校章には「梶の葉」がデザイン化されている。梶は和紙の原料で、紙によって発展した学問の異名でもある。いにしえより人びとが文字の上達を願い、さまざまな夢や思いを梶の葉に記し「七夕の星」に託した故事に由来するモニュメント。もともと七夕は、古代中国から伝わった祭りで、機織が上手な織女にあやかり、裁縫が上達するよう祈る風習として行われた。日本では、願い事を五色の短冊に込めて祈る行事で古くから大切にされてきた。江戸時代には、和歌や書道の上達の願いを書く風習がひろがり、現代に至っては、七夕の日にはさまざまな願い事をするようになった。
7月5日、停滞する梅雨前線の影響で雨が心配されたが曇り空の中、17回を数える「アルテア七夕まつり2019」が開催された。会場には学生を初め、教職員、山梨学院小・中・高校生、家族連れなど地域住民が多く集まった。キャンパスセンターSTEGE21周辺には、願い事を書いた短冊や吹流しなど色とりどりの七夕飾りがなびき、七夕まつりをより涼しげな風情に醸し出した。午後6時、ステージイベントが山梨学院小学校TS(トワイライトスクール)「ダンス&スポーツ」と大学生の山梨学院パフォーマンスチームの明るく元気な演技で始まり、今年も素敵なゲストを招いてステージを盛り上げた。日本一楽しい汗をかけるLIVEをコンセプトに活躍中の祭囃子系アイドルの5人組(一人は欠席)「はっぴっぴ」はステージ狭しと歌い踊り持ち前の元気なパフォーマンスで会場を沸かせた。
はっきりしない空模様にも関わらず、例年にも増して多くの人々が集った。ステージの周りには祭りの雰囲気を一層醸し出す屋台が軒を連ね、13のブースと3台の移動車による祭り定番の焼きそば、焼き鳥、たこ焼き、クレープ、山梨特産の新鮮な桃、かき氷や金魚すくいコーナーなどが設けられ、ほかにたくさんの屋台の香ばしい匂いにつられて来場者が列をつくった。今年は、iCLAの学生によるゲームコーナーや清里“ロック”の名物カレーの販売サポートなどもあり、浴衣を着た留学生の多さも目立ち国際色豊かな祭りとなった。
屋台の中でも山梨学院短期大食物栄養科パティシエコースによる定番のきなこ揚げパンやアルティ&ベッキーのオリジナルクッキーは、人気商品として定着。この日用意した揚げパン700個、昨年より多いクッキー150個はほぼ完売した。パティシエコース2年の加藤高橋佳奈さん、宮里亜実(左から)は「たくさん作るので結構手こずったところもあるんですが、お客さまに売るので見栄えなどに気を使いました。先輩たちが作ってきたものなので歴史を感じます。今の時代、きなこ揚げパンは給食にしか出ないものなので、こうやってみんなに食べてもらえることがうれしいです」と話した。これらの運営をサポートしているのが学生有志として学生会や樹徳祭実行委員会のメンバー。会場設営や模擬店運営、七夕飾りの設置などで七夕まつりを支えている。学生会の畠山奈々会長(経営学部3年)は「準備は5月に入ってから進めてきました。約30人のメンバーを統率することが大変でした。樹徳祭実行委員会の皆さんにも助けてもらいながらやってきました。年齢・性別・国籍に関わらず楽しんでもらえたら」と笑顔で話した。今回も学生会は、七夕飾りの一角に誰でもその場で願い事が書けるコーナーを設置。多くの小・中・高校生が短冊に願い事を書き、笹の葉に飾っていた。会場の様子を見ていた『さかおり倶楽部』の川崎博代表は「17回目になると懐かしさを持ってくる人もいますね。久しぶりに会う人や学生たちも結婚して子ども連れで来るなど、ある種の出会いの場となっています」と考え深く話した。『さかおり倶楽部』は毎年音楽祭の開催や春や年末の清掃活動など地域と密着した多くの活動を行い、この七夕まつりも17年前に川崎代表と上條醇法学部特任教授らと立ち上げた。17年続いていることについては「大学というしっかりした拠点があるということです。今、運営に携わっている学生がマンネリ化しないように新しい時代の新しいイベントを考えてくれまして、まさしく夏の風物詩になりました」と目を細めた。
ステージでは、山梨学院ウインドブラスアンサンブル11人による七夕にふさわしい選曲で息の合った演奏が続いた。iCLA(国際リベラルアーツ学部)有志による歌とギターによるアンサンブルも会場を魅了。初めて七夕まつりに参加した雨宮拓さん(法学部政治行政学科1年)と仁藤美優さん(スポーツ科学部1年)は「初めて参加しましたがこんなに人が集まるイベントとは思っていなくて学生会にも所属しているので良い経験をさせてもらっています」。仁藤さんは「自分も1年生で、多くの人が集まったり地域の人との交流ができるってすごいなと思いました」と話した。浴衣姿がとても似合っていたアルベルト・アルバカーキ―経営学部准教授は「日本の夏のお祭り大好きです。七夕とか花火とか。浴衣、食べ物もすごく大好きです。みんなも元気で明るいのが一番いいです。ナイスタイム素晴らしいです」と日本の夏を堪能していた。七夕まつりは近隣の住民にも浸透。甲府市武田から来ていた内藤初枝さんは「毎年楽しみにして来ています。今日は小学生の孫がチアをしていますので見に来ました」。笛吹市の今泉史さん(写真左)は「こういう機会に学生たちとお話もできるし世代を超えて交流できることが大きいかなと思います」とそれぞれの思いで祭りを満喫していた。
ステージの最後は、山梨県南アルプス市出身で「歌うま日本一決定戦(音楽チャンプ2019)」でアンジェラアキの「手紙」を歌い優勝した現役高校生の斉藤花那(さいとうかや)さんのLIVE。夢は歌のおねえさんという。白のコスチュームで登場した斉藤さんは、透明感あふれる高音の歌声を披露。初めて聞く来場者の心をしっかりつかみ取り、ロマンティックな七夕の夜に感動を伝えた。
午後8時過ぎ。七夕まつりのフィナーレは、11月2日(土)に山梨県立科学館や県内各地開催される「第21回ライトダウンやまなし2019」のプレイベントとしてSTAGE21上でライトダウンが行われた。斉藤花那さんが歌う「星つむぎの歌」が終わると、ライトダウンやまなし実行員会の跡部浩一さんの10カウントダウンで会場周辺の照明が落とされ、ステージの天井にプロジェクターで映し出された“星座”が浮かび上がった。会場の来場者はそれぞれの願い事を、今年も年に一度のめぐり合いを遂げたであろう牽牛(アルテア)、織女(ベガ)の七夕の星に託した。
7月7日、七夕の夜にあなたも夜空を見上げながら星に祈りを捧げてみては。
文・カメラ(K.F) 2019.7.6