●関東大学ラグビーリーグ戦2部第1戦目
~山学残り00分 立正に34対36逆転負けノーサイド~
~9番 清水が左隅にトライ34対29勝利が見えたが~
関東大学ラグビーリーグ戦2部の山学大 対 立正大戦が9月15日、立正大学ラグビー場で行われ、山学大は34対36で初戦を落とした。試合は山学大のキックオフで始まり、立ち上がり1分に山学大はペナルティーゴールを獲得し、10番小林広気が決め3対0と先制。立正大にトライを許し3対5とした山学大は、モールで1番中村優太が立て続けに 2トライし、小林が1コンバージョンゴール(G)を決め15対5と再びリード。粘る立正大に2トライと1Gを決められ15対17と逆転され前半終了。後半、立正大のキックオフで開始した6分、山学大は2番延山敏和がトライ、小林のGも決まり22対17。立正大にトライとGを許し22対24。山学は12番明道風輝のトライと小林のGも決まり再び29対24。立正大にトライを許し29対29。山学大は9番の清水夏樹がトライし34対29。勝利が見えた残り1分、立正大にトライと40分にGも許し、拮抗した試合が34対36でノーサイドとなった。山梨学院大学は9月22日(日)白鷗大学ラグビー場で、白鷗大学と第2戦目を行う。
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◾️〈大会前の監督インタビュー〉◾️
▶︎梶原宏之監督は、この4月1日にラグビー部監督に就任した。梶原監督は育成について「ラグビーの精神、歴史、文化、戦略、戦術に知悉した人物を育成する」と切り出す。このことで「将来、社会に貢献することのできる人材を輩出したい」と目を輝かせる。そのためには、「4年間の大学生活の中で『競技力向上』と『人間力向上』をテーマとする」と頷く。「恵まれた学校環境・競技環境の中、自ら考え行動できる集団づくりを行う」。これを達成するには「選手、スタッフが一丸となり、”ワンチーム”で明るく努力し続けなければならない」と力説する。『感動を与えるチーム』をスローガン掲げ、『人間力なくして強化なし』と指導理念を熱く述べる。
▶︎梶原監督は「それらを達成するためには、山梨学院大学ラグビー部という『組織力の向上』が不可欠」と声を大にする。「0B会がなかったので、OB会設立に着手している」と、「9月には後援会を立ち上げ、地域とともにラグビー文化を興す事業に取り組んでいる」と熱が帯びる。吉田浩二前監督が「ラグビー部は新たな歴史を作るべく梶原監督と坂本コーチを迎え、指導を拡大し日本一に向けて歩み始めた」と宣言した通り、今、山梨学院大学ラグビー部はカレッジスポーツの真髄に真っ向から果敢にチャレンジしている。
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◾️〈 試 合 〉◾️
▶︎梶原宏之監督は試合前「立正大は、今2部で断トツに強いチーム」と頷く。「うちも春シーズン6月のオープン戦で17対87でホームゲームで負けている相手」。立正大は「パスを、トップリーグに行く10番の選手を中心に、バックスへ展開する。プラス長い・短い・高いキックを織り交ぜて攻撃をしてくるチームで、要所要所で3枚有能な留学生選手を上手く使ってくるチーム」と分析。山学は戦略として「セットプレーのスクラムで相手を押し込み崩して、バックスにボールを回させない」ことで突破口を見出す。「ポイントとなる留学生が怪我で」ベストではないが、「チャレンジャー精神で、全員一丸となって闘っていく」と抱負を述べた。
⬛︎ 山梨学院大 Vs 立正大 ⬛︎
立正大学ラグビー場の天候は晴れ微風グラウンド状態良。山梨学院大(前年4位) 対 立正大(前年5位)の試合が12時00分レフリーの笛の合図で開始された。
HOME | AWAY | ||||||||||
立正大学 | 山梨学院大学 | ||||||||||
T | G | PT | PG | DG | 得点 | T | G | PT | PG | DG | |
前 半 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 17対15 | 2 | 1 | 0 | 1 | 0 |
後 半 | 9 | 2 | 0 | 0 | 0 | 19対19 | 3 | 2 | 0 | 0 | 0 |
合 計 | 6 | 3 | 0 | 0 | 0 | 36対34 | 3 | 3 | 0 | 1 | 0 |
T:トライ G:ゴール PT:ペナルティトライ PG:ペナルティゴール DG:ドロップゴール |
【前半戦】
試合は山学大のキックオフで始まった。立ち上がり1分、相手反則で山学大はスタンドオフの小林広気(3年 熊谷工業)が「点差が開かない厳しいゲームになる。自分の得意の位置からのキックなので、迷わず敵陣のちょっと左40mのペナルティーゴールを選択」した。これを小林が手堅く確実に決めて3対0と先制。5分、立正大にトライを許し3対5とし勢いづく相手に19分、山学は7番 武田幸輔(4年 つるぎ)が「ハーフでのラインアウトから突進してくる相手をタックルで潰し」相手の勢いを削いだ。山学大は、敵陣の5mのラインアウトで、2番 延山敏和(3年 御所実業)のスローイングを19番 伊藤優作(2年 国学院栃木)がキャッチ。1番 中村優太(3年 岡谷工業)が「伊藤からボールをもらい、ラインアウトからモールをつくり、フォワード8人全員で力を合わせて」相手を押す。「試合の流れを引き寄せるためにも、このままフォワードで押し切りたい」と、「練習してきた8人全員の気持ちを一つにして」、24分にモールから中村が左にトライし8対5とした。スタンドオフの小林がコンバージョンゴール(=ゴールキック)を「『絶対外せない』と緊張」し、「25mから左の厳しい角度」のキックを失敗した。30分、山学大は再び敵陣の5mのラインアウトから1番 中村が「19番 伊藤優作からボールをもらいモールで攻める」。「立正に勝つには、『フォワードで勝つ』が大前提」と、「球を確り抱えて」前へ前へ、8人全員の力が相手を上回り、中村が右側にトライし13対5。スタンドオフの小林が「先のゴールキックと真逆の角度の右25mから『絶対決めてやる』とゴールキックを決め」15対5と突き放す。山学大は粘る立正大にケアレスミスなどで36分トライ、41分トライとゴールキックを決められ15対17と逆転され前半終了。
【ハーフタイム】
【後半戦】
後半、立正大のキックオフで開始した6分、山学大は2番延山敏和(3年 御所実業)が「敵陣左サイドのラインアウトからボールをもらい」8人全員が息を合わす。延山が「無心でボールを抱えて、みんなで押し込み左隅にトライ」し20対17。スタンドオフの小林が「先の中村と同じ左側からのやや同じ角度。『今度は外すわけにはいかない』と修正を加えてキック」すると、ゴールポストとバーの上の間を超えて22対17と再びリード。山学大は9分、立正大にトライとゴールキックを許し22対24と再び逆転される。これで立正大が勢いづき山学大の陣地に攻め込んでくる。これを見て7番 武田が「自陣10mで5番の留学生に梶原とグッドタックルを決め」水際で食い止める。すると12番 明道風輝(3年 札幌山の手)が「左サイドでキャプテンの磯部からパスでボールをもらい『トライを取る』」と走る。「右から3人きたが振り切って」無心で走る。「30m走り、勝つ気持ちだけ」と執念で左サイドにトライ」し27対24。小林が「左サイドの1番難しい角度。ここで『点差が開かなくて逆転されて逆転してと1番苦しいところで、絶対決めなければいけない』と、プレッシャーが強かった」がゴールキックを決め、みたび29対24とリードした。山学大は立正大に25分、トライを許し29対29の同点とされた28分、スクラムハーフの清水夏樹(3年 日本航空石川)が密集戦の「相手陣地1mのラックから周りの状況を見て、パスを出さないで自分で左にトライ」し34対29。小林が左側「中村、延山の時と同じ角度。確り当たっていた。感触としては入ったと思った」がボールが左にわずかに外れる。再び山学大は攻め込み「蹴ったボールを相手19の留学生がキャッチ」。これを見て6番 梶原優里(3年 日川)が「突破は許さない」と相手陣地真ん中で、「19番留学生がボールを持って突進してきたところ」を「思い切って両足タックルに入り」相手の動きを封じた。山学大が再び攻めるがインターセプトされ、攻め込まれる。山学大が体を張り守る。両者の攻防が激しくなる。勝利が見えた残り1分前に、ノックオンと思わせる際どい状況に「タックルが微妙にずれ」立正大に山学大のトライと40分にゴールキックも許し、拮抗した試合がロスタイム00分34対36でノーサイドとなった。
◾️試合終了後のインタビュー◾️
▶︎キャプテン11番 磯部尚輝(4年 日川)は「後から悔しさがこみ上げてくる試合だった」と頷く。立正大とは「春に戦って17対87で負けているが、初戦だから勝とうと、勝てば勢いに乗れると。春から夏にかけて毎日、立正を意識した練習を行ってきた。大事な一戦だったが2点差で負けてしまい本当に悔しいが、まだ1部に上がれる可能性はあるので次に頑張ろうと、今日の一戦で皆の闘志に火がついた」ときびきびと述べる。「山梨学院らしく、フォワードのセットプレー。スクラムから得点したり、良いプレッシャーをかけたり、バックスが確り外で取り切ったり、凄くアグレッシブに戦えて、立正戦についてミーティングを重ねて考察してきたことも生かされた」と胸を張る。2点差について「トライが真ん中でなくて、立正のプレッシャーで外からのトライが多いことでキックが難しいところからになってしまった。またバックスもフォワードの使い方の面ですごく疲れさせてしまった」とてきぱきと述べる。「そういう点を改善して、1部入れ替え戦を目指して、残りを全勝で行けるようにしたい」と目を輝かせた。
▶︎梶原宏之監督は「立正に春戦って17対87で負け、ここで選手は本当に悔しい気持ちから、春から夏にかけて鍛えてた。強化ポイントとしては、フィットネスの向上と、ディフェンス力の向上、タックルの向上だったが、それは十分に出た」と評価した。前半戦について「30分までは非常にいい戦いだったが、残り10分のところで、ふっと気が抜けて、ケアレスミスしてしまい2トライされて逆転された。あの2トライがなければ状況は良かった」と悔やむ。「フォワードのスクラムでプレッシャーをかけていた」と山学の強化策の成果が出た。後半について「拮抗した中でディフェンスが粘り強く、規律を守ってタックルをし続けていけたので接戦に持ち込めた。そして優位であるスクラムからフォワードが前に出てトライをしてひっくり返した。ここはメンタルも非常に強くなっているなと思う」と選手を大いに称えた。もう一歩足りなかったのは「運みたいなものもある。最後、相手がぽろぽろ落としたが、ふと気が抜け、タックルのタイミングがずれた」と振り返る。「この敗戦を引きずらないように、うまく持って行って力に変えていき、あとは全勝で行きたい」と抱負を述べ会場を後にした。
◾️山梨学院大学は9月22日(日)白鷗大学ラグビー場で、白鷗大学と第2戦目を行う。
文(H.K) 、カメラ(平川大雪) 2019.9.16