●ラグビー日仏交流イベント
~仏ラグビーコーチ協会オリビエ会長が講演
~イベントではラグビークリニックも実施~
山梨学院大学ラグビー部は9月14日、甲府ロータリークラブとラグビーを通じた日仏交流イベントを主催した。今月20日に開幕するワールドカップでフランス代表チームが県内で合宿しており、大会を盛り上げようと企画された。第1部は山梨学院メモリアルホールを会場に仏ラグビーコーチ協会のオリビエ・ニール会長による講演会やパネルディスカッションを行った。パネルディスカッションでは、大会アンバサダーの山学大ラグビー部の梶原宏之監督や元日本代表の廣瀬佳司さん、オリビエ会長らがW杯の展望や楽しみ方などについて意見を交わした。第2部では山梨学院和戸ラグビー場で県内のラグビースクールの子どもたちや指導者らを対象にラグビークリニックを実施し、フランス文化やラグビー文化について理解を深めた。
ワールドカップ開幕を前にフランス代表チームは9月8日から富士吉田市や富士河口湖町で事前合宿を行っている。山学大ラグビー部と甲府ロータリークラブは、大会の機運を盛り上げようと同クラブの70周年事業として「日仏交流イベント」を企画し、講演会やパネルディスカッション、ラグビークリニックを開催した。会場には、ロータリークラブや県内ラグビー関係者のほか、甲府や都留、富士吉田などのラグビースクールの子どもたちも詰め掛けた。
■第1部 講演会・パネルディスカッション
講演会では、仏ラグビーコーチ協会のオリビエ・ニール会長が「フランスと日本の文化の違い」と題し講演。オリビエ会長は今回のW杯の事前合宿地の選定にも関わった。オリビエ会長は来年の東京五輪でフランス代表の10の競技の事前合宿が山梨県内で行われることに触れ、「日本人は先見性や事前準備、センスに長けており、人を尊敬する精神を持っているがフランス人は自由な気風がある。円滑なコミュニケーションや異文化理解が必要でこういった機会にフランスの文化などを伝えていきたい。山梨県の組織能力とフランスの適応能力をマッチさせ二つの文化をミックスさせて大きな成果としたい。山梨には地酒やワインなどがあり、フランスもワインの産地であり両者が協力すれば面白いイベントもできると思う」と挨拶。スポーツ指導においては「どんなスポーツでも教える立場の人が喜びや安全を与えることで、たくましい精神が作られていく。ラグビーでは、チームメートと一緒に勇気を持って前に進むことでたくましい精神が鍛えられる」と語った。パネルディスカッションでは、オリビエ会長に加え、W杯の大会アンバサダーを務める山学大ラグビー部の梶原宏之監督、廣瀬佳司さん、山学大ホッケー部女子監督でホッケー女子日本代表さくらジャパンコーチのジョン・シアン監督が登壇し、意見を交わした。ラグビーを始めた頃を回顧した梶原宏之監督は「最初はタックルが怖かったが、先輩のプレーを見たり、個人練習を続け、努力することによって克服することができた。何か一つ自信を持つことでこれまで続けることができた。最初は上手くいかないことがあると思うが、練習を積み重ねていけば良い選手になれると思います」と子どもたちに語り掛けた。日本とフランスのラグビーの違いについてオリビエ会長は「体の大きさや作りにも関係しているが、フランス人は前に進む推進力があり、日本人は細かいテクニックに長けている。こういった点にも注目してもらいたい」と述べ、W杯に期待することとしてジョン・シアン監督は「ラグビーのW杯はヨーロッパや南アフリカなど強豪国での開催が多かった。世界競技といわれているサッカーのような世界のスポーツになりきるためには、アジアで開催することに意義がある。メディアでの取り上げ、観客動員も含め期待できるので、世界スポーツになるきっかけになる大会になると思います」と述べた。また、注目ポイントについて廣瀬佳司さんは「W杯には世界からラグビーのスーパースターが集まります。プレーを楽しむのはもちろん、観客としてくる海外の人たちとも触れ合ってもらい、ラグビーを通じて盛り上げてもらいたい」と話した。
■第2部 ラグビークリニック
県内5つのラグビースクールや指導者を対象にラグビークリニックを実施。オリビエ会長や梶原監督、廣瀬さんが指導を行い、山学大ラグビー部の選手たちも運営を手伝った。オリビエ会長は「勇気を持ってボールに向かい、仲間を信じてプレーすることが大切」と子どもたちに語りかけた。子どもたちはオリビエ会長らから指導を受け、学年ごとに分かれ、仲間と一体となってボールを押し合うモールの練習やケガをしないよう低い姿勢でのタックルの練習に取り組んだ。最後に、パスを出すことを主体としたミニゲームを行い、ニール会長や梶原監督、廣瀬さんらは子どもたちに熱心に声を掛け、アドバイスを送っていた。各スクールの指導者らも今後の参考とするべく、指導の様子を動画で撮影するなどフランス流の指導方法を学び取っていた。
文・カメラ(Y.Y)2019.9.17