●文部科学大臣杯UNIVAS CUP令和元年度全日本学生レスリング選手権大会
~ 初優勝 アルメンタイ97kg級FS 一番嬉しい ~
~「UNIVAS CUP 2019」46ポイントを獲得 ~
文部科学大臣杯 全日本学生レスリング選手権大会2日目フリースタイル最終日が8月21日、東京の駒沢体育館で行われた。山梨学院は97kg アルメンタイ バグダウレットが石黒峻士(日本大学)を破り初優勝に輝いた。アルメンタイは「7月に腰を痛めて、4日前から練習を再開した。優勝できて、今までで一番嬉しい」と笑顔を両手で覆い素直に喜んだ。世界選手権代表の92kg級の大津拓馬は第1ピリオド残り1分29秒5対0とリードした直後に首を痛めるアクシデントで7対11と精彩を欠き準優勝。3位に57kg 服部大虎、 74kg 森川陽斗、86kg 山田修太郎(2年)、92kg 大谷崎匠の4名。本大会は、大学スポーツ協会が開催する大学スポーツの総合力を競う大会「UNIVAS CUP 2019」の指定大会となり、優勝ポイント10、2位ポイント8、3位ポイント5、ベスト8ポイント2が付与される。山梨学院は優勝1名、2位1名、3位4名に、ベスト8の79kg級 横山凛太朗と上村孝高、57kg級 後藤玲空、57kg級松井稜の4名を加えた合計ポイント46点を獲得した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
⬛︎男子フリースタイル(FS)⬛︎
文部科学大臣杯 UNIVAS CUP 令和元年度全日本学生レスリング選手権大会は1日目8月20日開幕。フリースタイル(男子)は、57kg級、61kg級、65kg級、70kg級、74kg級、79kg級、86kg級、92kg級、97kg級、125kg級の10階級(世界大会と同じ)で行われる。男子フリー競技は原則トーナメント方式(6名未満は総当たり方式)で3分2ピリオド(6分)のトータルポイントで勝敗を決定する。ルールは世界レスリング連盟(UWW)ルールが適用され、一部、学生レスリング連盟ルールを適用する。
【大会1日目FSの山梨学院戦績】
大会1日目は、57kg級から86kg級まではベスト16が決定され、92kg級から125kg級まではベスト8まで決定された。その選手は2日目(最終日)に進出できる。山梨学院は57kg級に3名が出場し服部大虎(2年)、後藤玲空(1年)、松井稜(3年)がベスト16。61kg級に5名が出場したが敗退した。65kg級に9名が出場し飯田翔真がベスト16。70kg級に2名が出場し佐藤旭がベスト16。74kg級に3名が出場し森川陽斗(1年)がベスト16。79kg級3名が出場し横山凛太朗(3年)、上村孝高(4年)がベスト16。86kg級は山田修太郎(2年)が出場しベスト16 となり、大会2日目に9名が進出。92kg級に2名が出場し大津拓馬(2年)、谷崎匠(2年)がベスト8。97kg級にアルメンタイ バグダウレット(3年)が出場しベスト8。125kg級に3名が出場し冨栄雅秀(4年)、藤本歩(4年)はベスト16で敗退し、大会2日目に3名が進出。山梨学院は32名が出場し12名が大会2日目(最終日)に進出を決めた。
【大会2日目FS最終日の山梨学院】
大会2日目8月21日は、ベスト16(92kg級、97kg級、125kg級はベスト8)に進出した選手が出場する。駒沢体育館は各大学の応援で熱気に満ち溢れている。9時30分から、いよいよフリースタイル(男子)と女子レスリング(フリースタイル)の戦いが開始された。
⬛︎〈決勝戦97kg級〉 アルメンタイ VS 石黒峻士(日大)⬛︎
▶︎山梨学院大のアルメンタイ バグダウレット(3年)は、出身地はカザフスタン、1995年12月19日生まれ。日本での主な戦績は2018年全日本大学選手権、2018年全日本大学グレコローマン選手権、2017年全日本大学選手権。石黒峻士(日本大学4年)の主な戦績は、2018年全日本学生選手権92kg級優勝、2017年全日本選手権92kg級優勝、2017年全日本学生選手権97kg級優勝と、ともに実力者同士の激突となった。16時15分、場内アナウンスに促され、メインマットに青のアルメンタイ バグダウレット(3年)が入場、続いて赤の石黒峻士(日本大学4年)が入場すると拍手と応援の声援に包まれた。レフェリーが両選手を直径1mのサークルに呼び寄せ、点検と指示を行い両選手に握手をさせ、ホイッスルを吹き試合を開始した。
【第1ピリオド(3分)】
▶︎開始5秒、試合が一気に動いた。石黒がサークルで両足タックルを仕掛けると、アルメンタイが上から両手で抱え込み両足で踏ん張るが、石黒の馬力に圧倒され下半身が踏ん張れず状態が起き上がったところを、左足を取られ場外に回避してワンポイントを与えた。再び、石黒が1分3秒に両足タックルを仕掛けてきたがアルメンタイがカウンターで覆い被さり石黒の胴体を両手で決め素早くバックを取り決めて2対1と逆転。アルメンタイが攻め続け石黒がたまらず、場外に逃げようとし、体が浮いた隙をつき石黒の胴体を両手で掴みひっくり返してのローリングを1分19秒に決め4対1とした。両者が互いに牽制し合って第1ピリオドが終了。
【インターバル(30秒間)】
▶︎アルメンタイが重い足取りでコーナーに戻る。小幡邦彦コーチに吹き出る汗を拭われながら、大きく息を吸って大きく吐き出した。小幡コーチの顔を斜め下から覗き込み、無言で苦笑いを浮かべると、小畑コーチがアルメンタイの顔をタオルで包むように笑顔で小刻みに顔を拭った。30秒が経過しレフェリーに中央サークルに呼び寄せられ、両選手が握手し、レフェリーのホイッスルで第2ピリオドが開始。
【第2ピリオド(3分)】
▶︎アルメンタイと石黒の差し手争いの攻防で2分5秒経過、アルメンタイが組手の攻防から、体を沈め石黒の左足を右手でたぐり決めにかかると、石黒がたまらず場外に回避、残り1分45秒アルメンタイが5対1とリードした。アルメンタイは組手から石黒のタックルを右手を首に巻きこらえるが石黒の圧力に押されたまらず場外に回避し1分24秒に5対2とされた。残り時間1分24秒、アルメンタイが組み手争いにこだわりいつもの高速タックルが影をひそめる。両者、頭をつけあい硬直状態か続く。レフリーの試合終了のホイッスルが場内に鳴り響き試合終了。レフリーがアルメンタイの左手を高々と上げ場内に勝利を告げた。
▷試合終了後のインタビュー◁
アルメンタイ バグダウレット(3年)は「優勝できて、今までで一番嬉しい」と笑顔を両手で覆った。「7月に腰を痛めて、4日前から練習を再開した」と身振り手振りで話した。今回は「練習不足で、不安な気持ちで大会に出場した」と両手を広げて肩をすくめる。指で自分の目を指し「得点を見ながら無理をしないで戦った」と腰に手を当てた。「決勝戦の石黒選手はタフな選手で、練習不足で息が上がった」と胸を撫でながら笑顔をつくった。「内閣総理大臣杯は、ベストコンディションでチームに貢献したい」と述べて表彰式に向かった。
◆コーチ・インタビュー◆
▶︎小幡邦彦コーチは、優勝の97kg級 アルメンタイ(3年)について「アルメンタイは腰を痛めてマットに上がったのが4日前からだったので、構えが高い状態になっていた。そこを突かれて失点したものの、良く考えながら上手く戦った」と絶賛した。2位の92kg級 大津拓馬(2年)「大津は2回やって2回とも勝っている相手だったので、5点リードでテクニカルで勝つものと思っていたら、タックルの際に不慮の怪我で首を痛め電気が走ったと思わぬ事態となり、そこから攻撃ができなくなった。そういう怪我も含めて試合なので、これから世界大会の日本合宿に行くので、そこで診てもらう」と顔が曇った。3位になった4人について「2年生の57kg 服部大虎(2年)は、日体大柏高でインターハイ団体と個人55kg級ともに優勝した実力者。うちの卒業生でALSOK所属の2017年世界チャンピオン57kg級フランス・パリ金メダリストの高橋侑希と毎日スパーリングをして、めきめき力をつけ6月の東日本学生選手権(春季)の新人戦で優勝して今回臨んだ。将来主力としてやってもらいたい」と大きく頷いた。「 74kg級 森川陽斗(1年)はインターハイ2位、肩の手術をして入学。確り治してからということで、これから実力を発揮してくる選手」と褒めた。「86kg級 山田修太郎(2年)は2018年全日本学生選手権86kg級優勝者。負けた相手は高校時代から勝ったり負けたりしている相手。東京の次のパリオリンピック代表の良きライバル。これから何十回と戦う相手。勝つにはどうしてら良いかを考えないと駄目だと言っている」と叱咤激励。 「92kg級 大谷崎匠(2年)は2019年の東日本学生選手権(春季)の新人戦で優勝。この新人戦の決勝で勝っている相手に攻撃していったところ、相手が苦し紛れにはなった投げで勇み足となり場外に出てしまい1対2(チャレンジ失敗で1対3)で負け、勝てる試合を落とした」と述べた。総括して「乙黒拓斗(3年)は世界選手権を控えているのでノミネートしなかったが、優勝を三つ狙っていたが、92kg級大津・谷崎の階級と125kg級冨栄雅秀の取りこぼしがあり、一つしか優勝できなかった。取りこぼしもあれば、収穫もあったので、出来としては50点。次は内閣総理大臣杯、昨年は3位と振るわなかったので、東日本の上位4大の争いで僅差(山学大は拓大・日体大と2勝1敗で並んだものの、大会の定めで勝ち数の合計などで3位、これに早稲田)になると思うが、王座奪還できるように確り調整しい行きたい」と述べ会場を後にした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
⬛︎UNIVAS CUPについて⬛︎
文部科学大臣杯 全日本学生レスリング選手権大会は、令和元年度において大学スポーツ協会が開催する大学スポーツの総合力を競う大会「UNIVAS CUP 2019」の指定大会となり、本年度は「文部科学大臣杯 UNIVAS CUP 令和元年度全日本学生レスリング選手権大会」と名称がなっている。「UNIVAS CUP 2019」は、3月にUNIVAS 加盟大学を対象として、年間の総合成績、各部門ごとの成績上位の大学の表彰を予定している。UNIVAS 会員の31競技団体が開催する大会のうち、全国の大学が参加し大学日本一を決する目的の大会につき、原則として1競技1大会を「UNIVAS CUP 2019」指定大会として設定している。(※ 男女別開催の場合は各々が指定大会となる。)
【山梨学院レスリングポイントの内訳】
〈優勝者 ポイント10〉
97kg級 アルメンタイ バグダウレット(3年)
〈2位 ポイント8〉
92kg級 大津拓馬(2年)
〈3位 ポイント5〉
92kg級 谷崎匠(2年)、86kg級 山田修太郎(2年)
74kg 森川陽斗(1年)、57kg級 服部大虎(2年)
〈ベスト8 ポイント2〉
79kg級 横山凛太朗(3年)、 79kg級 上村孝高(4年)
57kg級 後藤玲空(1年)、 57kg級松井稜(3年)
⬛︎山梨学院はフリースタイルで46ポイントを獲得した。山梨学院は一致団結して11月9日・10日に鹿児島県で開催される内閣総理大臣杯 全日本大学選手権大会で3年ぶり6回目の優勝を目指す。
文(H.K) 、カメラ(平川大雪) 2019.8.22