●2019全日本大学ホッケー王座 準決勝
~山学女子が天理と対戦し1対0で競り勝つ~
~3年ぶりの王座奪還を目指し、決勝に挑む~
第38回全日本大学ホッケー王座決定戦が7月4日に開幕し、山梨学院大女子は順当に勝ち進み、6日の準決勝に進出した。大阪・立命館OICフィールドで行われた女子準決勝第1試合で山学は天理大と対戦。山学は、持ち前の“前に出るホッケー”で試合開始早々から相手ゴールに攻め込み、得点の機会を伺った。第3Qに入ると、相手の運動量も落ち、スペースが生まれ始め、第3Q終了間際の一瞬の隙をつき、左サイドのセンターライン付近からロングスイープをゴール前に入れ、これをFW高島瑠唯が押し込み、山学が先制。この点が決勝点となり、山学は1対0で天理に競り勝ち、3年ぶりの王座奪還を目指し、翌日の決勝進出を決めた。
全日本大学ホッケー王座決定戦には、全国から男女各12校が出場。日本ホッケー界の中核を担う大学ホッケーの競技力向上、メジャー化に寄与することを目的に1982年から開催。これまで、山学男子は1回、女子は6回王座に輝いている。大会は7月4日に開幕し、男子は、4日の1回戦から、女子は5日の準々決勝からの登場。男子は、1回戦を北海道大と対戦し、25対0で退け、準々決勝に進出。準々決勝では、昨年準優勝の天理と対戦し、第3Q・5分に先制したものの、その1分後に同点とされ、試合は延長のSO(シュートアウト)戦に。SO戦では、2対4で敗れ、ベスト8で今大会を終えた。一方の女子は、準々決勝で駿河台大と対戦。第1Q・13分に先制すると第3・第4Qでも得点を重ね3対0の完封勝利でこの日の準決勝に駒を進めた。
2019年度第38回全日本大学ホッケー王座決定戦 女子準決勝 |
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○ 山梨学院大 1 | 第1Q 0-0 第2Q 0-0 第3Q 1-0 第4Q 0-0 |
0 天理大 ● |
山学得点:高島瑠唯(第3Q・15分) |
試合は、山学のセンターパスで始まった。第1Qは序盤から天理陣内でのプレーが多くなり、徐々に山学が試合の主導権を握り始める。10分過ぎに天理にゴール前のフリーのスペースにボールを入れられ、山学がピンチを迎えるが、「さくらジャパン」(日本代表)で2018アジア大会優勝に貢献したGK田中秋桜(年 丹生高校)が落ち着いて対応し、無失点で第1Qを終える。第2Qは、山学陣内に攻め込まれる時間が増えるが、山学はインターセプトから攻守の素早い切り替えを行い、すぐに反撃に転じ得点の機会を伺う。山学は、立て続けにPC(ペナルティコーナー)のチャンスを得るも天理の厚い守備に阻まれ、得点は生まれず。第3Qに入ると、天理の足が止まり始め、試合の主導権は山学に。甘くなり始めたプレスや空いたスペースをうまく使い、天理ゴールに攻め込んでいく。終了間際に左サイドからのロングスクープがゴール前に入り、混戦からU21日本代表のFW高島瑠唯(2年 石動高校)が押し込み山学が先制。第4Qに入っても山学の勢いは止まらず、追加点を狙い、ボールを相手ゴールに運び続ける。終了間際に2度のPCのピンチがあったが、GK田中を中心とした守備陣がゴールを守り切った。試合中はサポートメンバーやベスト8で敗れた男子メンバーが友情応援で選手を鼓舞し、最後まで声をかけ続けた。山学は、決定機を活かし切れない場面もあったが、応援の力も借り、1対0で競り勝ち、2年連続の決勝進出を決めた。
試合後、ジョン・シアン監督は「天理とは日本リーグでも対戦していて、似たような攻め方をするチームで、日本リーグでも点が入らず、きょうは勝てて良かった。ゲーム内容としては、もう少し点が取れる場面があったが、選手が最後まで前に出る気持ちを出していて、そういった姿勢に満足している。第4Q終盤で、相手にボールを支配されてしまったので、最後の場面でもう少しゲーム管理をしたかったが、全体としてゲーム内容は良かった」と試合を振り返り、明日の決勝に向け「いつでも決勝に出られるわけではなく、今回は2年連続で王座の決勝の舞台に立てるので、感謝の心を素直に持って、山学らしく前に出るホッケーで楽しみたいと思います」と話した。川口花菜主将は「練習の中で、短くパスをつないで攻めることをやってきて、きょうの試合でも良いテンポ、速いテンポで攻めることができていて、パスもつながっていたが、点を決め切れなかったのが課題。また、敵が多い中に攻めてしまっていたので、状況判断をしっかりして、落ち着いて、余裕を持ってスペースを広く使って攻めれていれば、さらに良かったと思います」と課題をあげ、決勝に対し「自分たちは決勝で勝つために練習を頑張ってきたので、あとは強い気持ちと練習してきたことを出し切るだけなので、絶対優勝します」と力強く語った。山学の無失点に貢献したGK田中秋桜選手は「点を取られそうな場面はそんなに多くなかったので、守備としては安定していたと思います。ただ、苦しいときに点が入らないことが多かったので、決勝に向けてみんな爆発してくれると信じています。決勝でも1点を争う厳しい戦いが予想され、緊張する場面もあると思いますが、自分が後ろから軸となってメンタルコントロールやラインコントロールをやっていきたいと思います」と述べ、決勝点を入れたFW高島瑠唯選手は「負けたくないという強い気持ちで試合に挑みました。山学とは違う慣れない芝の状態なので、トラップなど難しい時がありましたが、1本1本集中してプレーしました。(ゴールした瞬間は)みんなの思いが詰まったボールが自分の前にきたので、最後は力強く決めました。後ろを振り返るとみんなが喜んでいるのが目に入り、嬉しかったです。明日は、強い気持ちで、やってきたことをやるだけなので、みんなで一丸となって頑張ります」と溌剌とした表情で語った。
第38回全日本大学ホッケー王座決定戦女子決勝は7月7日、13時30分から立命館OICフィールドでホームの立命館大と対戦する。山学は3年ぶり7回目の優勝、令和最初の王座を目指し、“前に出るホッケー”で全員が一丸となり決勝に臨む。
文(Y.Y)、カメラ(平川大雪)2019.7.6