山梨学院パブリシティセンター

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●夏の高校野球山梨大会 開会式
~学校史上初の4年連続甲子園をめざす夏始まる~
~参加35チームが聖地・小瀬に結集し入場行進~

令和元年第101回全国高校野球選手権山梨大会の開会式が7月7日、甲府・小瀬スポーツ公園山日YBS球場で行われた。山梨学院高チアリーダー部の華麗な先導と、行進曲「道標の先に」の演奏に乗り、参加35チームのベンチ入りメンバーが入場行進。選手団先頭は前年度優勝校の山梨学院、山学の20人は力強く行進した。相澤利俊主将が優勝旗を返還、甲府南高の石川雄大主将が「爽やかに、全身全霊で戦うことを誓います」と選手宣誓。一球に思いを込めて戦う“球児の夏”が梅雨空の下で開幕した。大会第1シードで、学校初の4連覇と春夏連続を目指す山学高は、大会2日目の8日、小瀬球場第2試合(11時開始予定)で巨摩高と初戦を戦う。

参加35チームの中には部員が20人に満たない高校もある。甲陵高は9人、白根高は10人で入場行進した。また、91年センバツで樋渡卓哉投手を中心に大会史上初の2試合連続逆転サヨナラ勝ちでベスト4入りし「ミラクル市川」と呼ばれた市川高は、学校統合により、3年生にとってだけでなく学校自体にとっても最後の夏となる。出場全校の全選手はだれも皆、昨日の自分を超えるために戦いの場に結集した。この春のセンバツに出場し、1回戦で大会史上最多タイの24安打を放ち、2回戦まで進んだ山梨学院高は、大会第1シード校として、学校初の4年連続夏の甲子園と、これも学校初となる春夏連続甲子園(正確には夏春夏3期連続)出場を目標に“夏”に挑む。プラカードを持つのは、3年生マネージャー梶原茉倫さん、選手の先頭で前年度優勝旗を持つ相澤利俊主将は、エースで1塁手で外野手、時には4番も打つ三刀流マルチプレーヤー。校旗を手に進むのはチーム一の巧打者菅野秀斗。1列目右は巨漢大砲野村健太、中は堅守三塁手高垣広大、左は長身左腕木村渓人。2列目以降には、センバツ後に頭角を現し正一塁手を勝ち取った飯塚大河、強肩捕手栗田勇雅と強肩遊撃手小吹悠人の福島コンビ、先発でも代打でもここ一番に強い岸本捷汰、最後の夏に背番号2を獲得したムードメーカー椙浦元貴、チーム一の俊足渡邉嵩馬、U-15日本代表功刀史也らが列を揃えて進む。山学高の選ばれし20戦士は、真っ黒に日焼けした顔に笑顔を漂わせ、颯爽と力強く小瀬の土を踏みしめた。

実は、大会が始まる前、山学高と帝京三高はベンチ入りできなかった3年生同士による「両校3年生引退試合」を行った。その舞台は、ベンチ外メンバーにとっては、その地に立つことも、プレーすることもついに叶わなかった小瀬・山日YBS球場。球場が借りられた6月19日、授業後の午後6時前から聖地のナイター照明の下で、その日1日限りのメンバー背番号で打席に立ち、最初で最後のマウンドに立った。ともに山梨の強豪校となった両校には、毎年、甲子園をめざす優秀な選手が、県内外から大勢入部するようになってきた。今年の山学高野球部の選手総数は88人、3年生部員は梶原マネージャーを含め24人、チーム内競争を勝ち抜きベンチ入りできたのは14人、あとの9人は叶わなかった。帝京三高も同様に大所帯、公式戦に出ることなく卒部する選手はともに多い。昨年から社団法人応援プロジェクトの協力で、両校のベンチ外3年生同士による「ラストゲーム」が実現した。1塁側の山学高応援席には、1・2年生部員と選手の保護者、それに、砂田グラウンド隣のツインソフトボール場で練習しているソフトボール部の部員とサッカー部の部員が応援に駆け付けた。創部初の関東大会優勝を果たし、一足先に全国総体出場を決めたソフト部の中込向日葵主将は「2年半隣で練習してきました。今日引退する選手の思いも胸に、もう一度甲子園に行ってもらいたい」と野球部にエールを送った。試合は帝三が1回表に1点を入れ、山学が3回裏に2点を入れ逆転、接戦のまま6回を迎えようとした時、1塁側の応援席と3塁側の応援席の全員が一緒に立ち上がり、ゆずの『栄光の架け橋』を一緒に歌い始めた。

その大合唱は、スタンドを越えて小瀬の夜空に舞い上がり、言霊のようになって木霊した。試合は5対2で山梨学院の勝利となったが、両チームは応援に来てくれた仲間達も交えて一緒に記念撮影して互いを称え合った。そして、それぞれが自分を支えてくれた保護者の前に立った。この日先発のマウンドに立ち、途中から1塁手としてフル出場した染谷梓選手(松戸市出身)は、この日で野球をやめる決意を固めていた。「野球を続けさせてくれてありがとう」と記したメッセージボールを母に贈り、感謝の気持ちを込めて、母を抱きしめた。千葉から駆け付けた母親の染谷香世さんは「親元を離れての寮生活で、苦しかったり、辛かったことが多かったと思いますが、親には泣き言を言いませんでした。山梨での3年間が息子のこれからの人生の糧になってくれると思います」と話し、そっと涙をぬぐった。この日は裏方に徹したベンチ入りメンバーは、仲間の試合を支えて最後に一人一人を胴上げした。相澤利俊主将は「3年生24人全員の力を合わせて、もう一度みんなで甲子園に行くぞ」と声を張り上げ、3年生全員の心を結びつけ、チームの結束を固めた。

山梨学院高校野球部は、ベンチ入りできたメンバーも、ベンチ入りできなかったメンバーも、3年も、2年も、1年も、全員がその心を一つにして戦う。逆境に陥る時は必ず来る。その時は一人じゃない、みんなで戦っていると心を奮い立たせる。その時こそ一機一瞬入魂、ボールに、そのバットに、魂を込めて逆境に挑む。心を研ぎ澄ませて、戦いに挑む。

文(M.Ⅰ) カメラ(今村佳正、M.Ⅰ) 2019.7.7