●第101回全国高等学校野球選手権山梨県大会(決勝戦)
~山梨学院4連覇 夏の甲子園令和初代表~
~菅野 先制弾丸2ラン / 佐藤好リリーフ~
山梨学院高校は7月24日、山日YBS球場で東海大甲府高校と対戦し5対4で接戦を制し4年連続9回目の夏の甲子園進出を決めるとともに春夏連続の甲子園出場となった。後攻の山学は1回裏、4番 菅野秀斗が外角高目のストレートを振り抜き右芝生席に飛び込む弾丸2ランを放ち先制。3回表に2対3と逆転されると、3回裏、4番 菅野が外角低目のストレートを上手く拾いセンターフェンス直撃の適時三塁打で3対3。6回表に3対4と再びリードされた6回裏、6番 高垣広大のスクイズで4対4、7番 栗田勇雅の左前適時打で5対4とした。山学は先発の左腕 エース主将 相澤利俊が3回2/3を3失点、右腕エース 佐藤裕士が5回1/3を1失点と好リリーフし、東海大甲府の強力打線を2投手で4失点に抑えて勝利した。山学は8月6日阪神甲子園球場で開幕する第101回全国高校野球選手権大会に令和初の山梨県代表として出場する。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 | |
東海大甲府 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 4 |
山梨学院 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | × | 5 |
⬛︎山梨学院高 Vs 東海大甲府高 ⬛︎
山梨学院高校は4年連続9回目の出場を目指す。吉田洸二監督は夏の大会前に「夏に向けて選手と一緒に、今までで1番ベストを尽くし、悔いが残らない努力をしてきた」と言い切った。「昨年は、心のどこかで『勝たなければ楽しくない』と思っていたが、今年は夏を迎える前から『楽しさが自然と湧いてくる』。たとえ試合で負けても、これは運命だと素直に受け入れられる。シンプルに平常心で戦える」と大きく頷いた。野球部のスローガン「古屋忠彦特別顧問からいただいた、このグラウンドで一度の機会に出会った選手と、一球に魂を込めて試合をしょうという意味の『一機 一瞬 入魂』をベースに、『善循環』を取り入れ、日々鍛錬を積んできた。天命を待ちたい」と心の内を明かした。大会に入り平常心で戦い、初戦の2回戦 巨摩を5回コールド10対0、3回戦 日本航空を7回コールド11対2、準々決勝戦 富士北稜を6対0、準決勝戦 甲府城西を7回コールド7対0と降し決勝戦へと駒を進めてきた。決勝戦について「決勝戦までが、毎回プレッシャーがかかる。もう、明日は勝っても負けても、3年生にとっては、この球場でやるのが最後の試合になるので、明日は思い切りやりたいと思う」と力強く意気込みを述べた。
▶︎山日YBS球場の両校の応援団スタンドもバックネット裏も満席だ。両校選手がベンチから登場すると両スタンドから歓声が沸き起こる。駆け足で両校の選手がホームベースを挟んで整列。いよいよ甲子園への切符をかけて戦う。先攻 東海大甲府、後攻 山梨学院で決勝戦が11時01分に開始された。
▶︎1回表、後攻の山梨学院は吉田洸二監督が決勝戦の先発を託したのは日本航空(3回戦)と甲府城西(準決勝戦)で先発した左腕エース主将 相澤利俊(3年)だった。相澤は1番打者を見逃し三振に、2番打者を遊ゴロに仕留める。続く、3番打者に2-2から三遊間を抜ける左前安打を打たれ二死一塁。4番打者を2-2から変化球で空振り三振に切って取りチェンジ。
▶︎1回裏、山学は二死後に3番主将 相澤利俊(3年)が左前安打で出塁。続く、4番好打 菅野秀斗(3年)が2-1からの4球目の「ストレート外角高目」をジャストミートすると弾丸で右芝席に飛び込む先制2ランを放った。
▶︎2回表、左腕エース主将 相澤が5番打者への初球を中前安打され無死一塁。一死一塁、7番打者に2-2からヒットエンドランで中前に運ばれ一死一二塁。続く、8番打者に3-1からヒットエンドランで左前適時打され2対1。9番打者に四球を与え一死満塁。相澤が1番打者へ投じた初球を右前にテキサスヒットされ2対2の同点。2番打者を初球で三ゴロ、三塁手が本塁フォースアウト。捕手が併殺を狙い一塁へ悪送球、これでランナーが生還し2対3と逆転された。
▶︎3回裏、山学は先頭の1番 岸本捷汰(3年)が四球を選び出塁。2番 渡邉嵩馬(2年)の犠打で一死二塁。一死後、4番好打 菅野が外角低目のストレートを上手く拾いセンターフェンス直撃の適時三塁打で3対3の同点とした。
▶︎4回表、左腕エース主将 相澤が一死後、9番打者に1-2から左前安打され、1番打者の犠打で二死二塁としたところで、吉田監督が右腕エース 佐藤裕士をリリーフ投手としてマウンドに送った。佐藤は2番打者に対して「緊張はしていなかったが、抑えてやろうと、微妙に力んでしまった」と代わり端に四球を与えた。3番打者を1-1から中飛に打ち取りチェンジ。
▶︎6回表、右腕エース 佐藤が先頭の7番打者に四球を与え、8番打者の犠打で一死二塁。続く、9番打者を三ゴロに打ち取るが三塁手が二塁フォースアウトを狙い送球したが、これがフィルダースチョイスとなり一死一・二塁とした。佐藤が1番打者に0-1から左前適時打され3対4と再びリードを許した。
▶︎6回裏、山学は一死後に4番好打 菅野が中前安打で出塁。5番主砲 野村健太(3年)が右前安打し一・三塁。6番 高垣広大(3年)が1-1からスクイズを決め4対4。二死二塁、7番 栗田勇雅(2年)が1-2から「スライダーの低目」を左前適時打し、野村が好走してホームを突き5対4と再びリードした。
▶︎7回表、右腕エース 佐藤が先頭の4番打者に初球を左中間を破る二塁打とされ、5番打者を1-0から遊撃手の強肩堅守 小吹悠人(2年)へのゴロで三塁に送球しタッチアウトで一死一塁。6番打者のセンターに抜ける打球を強肩堅守 小吹がダイビングキャッチし6-4-3の併殺で窮地をしのいだ。
▶︎8回表、右腕エース 佐藤が先頭の7番打者を0-1から左飛に、8番打者を1-2から二ゴロに、9番打者を2-2から左飛に打ちとる力投。
▶︎9回表、右腕エース 佐藤が先頭の1打者を3-2から見逃し三振に切って取り、2番打者を1-1から中堅手の俊足堅守 渡邉が捕球、3番打者を1-1からヒット性の遊強襲ゴロを強肩堅守 小吹が捕球し一塁を守る主将相澤に送球し、山梨学院は甲子園への切符を手中に収めた。
⬛︎山梨学院は、打っては左腕エースから8回、7安打(本塁打1本、三塁打1本、二塁打1本)・5三振・4四球・2犠打・0盗塁と攻略し、投げては相澤が3回2/3を6安打 2四死球 3三振 3自責点、佐藤が5回1/3を2安打 3四死球 2三振 1自責点と強打の東海打線を4点に抑える力投を披露し4年連続9回目の出場を決め流とともに春夏連続出場を果たした。
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【試合終了応援団への挨拶】
試合終了後、生徒会、応援団、チアリーダー、ブラスバンド、PTA、野球部保護者などが、木立の広場に集合し県大会応援団の解散式を行なった。
▶︎吉田洸二監督はお礼の挨拶で「今日は、厳しい試合だった」と開口一番。「皆さんの応援で「朝、5時50分から起きて、グラウンドを走り回って、先輩の3連覇をなんとか繋いで行こうと、一生懸命頑張りました」と笑顔で頭をさげた。「今日の試合は、レギュラーが頑張ったとか、ベンチ入りが頑張ったとか、チームが頑張ったとかではなくて、今日は山梨学院の底力でもぎ取った優勝だと思っております」と語尾を上げた。「甲子園では、打ち勝たないと厳しい。そのために甲子園では、皆さんの沢山の応援をしてもらわないと点数が入らないので、どうか応援をよろしくお願いいたします」深々と頭を下げた。応援団からの惜しみない拍手の中会場に戻っていった。
▶︎山内紀幸校長は挨拶で4連覇できたのは「選手自身が自分自身を信じることができ、そして仲間を信じることができた。その力ではないかと思った。特に守りが終わって帰ってくるときの選手の表情が、日に日に良くなって一体感がでてきた」と振り返る。「今日の試合も小吹君、菅野君の二遊間が盛り立て、私のミスを誰かがちゃんとカバーしてくれる。次は私がカバーするんだといった選手同士の繋がり、信じ合う力を、ひしひしと感じた」と感慨無量の面持ち。当然「チーム全体が野球技が向上したこともあるが、それ以上に人間力を増したことが結果を出したのではないか」と熱弁をふるう。「スタンドの生徒、生徒会、応援団、チアリーダー、ブラスバンド、PTA、野球部保護者の皆さんが、まず選手を信じることができた。それにより選手自身が成長することができた。オール山梨学院が全て信じ合えて、そして勝ち取った勝利」と応援団を含めて絶賛した。
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⬛︎試合終了後 のインタビュー⬛︎
●4番 菅野秀斗(3年)は代表インタビューで4打数3安打について「今までの練習の成果が出て良かったなと思います」。最初のホームランは「ストレートを狙っていたので上手く振り抜けたと思います」。フェンス直撃の3ベースは「低目だったと思いますが上手くバットが出せて良かったと思います」と述べた。今日は4番だったが「昨日の夜から一人で勝手に『やってやるぞ』と興奮しました」と率直に述べた。甲子園では「いつもどおり練習でやっていることを確りやって、感謝の気持ちを忘れずにやって来たいと思います」と述べた。
▶︎菅野は取材に「1回裏の先制ホームランについて「2アウト一塁だったので、繋いでいこうという意識で打席に入った」。最初から「真っ直ぐを狙っていた」、2-1からの4球目「ストレート外角高目を振り切った」、その瞬間「行ったと思った」と弾丸で右芝席中段に飛び込む目の覚める先制2ランを放った。3回裏の同点打について「2アウト二塁で、自分が調子良く、投手とタイミングが合っていたので自分が返してやろう」と打席に入った。「真ん中低目のストレートを上手く拾えた。自然に体が反応した」と同点適時三塁打を放った。6回裏にシングルヒットを放ち、7回裏の打席で2塁打が出ればサイクルヒットだったことについて「一打席、一打席、試合に集中していて、サイクルヒットのことはわからなかった」と9飛に終わった。「チーム一丸の戦いに全神経を集中していた」と笑顔で振り返った。「甲子園ではベスト8以上を狙いたい」と胸を張り抱負を述べた。
▶︎右腕エース 佐藤裕士(3年)は4回表二死二塁リリーフについて「当初は6回からを予定していた」が「試合の展開で3回に『4回の途中から行く』と言われ、それに合わせて肩をつくった」と不安はなかった。「緊張はしていなかったが、抑えてやろうと、微妙に力んでしまった」と代わり端に四球を出した。5番打者には「力みをなくして、コーナーを丁寧につき」中飛に打ち取った。今日の球種は「ストレート、フォーク、ツーシーム、スライダー」を投げた。最終回について「少し硬くなったが先頭打者を三振にとり落ち着いた」と三者凡退で有終の美を飾った。投球内容は「1失点だったので80点」と自己採点した。甲子園では「山梨学院がまだ1勝しか出来ていないので、まずは1勝を目指して行きたい」とはにかんで抱負を述べた。
▶︎5番主砲 野村健太(3年)は「本当に今までやって来たことが報われた瞬間だなと実感した」と満面の笑み。厳しい攻めについて「厳しい攻めはつきものだと思うし、それに向き合わないといけないと思うので気にしていない」一笑に付した。6回に「外のストレートをしぶとく右前安打して一・三塁とし高垣のスクイズへと繋いだ」貴重な同点打となり、栗田の勝ち越し打となった。「いつも練習しているのが外角なので、今日も朝外角を練習して来たので練習の成果が出たのかな」と大きく頷いた。「今は甲子園が決まって、率直ほっとしている」と胸をなでおろした。「春の甲子園で悔しい負け方をしたので、リベンジして来れるように。リスタートして、皆んなで集中して戦って来たい」と主砲の決意を述べた。
▶︎7番栗田勇雅(2年)は「率直に嬉しいです」とニコニコ顔。6回の勝ち越し打について「先輩と甲子園に行きたいという気持ちがあったので、強い気持ちを持って自分がここで打ってやるぞ」と打席に入った。相手投手は「ストレートもスライダーもすごく切れていたので、打つのが難しいと思ったが、気持ちでスライダーの低目を拾って持っていった」と汗を拭った。「守備で失策していたので、挽回しようと打席に集中した」と振り返った。「一塁への悪送球は、間に合うかなと一瞬迷い手元が狂った」と唇を嚙む。「甲子園では取り返しがつかないのでこれを教訓にし、確り迷うことがないように的確な判断が素早くできるようにメンタルを鍛えたい」と肝に命じた。「甲子園では個性が違った投手の良い所を引き出せるように、バッティングでは今日のように粘り強く臆することなく向かっていきたい」と決意を述べた。
●主将 相澤利俊(3年)代表インタビューで「本当に嬉しい。4連覇は自分たちの力だけでは出来ることではないので、確り支えてくれた全ての方への感謝の気持ちを忘れずにしたいと思います」と頭を下げてた。「最後まで、何があるかわからない試合だった。その中でも、本当に厳しい練習を乗り越えてきたという自信が一番の支えになった」と振り返った。「本当に2年半は苦しかったが、頑張ってきて良かったと思います」と大きく頷いた。「今までのキャプテンと比べたら頼りないところもあつたと思いますが、チームメイトが支えてくれたので、本当にキャプテンをやっていて良かったなと思います」と感極まって涙を見せた。「甲子園では学校としてまだ2勝が出来ていないので、まず2勝を目標にしてチーム一丸となって頑張っていきたいと思います」と決意を述べた。最後に応援してくれた全ての人に「自分たちのプレイを後押しする大きな声援をしてくれたので、本当に感謝したいと思います」と笑顔で述べた。
▶︎相澤は取材で「東海の加藤匠主将から東海大甲府の千羽鶴を託されたので、甲子園では東海大甲府に恥じないような活躍をしたい」と頷き、「加藤選手は素晴らしい投手、甲子園では加藤選手に負けないピッチングをしたいなと思います」と称えた。「甲子園では35校の思いを届けられるように代表として堂々とプレーしたいと思います」と決意を新たにした。
●吉田洸二監督は代表インタビューで「こういう形で4連覇となったことは、学校や保護者の方、それと地域の方に応援してもらったおかげだと思っております」と深く頭を下げた。今日の試合について「昨年は1年間、攻撃の練習を7割やっていたが、それを今年からシフトチェンジして守備練習を7割にしてきた。まさか最後にこんなに素晴らしいご褒美をいただけるとは思っていませんでした」と声を弾ませた。選手には「厳しい練習が多いので、本音を言いますと、申し訳ないなと思いながら頑張れ頑張れと言っておりました」と本音を明かす。その結果「今日は攻守にわたって、生徒が一年間取り組んできた全てが出たと思っております」と褒めて胸を張った。甲子園では「学校の代表でなく、山梨の代表として責任感を確り持って準備したいと思います」と抱負を述べた。
▶︎吉田監督は取材に一気に「山梨学院の底力。学校のバックアップ。選手の頑張り、これに尽きる」と言い切った。「春夏連続出場は、本校で今まで一度もなかった」と山梨学院野球史に新たなメモリーを刻んだ。「選抜に出たチームが、どれだけ負けているか。それを、今日の苦しい試合を勝ち切れたのは、山梨学院の底力だと思います」と満面笑みで喜びを表し球場を後にした。
⬛︎山学は8月6日阪神甲子園球場で開幕する第101回全国高校野球選手権大会に令和初の山梨県代表として出場する。
文(H.K) 、カメラ(平川大雪) 2019.7.25