●第33回関東大学女子サッカーリーグ2部 開幕戦
~山学大、優勝1部復帰に向け勝利発進~
~苦しみながらも飽くなき執念で勝利を目指した~
第33回関東大学女子サッカーリーグ2部開幕戦が8月24日、各大学グラウンドで行われた。山梨学院大学女子の初戦は、山梨学院和戸富士見サッカー場に日本女子体育大学を迎えた。一昨年(2017年シーズン)、創部4年目の女子サッカー部は2部リーグ戦で全勝優勝を飾り悲願の1部昇格を果した。2018年リーグで1部定着を目指すも、1部の厚い壁に跳ね返され無念の2部降格を味わい、今リーグで再び1部昇格への雪辱を期す。試合は前半、左・右のサイドからFWの小山結由梨奈(4年)にボールを集めて攻撃のチャンスを窺うも、相手ディフェンスン堅い守りに阻まれ、得点できずにスコアレスで折り返した。後半に入ると、一方的なボールの支配率で相手を翻弄し、何度もゴールを脅かしたがシュートの精度に欠け、相手GW、DFの必死の好守備もあり得点に結びつかず、このまま同点で試合終了かと思われた。それでも勝利へのあくなき執念で残り僅かなアデショナルタイムにMF鈴木日奈子(3年)の左サイドからのクロスボールをMF浜田芽来(1年)が頭で合わせゴールを奪った。苦しみながらも初戦に勝利し、1部復帰に歩み出した。
関東大学女子サッカーリーグは東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・群馬・栃木・山梨の8都県、33校が加盟している。1部から3部まであり、1部・2部は10校ずつ、3部は13校で構成されている。今リーグ、2部で戦う山梨学院大サッカー部女子は、2014年創部。田代久美子監督のもと12人の部員でリーグ3部から始動した。1年目で2部に昇格。2年目・3年目と1部昇格に挑戦してきた。創部4年目の2017年シーズンは、初戦から9節までの全節に勝利し、2部初優勝を成し遂げ1部昇格を果たした。しかし、1部で臨んだ2018年リーグ戦、強豪校と対戦する出足の4戦で勝ち点4を奪えれば、定着できると踏んだ田代監督の思惑は外れた。
1部初戦、2戦目に引き分け、3戦目は敗れたが4戦目に引き分け、勝ち点3を得るも、
田代久美子監督は「プラン的にはまあまあの流れになったのですが、いざ勝ちに行かねばとなった時に勝ち切れなかったことと、けが人が出たということが大きかったです」と振り返る。今年7月、イタリア・ナポリで開催されたユニバーシアードで準優勝に貢献した日本代表の小山由梨奈(4年)と鈴木日奈子(3年)が機能しなかった。「点を取らなくてはいけないところに絶対的な核になる二人がけがで不調でした。70%の力しか出せなかった二人をそれでも出さなくてはならなかった台所事情があった」と他の1部校の選手層の厚さの差を見せつけられた。それでも「ゲーム自体で圧倒的に勝てなかったかというとそうではないと思う」と手応えも感じた。2部降格となった今年に懸ける思いは、「昨年に比べると層は厚くなりました。一人は必ず迷いなく変えられる子がいます。試合の流れを変えられる選手なので手元に置いておけることは大きいかなと思います」と若手の台頭に目を細める。目標は、「2部のレベルも上がっていますし、1部で上位に行くということを目指してやっていかないと、2部でも勝てないですし。チーム状態はいいですし、選手も自信を持ってやっていますので今日は安心して送り出せます。今年はもちろん1部復帰が目標ですがどの試合も勝つということが大事ですから全勝するということは容易ではないですが、優勝して上に上がらないと結局は昨年何していたとなるので」と1部復帰への決意は固い。
2019年度「33回関東大学女子サッカー2部リーグ戦」は、8月24日の開幕戦から11月10日まで1回総当たりで順位を争う。2部は、今リーグ棄権した関東学園大学を除く山梨学院大、順天堂大、尚美学園大、流通経済大、日本大、国士舘大、東海大、十文字学園女子大、日本女子体育大の9チームで優勝1部昇格を目指す。山梨学院の初戦は、3部から昇格した日本女子体育大と対戦した。
日中の暑さが残る午後5時、山梨学院和戸富士見サッカー場。上下ブルーのユニフォームに身を包んだ山梨学院のキックオフで試合が始まった。序盤からボールの奪い合いで一進一退の攻防が展開される。開幕戦とあって緊張からか山梨学院イレブンの動きがあまり良くない。中盤以降ようやくボールのキープ率が良くなり、DFの生沼奈央主将(4年 高崎健康福祉大高崎高)を中心に左・右サイドへのパス回しから中央へのクロスボールでゴールに迫り、得点を狙うが日本女子体育大の堅い守りに阻まれ得点に繋がらず、前半をスコアレスで折り返した。午後6時、全身レッドカラーのユニフォームの日本女子体育大のキックオフで後半戦が始まった。山梨学院はサイドバックの立ち位置を変えるなどシステムを修正して臨んだ。
前線を厚くしたシステムは功を奏し、開始早々から右サイドの14番井上歩香(1年 作陽高)からのクロスボールをゴール前の9番浜田芽来(1年 十文字学園高)が頭で合わせるも外す。続けてパスを繋いでポイントゲッターの11番小山由梨奈(4年 日本女子体育大学二階堂高)が右足でシュートするもGKの正面。右サイドを駆け上がった4番濵名花子(2年 秋草学園高)がゴール前に上げ9番浜田がシュート。枠を捉えきれずにバーの上をかすめるなど得点に至らずも、完全に山梨学院が主導権を握り相手をゴール前に釘付けにする攻撃が続いた。中盤から終盤に至っても山梨学院の怒涛の攻撃が続くが1点が遠い。ストレスが溜まる展開にようやく決定機が訪れた。アディショナルタイムの92分。右サイドから左サイドの鈴木日奈子(3年 常盤木学園高)にサイドチェンジしたボールを鈴木がゴール前にクロスボールを入れ、そのボールを再三のチャンスを逃していた9番の浜田が絶妙なタイミングで頭で合わせてゴールに押し込んだ。待望の1点。生みの苦しみを味わった得点だった。試合はこのまま終了。山梨学院は初戦を勝利し、勝ち点3を獲得した。
2019年度第33回関東大学サッカー女子リーグ戦2部 開幕戦 山梨学院大学VS日本女子体育大学 8/24 山梨学院和戸富士見サッカー場 |
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山梨学院大 1 | 前半0-0 後半1-0 |
0 日本女子体育大 |
得点◆山梨学院大:浜田芽来(92分) ◆アシスト:鈴木日奈子 |
◆スターティングメンバー
5番DF鈴木海音(2年) 12番GK大城聖奈(3年) 19番DF横澤真衣(4年)
9番MF浜田芽来(1年) 13番MF春山沙音(1年) 27番DF生沼奈央(4年)
10番MF岩下胡桃(2年) 14番MF井上歩香(1年) 35番MF鈴木日奈子(3年)
11番FW小山由梨奈(4年)15番DF肝付 萌(4年)
◆途中交代(後半)
19番DF横澤→4番DF濵名花子(2年) 13番MF春山→7番MF上田莉帆(1年)
試合後、田代久美子監督は「前半、相手の守備も堅く、どこにスペースが空いていてどこから攻略していくかが、あの子たちになかなか見つけられなかったのかな。後半、相手の足が止まってきたのでいずれは入るだろうと思ってやり続けろと言ったんですけど、こんなにも入らないとは思わなかった」と苦笑い。「開幕戦を戦ってみて、勝つことの難しさを改めて痛感したし、気が引き締まって良かったのかなと思います。次にしっかり修正して戦います」と気を入れ直した。生沼奈央主将は「ゴールまでなかなかいけないというのが前半の課題だったのですけど、後半は前線の枚数を増やしながらどこをどうやって崩すか挑んだのですが、ラストパスの精度が良くなくて1点が遠かったです。でもやることは間違いなかったのでこれからも続けていきたい」と振り返った。今後の戦いについては「勝つことは最低限の目標として、その中でより点数を取れるようにラストパスやシュートの精度を上げていきたいです」とこれからの戦いを思い描く。試合終了間際のアディショナルタイムに貴重な得点を挙げた浜田芽来選手は「何回もチャンスがある中で決めきれなかったので最後にもう一回冷静になって決めてやろうという気持ちでいました。関カレの雰囲気も知らない中でも初戦は大事な難しい試合だと思っていたので、まずはチャレンジャーの気持ちで勝ちにこだわっていこうと試合に臨みました」と初々しく話した。得点をアシストした鈴木日奈子選手は「流れはこちらにありましたが、どの試合でも決めきれないという課題が解消できないままでした。ポジションサッカーという点ではボールを動かしながら練習通りできていましたけれど、初戦の緊張感から最後までうまく持っていけませんでした。これからは徐々にモチベーション含めてコンディションを上げて、スタメンだけではなくここにいるみんなの底上げが大事と思うので1部復帰にはチーム全体の力が必要だなと感じています」と前を見据えていた。
今年の山梨学院大サッカー部女子には1年生新入部員16人が入部。上記のスターティングメンバーには、3人が名を連ね即戦力としてチームの底上げに期待が集まる。1部復帰には個々の質の向上が必要なだけに先輩に負けじと頑張る2年生、1年生の若い力の活躍に注視したい。
山梨学院の第2節の試合は8月28日(水)午前10時、山梨学院和戸サッカー場で十文字学園女子大学と対戦する。
文(K.F) カメラ(今村佳正) 2019.8.25