●第72回秋季関東高校野球山梨県大会(決勝)
~秋季関東山梨大会3年ぶり7回目の優勝~
~延長10回代打 河野が起死回生の2ラン~
●第72回秋季関東高校野球山梨県大会決勝の山梨学院 対 駿台甲府戦が10月6日、山日YBS球場で行われた。先攻の山学は左腕 吉川大が1回裏に0対1と先制された2回表、6番 橘田陸斗の安打と1番 渡邉嵩馬の中前適時打などで1対1。山学は5回表、4番 栗田勇雅の犠飛と6番 橘田のエンドランで3対1とリード。その裏、左腕 吉川が3対3とされた7回表、山学はリリーフ左腕から奇襲戦法で4番 栗田がホームスチールし4対3と再び勝ち越し。9回裏、追いすがる駿台から左腕 吉川が4対4とされた延長10回表、山学は8番代打 河野修慈が「真ん中高目の直球を小倉(清一郎)コーチから指導を受けている上から叩き引っ張るスイング」で振り抜くと、起死回生の左芝生席に飛び込む2ラン。さらに1番 渡邉の安打に3番 小吹悠人の適時打、続く4番 栗田の適時三塁打と、甲子園3人組が2点追加し8対4とした。山学はリリーフの右腕 河瀬貴洋がその裏を1点に抑え8対5で勝利し、3年ぶり7回目の優勝を果たした。なお、大会は10月19日から群馬県で関東7県の15校(各県2校、群馬3校)が参加して行われる。
⬛︎〈決勝戦〉 ⬛︎
▶︎山梨学院は第1回戦 市川峡南増穂 16対0(5回コールド)、第2回戦 巨摩 3対0、準々決勝戦 東海大甲府 17対6、準決勝戦 甲府工業 7対5と、駿台甲府は第1回戦 帝京第三 7対6、第2回戦 都留 9対2(7回コールド)、準々決勝戦 甲府西18対4(5回コールド)、準決勝戦 日本航空 4対3と、両校は決勝戦に勝ち上がってきた。
▶︎吉田洸二監督が「新チームになって1ヶ月半」、昨年のチームも「2週間で別のチームに生まれ変わり、春の甲子園の権利を得た」と、この時期は「日々成長させながら戦わなければならない」と強調。山学は吉田監督が「第2回戦の巨摩高戦の後、1日に生きた球を1人500球打ち込み、6日間で3,000本打ち込んだ」。その甲斐あってか準々決勝の東海大甲府戦は「途中から選手の底力がじわりじわり出て、小吹と栗田で9安打放ち、なんとか凌ぎ勝利できた」と振り返る。吉田監督が甲府工業戦は「『次に繋げる野球』がテーマと、打撃陣は打者が次に繋げて繋げて行き得点する。投手陣はピッチャーが次に繋げて繋げて最少失点もしくは完封を目指す」と戦術を立て臨み、投手は完投で繋がずに勝利した。この試合の勝因について「粘り」と一言。それに「伝統の甲府工業に負けないという、伝統の力がついてきた」と大きく頷いた。決勝戦は「戦力的にしんどいが『1位、通過』を目指し、関東大会では『ベスト4』を目指す」戦いにしたいと会場を後にした。いよいよ今日、日々成長するチームが3年ぶり7回目の優勝を目指す。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 合計 | |
山梨学院 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 4 | 8 |
駿台甲府 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 5 |
⬛︎山梨学院 Vs 駿台甲府 ⬛︎
▶︎甲府市は11時00分天気予報は、天気曇り、気温21.9度、湿度76%、北北西風、風速1m/s。山日YBS球場は天然芝生で両翼92m。中堅120m。山日YBS球場の両校の応援団スタンドには応援団で大方埋め尽くされている。山梨学院の応援席にはいつもどおり、保護者や後援会、ブラスバンドやチアリーダーが、駆けつけ華やかだ。場内アナウンスに促され、両校の選手がホームベースを挟んで整列。先攻 山梨学院、後攻 駿台甲府で決勝戦が11時02分に開始された。
▶︎1回表、先攻の山梨学院は相手右腕から1番 渡邉嵩馬(2年)が1-2から右越え二塁打で出塁。2番主将 功刀史也(2年)が初球を一前に犠打し一死二塁。一死後、4番 栗田勇雅(2年)が3-1から四球を選び一死一・三塁としたが後続が倒れチャンスを逸した。
▶︎1回裏、山梨学院は吉田洸二監督が1回戦から先発を務め5試合目となる左腕 吉川大(2年)をマウンドに上げた。左腕 吉川が、1番打者を1-1から死球を与え無死一塁。2番打者をフルカウントから空振り三振とするが盗塁され一死二塁。続く3番打者の0-1から三遊間を破る左前安打で一死一・三塁。4番打者をフルカウントから見逃し三振とし二死一・三塁。左腕 吉川が1-2から左線適時二塁打され0対1と先制される。
▶︎2回表、山学は先頭の6番 橘田陸斗(2年)が0-1から二内野安打で出塁。
橘田が7番 外川温大(2年)の1球目に盗塁し無死二塁。外川がフルカウントから四球を選び無死一・二塁。二死後、1番 渡邉が1-1から中前適時打を放ち橘田が生還し1対1の同点とした。
▶︎2回裏、山学は左腕 吉川が、先頭の7番打者をフルカウントから一ゴロに、8番打者を1-2から遊ゴロに、9番打者を初球で捕邪飛とし三者凡退。
▶︎3回裏、山学は左腕 吉川が、先頭の1番打者を0-1から中飛に、2番打者を初球で右飛に、3番打者を1-0から右飛に打ち取り三者凡退。
▶︎4回裏、山学は左腕 吉川が、先頭の4番打者を2-2から見逃し三振に、5番打者に0-1から左前安打され一死一塁。6番打者をストレートの四球とし一死一・二塁。続く、7番打者を初球で二ゴロに仕留め4-6-3の併殺としチェンジ。
▶︎5回表、山学は先頭の2番主将 功刀がフルカウントから四球を選び出塁。3番 小吹悠人(2年)が1-1からエンドランで三塁手の頭上をバウンドで越える左前安打で無死一・三塁。続く、4番 栗田の右犠飛で功刀が生還し2対1。二死後、6番 橘田の1球目に小吹が盗塁し二死二塁。2-0から中前適時打で小吹が生還し3対1とした。
▶︎5回表、山学は左腕 吉川が、先頭の8番打者への初球を右中間を破る二塁打とされ無死二塁。9番打者を初球で投ゴロに打ち取り、吉川が二塁走者が塁を飛び出しているのを見て遊撃手に、遊撃手から三塁手に転送して、三塁手がタッチアウトして一死一塁。吉川が1番打者に2-1から右中間越えの適時三塁打され3対2。一死三塁、2番打者の1-1から二内野安打で一死一・三塁。吉川が4番打者に1-2から二適時打を許し3対3の同点とした。
▶︎7回表、山学は一死後、4番 栗田が初球を中前安打し出塁。一死一塁、5番 才津紘大(2年)が1-0からエンドランで中前安打し一死一・三塁。ここで駿台が右腕投手からリリーフ左投手に交代一死後、7番 外川の2-1からの4球目に一塁ランナーが飛びだす。これを見た駿台の捕手が二塁へ送球、それで栗田がホームスチールし奇襲戦法で再び4対3と勝ち越す。
▶︎9回裏、山学は左腕 吉川が一死後、先頭の1番打者への初球を右線へ二塁打され一死二塁。2番打者をフルカウントから四球とし一死一・二塁とサヨナラとなるランナーを許した。吉川が3番打者の1-0から右前適時打され4対4と再び同点。ここで吉田監督がリリーフ右腕 河瀬貴洋(2年)をマウンドへ送った。一死一・三塁、右腕 河瀬が2-0となり、この日ノーヒットの4番打者のスクイズプレーを警戒してかストレートの四球で満塁とした。河瀬が5番打者を初球三直で打ち取り二死満塁。続く、6番打者を初球二ゴロに打ち取り監督の起用に見事に応えた。
▶︎延長10回表、山学は先頭の7番 外川が2-1から中前安打で出塁。吉田監督が8番代打 河野修慈(2年)を打席に送った。河野が初球の「真ん中高目の直球」を、「小倉(清一郎)コーチから指導を受けている上から叩くイメージで引っ張るスイング」で振り抜くと、起死回生の左芝生席に飛び込む2ランで6対4とした。一死後、1番 渡邉嵩馬(2年)が0-1から右前安打で出塁。二死一塁、3番 小吹の1球目に渡邉が盗塁し二死二塁。小吹の右前安打で渡邉が俊足を生かし生還し7対4。続く4番 栗田が3-1から左中間を破る適時三塁打で小吹が生還し8対4とした。
▶︎延長10回裏、山学は右腕 河瀬が、先頭の7番打者への初球を右中間に弾き返され無死三塁。続く、8番打者にフルカウントから四球を与え無死三塁。右腕 河瀬が9番打者を0-1から二ゴロに打ち取り4-6-3の併殺、その間に三塁走者が生還し8対5とした。右腕 河瀬が1番打者に初球を左前安打され二死一塁。続く、2番打者をフルカウントから空振り三振に仕留め試合終了。
⬛︎山梨学院は、1回裏に左腕 吉川が1点先制された。その2回表、6番 橘田と1番 渡邉の安打などで1対1。5回表、四球とエンドランと犠飛や適時打で3対1。その裏、左腕 吉川が駿台に2点取られ3対3の同点。山学は7回表、4番 栗田の安打とエンドランと奇襲戦法で再び4対3と勝ち越すが、9回裏に4対4と再び同点とされ延長戦へ。山学は延長10回表、先頭の外川が安打で出塁。8番代打 河野が起死回生の左芝生席に飛び込む2ランで6対4。さらに渡邉・小吹・栗田の甲子園組の安打で2点加点し8対4とした。山学はリリーフの右腕 河瀬がその裏を1点に抑え8対5で勝利し、3年ぶり7回目の優勝を果たした。
⬛︎試合終了後 のインタビュー⬛︎
▶︎8番代打 河野修慈(2年)は「バッテイングは小倉(清一郎)コーチの指導を受けて、低めの変化などを見極めて、高めの甘い球を上から叩くイメージで引っ張って打つ練習をしている。今日も朝、練習をしてきた」。監督から代打を告げられ「1球目から、甘い高めの球狙いで打席に立った」。「つなぐ打撃に心掛けて、その結果がホームランになれば」と力まずにスイングした。「当たった瞬間、レフトフライかと思った」とホームランの感触はなかったが、風にも乗ってレフト芝生席に入る2ランとした。「小倉コーチに指導してもらっている上から叩くイメージで引っ張るバッティングができたので嬉しい」と素直に喜んだ。ただ「外野の守備はこの秋からで、甲府工業戦で一歩遅れてミスをし、チームに迷惑をかけた」と反省仕切り。関東大会まで「外野の守備とバッテイングに集中して練習し、守備と打撃でチームに貢献したい」と目を輝かせた。
▶︎リリーフ右腕 河瀬貴洋(2年)は「7・8回にピンチになったら行くと言われ、5回裏から準備を指示された」と明かす。「9回、同点になったら行くと言われたので、初めてマウンドに上がるので、とりあえず腕を確り振って思い切り真っ直ぐを投げた」。最初は「マウンドがしっくりこなかったが、なげるうちにしっくりきた」と、気負いもせずに「平常心で投球できたと」と振り返る。投球法は「監督から2週間前に進められて変えた。最初は遊び感覚でキャッチボールから初めて、3年生の佐藤(裕士、夏の右腕エース)さんに教えてもらいだんだん自分に合うリリースポイントを探し間に合った」と微笑んだ。関東では「今日は真っ直ぐしか投げていないので、関東では変化球を混ぜて打たせてとる投球をしたい」と淡々と述べた。
▶︎昨日完投で今日は8回2/3と好投した左腕 吉川大(2年)は「今日の朝、先発を告げられ、本当に先発ですかと聞きなおすと、お前しかいないだろと言われた」と明かす。「5回ごろから6・7回はきついかなと思ったが8回2/3まで4点は想定内だったので、」と自分の殻を破りまた一つ成長した。「気持ちを切り替えて練習し、関東ではさらにレベルの高い打者が来ると思うので、一球のコントロールミスが大きなミスとなるので、関東まで練習期間が十分あるので低めの変化球の精度などをあげたい」と大きく頷き、関東で「チームに貢献できるように成長したい」と述べた。
▶︎主将 功刀史也(2年)は「決勝戦で勝てて良かった」と微笑んだ。「山梨1位通過なので、2勝できるチャンスが出てきたと思う」と頷いた。「序盤に先制されたが、準決勝の甲府工業戦で4点先制されても引っ繰り返せたので、今日の序盤の1点は動揺しなかった」とさらり。「守備で失策がゼロだったので、攻撃のリズムが出てた」と同点にされても常にリードし逆転を許さなかった。ただ「内野と外野の飛球の際どい位置での捕球の連携を徹底したい」と向上心も忘れない。「関東大会でも守備からリズムをつくり攻撃につなげたい」。そして「去年、先輩たちが選抜に出ているので、自分たちもベスト4に入って選抜に行き2季連続として、山梨学院の伝統にしたい」と抱負を述べた。
▶︎吉田洸二監督は「最後まで冷静に見れた」と開口一番。「監督が落ち着けば選手も落ち着く」と大きく頷く。右腕 河瀬の交代について、左腕「吉川が相手5番に打たれそうだったので、そこに回ったら代える」と決めていた。9回裏、吉川が3番打者に一死一三塁4対4とされ「私だったら、この場面はスクイズして終わらせると考えるので、左投手は三塁ランナーが見えなくてスクイズがやり易いと思い、右投手は三塁ランナが見えるのでやりにくいと考え、スクイズ警戒で迷わず、早送りで4番打者のところで代えた」と振り返る。河瀬は「二番手になげる投手がいなかったので、2週間前に上手投からサイドスローに変えた。河瀬は、腰の回転が横なのに上から投げていたので、これはいけると急造で変えた」と白羽の矢を立てた。「河瀬は急造にも関わらずよく抑えてくれた」と褒めた。代打 河野は「練習しているゾーンに相手投手が投げていたので『これはホームランが打てる』と判断し、レフトに風が吹いていたこともあり、河野には『レフトに長いフライを打ち上げろ』と送り出した」と滑らか。長い監督人生で「完全にホームランを狙いで代打に出して、ホームランになったのは、これが初めてのこと」と手放しで喜んだ。これで山梨1位で関東に行くが「2位で行く方が、この2週間が(課題が見え)気が引き締まっていいが、選手にはもう一度、昨日・今日の試合を見せて『運のところが50パーセントあるんだ』と認識してもらって、「2週間といえども、24分の1の期間ある。河瀬は2週間でサイドスローに変身した。あと2週間あるのでチームは底上げできる」と大きく頷いた。関東大会では「最上級生は2度しか甲子園が狙えないので、うちは選手ファーストなので選手の思いが叶うように、監督が選手の足を引っ張らないように、また選手の手助けをして力になりたい」と会場を後にした。
文(H.K) 、カメラ(今村佳正) 2019.10.9