●2019日本学生選手権水泳競技(2日目・最終日)
~高橋洸輝(2年)が1500m自由形で準優勝~
~田中大貴(2年)が100mバタフライ4位入賞~
第95回日本学生選手権水泳競技大会(インカレ)競泳競技が9月6日から8日まで東京辰巳国際水泳場で行われた。初日に男子200mバタフライで初のインカレ表彰台に上った田中大貴(2年)が大会2日目の100mバタフライでも決勝に進出。前半6位と出遅れたものの後半追い上げ4位入賞。最終日には男子1500m自由形決勝に高橋洸輝(2年)が進出。高橋は、前半から先頭集団で粘り、750mを4位で折り返すと後半勝負をかけ、900mで3位に浮上。仲間の声援を受け、残り50mでラストスパートをかけ準優勝に入り、去年の雪辱を果たす嬉しい表彰台となった。
大会初日は男子400m自由形と男子200mバタフライで決勝に進出し3選手が入賞。このうち、2017インターハイ男子200mバタフライ王者の田中大貴(2年 安中総合学園高)が決勝に進出し、序盤から積極的なレースを展開し準優勝に輝いた。初めてのインカレ表彰台に上った田中は、前日のレースが終わり、この1年半を振り返り「大学入学にあたってはいくつかの大学から声を掛けてもらいましたが、水泳に集中できる環境が整っている山梨学院に入学を決めました。やるからには上を目指し、常に瀬戸大也さんなど世界で戦っている人たちを目標に練習してきました。日本のバタフライはレベルも高いので、ベストタイムで勝っていくことを目標にしています。高校までは、後半勝負するレースプランでしたが、大学に入り筋力強化をしてきた中で前半から勝負できるようになり、手応えを感じています。神田(忠彦)先生の一つ一つの言葉が心に刺さり、泳ぎの参考にしているので信頼をしています。今後は自己ベストの更新を第一に考え、1分53秒台を視野に練習を頑張っていきたいです」と語った。田中は初日の勢いそのままに2日目の男子100mバタフライでも決勝に進出し、望月智也(4年 山梨学院高)がB決勝に進んだ。また、男子1500m自由形予選で高橋洸輝(2年 前橋育英高)が予選6位で最終日の決勝進出を決めた。
■男子100mバタフライ
関東インカレでは52秒73で2位に入った田中は、予選4位タイの記録で決勝のレースに臨んだ。入場時には観客席からの仲間の声援に力強く応え、スタート台に上った。田中は、前半50mを6位と出遅れたものの後半追い上げ52秒36で4位入賞を果たした。田中大貴選手は「自分としては前半積極的に入りましたが、51秒台を出すためには50mを24秒1とかで入らなくてはいけなくてまだまだ力不足です。自己ベストは出せましたが1位との差が大きく太刀打ちできず、悔しさの方が大きいです」とレースを振り返り、今後について「200の方が得意ですが、200で世界で戦うレベルに上げるには100の入りが大切になってくるので100でもタイムをあげていきたいです。今後もこれまでの練習メニューを継続して集中して取り組んでいきたいです」と前を見据えた。また、前日の200mで決勝に残った望月智也がB決勝に進出し、大学最後のインカレを万感の思いで泳ぎきった。望月は、スタートで若干出遅れ、50mを6位で折り返すと後半25mで追い上げ、最後は0.01秒のタッチの差で逃げ切った。4年間の集大成の意地を見せ、自己ベストタイとなる53秒20の記録でB決勝1位を飾った望月智也選手は「100mは1年半ベストが出ていなくて予選でベストが出せて、B決勝でもベストタイで泳ぐことができて、自分としては最後のインカレで良い締めくくりができました。今シーズンまだ国体があり、52秒台が出せていないので、出せるように頑張りたいです」と話し、ミックスゾーンを後にした。
■男子1500m自由形
高橋洸輝は昨年のインカレで0.17秒で決勝進出を逃し、今年は15分26秒16の予選6位で初のインカレ決勝の座を掴んだ。入場は落ち着いた表情でチームお揃いのリストバンドを中継カメラを通じ、観客席の仲間にアピール。スタート前には仲間からの声援に右手を高く挙げ笑顔で応えた。レース序盤は先頭集団にくらいつき、半分の750mを終え4位。後半に入ると徐々にピッチを上げ、900mで3位に順位を上げた。その後もスピードを落とさず後続を振り切り、前を追い、残り300mで2位との差を詰め、50mで2位の選手をとらえた。仲間からの声援を受け、残り50mでラストスパートをかけ残り12.5mで2位に浮上。高橋は勢いそのままにゴールし、15分18秒65の自己ベストで準優勝に入った。高橋洸輝選手は「予選は全力で泳ぎタイムは一定でしたが、スピードが無かったので、決勝は予選上位の選手との遠藤(光)選手・菖池(竜輝)選手・吉田(惇哉)選手の3強との後半勝負になると思ったので、前半は3選手についていき、後半状況を見て、させたら(追い抜けたら)と思ってレースに入りました。昨日の予選はターンで勢いが無くなってしまっていたので、マネージャーと話をしてそこも修正しました。後半横を見たら菖池選手が見えたので、いけると思いラスト300からちょっとずつ上げて、ラスト50でスパートをかけました」とレースを振り返り、初めての表彰台について「去年悔しい思いをして、6月にOBの江原騎士さんと練習をして“調子の良し悪しではなく、実力があれば絶対勝てる”と声を掛けてもらい、どんなに調子が悪くても強い気持ちで練習をやってきて、今回その成果が上手く出て、少しですがベストも更新したので嬉しいです。予選の感覚が良くなくて不安なところがありましたが、良いタイムがしっかり出せて力がついてきたので、来年の選手権に向けてしっかり練習をしてきたいです」と喜びを語り、更なる成長を誓った。
このほか、最終日には女子100m自由形で伊藤理乃(3年 山梨学院高)がB決勝に進出。50mを5位で折り返すと後半順位を上げ、57秒26の3位に入った。また、男女ともに4×200mフリーリレーでB決勝に残った。女子リレーチームは青木舞利奈(4年 東海大浦安高)・加藤由佳(4年・東北高)・阿部星架(3年 札幌大谷高)・伊藤理乃が泳ぎ、8分21秒45の5位となった。一方、男子リレーチームは杉木光希(3年 富山工業高)・田中大貴・豊田光(2年 大体大浪商高)・原慶幸(3年 北科大高)が泳ぎ、7分29秒20で4位に入り、山梨学院の2019インカレは終了した。
全ての競技を終え、学校対抗得点で男子は11位、女子は15位となった。大会を終え、観客席で戦況を見守っていた神田忠彦監督は「各選手はそれぞれの持てる力を出し、良くやってくれたと思う。特に(200mバタフライ準優勝の)田中はナショナルチームの派遣標準を切り、(1500m自由形準優勝の)高橋は、自己ベストが出せ、あと少しで大学生ナショナルの権利を得る記録だったので力がついてきたと思う」と大会を総括し、今後について「スポーツの本来の姿である他人との勝負というより、自分と勝負し、自分の可能性に挑戦し、ベストが出せるようにしていきたい。その上で、国際大会に選手を輩出できるようなチーム作りをしていきたい」と語った。
文(Y.Y)、カメラ(平川大雪)2019.9.8