●山梨学院高校IB系美術作品展
~IB系2期生(3年生)の美術作品を展示~
~授業の一環として甲府市役所を会場に開催~
山梨学院高校の国際バカロレア(IB)課程履修生徒による美術作品展が9月13日から甲府市役所市民活動室で開催されている。IB科目「VISUAL Art(美術)」を履修する3人の生徒が約30点の作品を展示。この科目では、絵画や立体造形などの制作に加え、制作過程の記録や作品展開催も評価の対象になっており、少しでも多くの方の目に止まるよう学校外で作品展が開催された。12日夕方にはオープニングセレモニーと作品解説が行われ、生徒が来場者に作品の意図や工夫したポイントなどを解説した。作品展は9月18日まで開催される。
山梨学院高校は2017年1月にから県内初の国際バカロレア(IB)機構の認定校となり、特進コースにIB系を設置し、世界標準の学びを提供している。山学高では、2・3年次にIBディプロマプログラム(DP)に基づいたカリキュラムのもと、幅広い教科で実践的で質の高い探究型学習を行い、専門のアドバイザーの指導による計画的・自発的な課外活動を実施。山学高は日本語DPの認定となっているが、「英語」と「美術」の必修科目は英語で授業が行われている。このうち美術「VISUAL Art」は、文化的・社会的背景、表現技法・技術など様々な観点から芸術作品を学び、そこから吸収したことを実践する2年間のコース。他のIB科目同様、生徒の主体的な活動が授業の中心となっており、批判的・論理的思考力を育むことも重視されている。そのため、絵画や立体造形などを制作するための技術的な面だけでなく、「自分がどのように考えて作品を作り上げたか」についての記録も評価対象となっており、作品展を行うことも評価の一部となっている。
作品展の開催にあたり、少しでも多くの方に観覧してもらい、生徒たち自身にも普段接することのない方々に作品の説明をする機会を与えたいと考え、昨年の一期生に引き続き、甲府市役所市民活動室での展示が行われた。作品展は生徒が学んできたことを最大限に生かすものであり、展示する作品の質だけでなく、来場者に作品を楽しんでもらうためのレイアウトや作品解説の工夫も必要とされるため、生徒たちは2年間の集大成として準備を進めてきた。
会場設営は9月12日の午前中から行われ、これまで創作した約30点の作品を展示。作品とともに評価対象の一部となる制作の過程や解説が記録されたノートやスケッチブックも会場に置かれた。18時からはオープニングセレモニーと生徒自身による作品解説が行われ、テープカットを前に吉田正副校長は「昨年は初めてということで手探りの中での展示会でしたが、今年は昨年の経験もあり、クオリティは上がっています。ここに展示されている作品は、完成したものですが、1週間でできるものではなく、長い間構想を練り、表現方法を考え、アウトプットしたものになります。制作過程でも葛藤があり、表現方法を考え直す生徒もおりました。これらの作品は、何か月もの苦悶の成果でもありますので、作品の背景やプロセスも含めて観覧して欲しいと思います」と来場者に挨拶した。テープカットに続き、生徒一人一人が作品のテーマや背景、創作のポイントなどを解説した。「環境問題への意識」をメインテーマに据えた清水さんは「ペットボトルやプラスチック、リサイクルなど世界で問題になっている環境問題を絵などで表現しました。身近に感じられるよう軽くて楽しい感じで表現したり、真剣に考えてもらえるよう真面目な深刻そうな絵で表現したりしています。環境問題について考えながら見てください」と解説した。新藤さんは「統一性」をテーマに作品を表現した。「人種差別のない世の中を表現するために、各国の人々の肌の色や顔つきを混在させています。また、ヨーロッパやアフリカ、日本など各国の文化や風習が表現されているパターンにも着目し、これらを作品に使用しています。どの国のものか探しながら楽しんで見てもらえればと思います」(新藤さん)。三上さんは「私は自分のテーマを決めることがなかなかできず、自分の作品を作り、表現することが怖いと思ってしまい、なかなか始めることができませんでした。そういった中で、自分の不安な気持ちや周りの視線が気になる気持ちを表現しようと思い、作品の制作に取り掛かりました。不安な気持ちは黒い背景に、カラフルな作品は自分の気持ちや学校生活を送る中で楽しかった気持ちなどの感情を表現しました。みなさんの思いに通じるものがあるかもしれないので、みなさんの過去と向き合いながら作品を見てもらえると嬉しいです」と来場者に語り掛けた。
生徒たちは水彩画や油絵、彫刻、写真など様々な表現技法を学ぶとともに県内や東京での美術展に足を運び、創作のヒントを得てきた。自分のテーマを決めるにあたり、多くの葛藤や試作を繰り返り、オリジナリティあふれる作品に挑戦した。この美術展には、生徒たちの2年間の探求と創作の集大成が表現されている。生徒たちの思いや無限の可能性が詰まった山梨学院高校国際バカロレア系美術作品展は9月18日まで甲府市役所1F市民活動室で開催されている。
文・カメラ(Y.Y)2019.9.13